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何日か前に昔一緒に働いていた銀行のおねいちゃんからメールがきて、今の仕事を辞めようと思う、転職した人のアドバイスをききたい、といった趣旨の相談を受けた。
オレの転職は果たして成功だったのか失敗だったのか、まだ結論付ける時期には到達していないけれども、転職したこと自体は、正解だったろうとは思う。 一生涯安泰であろう銀行のおねいちゃんと違ってオレの場合、持てるものをしぼりとられて使い古されて先細るだけだから、わずかでも希望のもてる場所で自分を磨きたいという欲求にかなう職場というか立場というか、そういうものを手に入れられたという点においては、転職という事業は成功したともいえる。 希望は手にいれたかもしれないが、何かを失ったような気もする。それは自信とかかもしれないし、長いものに巻かれていた身分かもしれないし、誰彼かとの人間関係かもしれない。失ったものについての未練はないけれども、失ったものがあることは確かだ。希望を手に入れたと同時に、なにも持たないただの人になったような気分になった。 メールをくれた銀行のおねいちゃんは、今の仕事がうまくゆかなくて上司にプライドを傷つけられたりして辞めることを考え始めたらしかった。 他人の転職にアドバイスするほど転職に詳しくは無いけれども、今の仕事が辛いからといって他の仕事を探すような転職はよくないということは、感覚的にわかっていたような気がする。せめて他にいいところを探してから辞めることを決断したほうがいい。 というようなことを返信した。もちろんもっと短いセンテンスで。 数日経ってまたおねいちゃんからメールがきて、結局転職するのは考え直したらしい。オレのアドバイスが効いたというわけではなく、ナントカさんやナントカさんにも色々相談してみた挙句に決断した、ということをいちいち付け加えるあたりのなんというか負けず嫌いさというかプライドの高さというかそういうのもなんとなくかわいらしく思えたから、いちいちつっかかるのもやめておいて、早く偉くなってオレに仕事まわしてくれ、とか大捜査線的なセリフで締めくくってやりとりは完結した。 早いもので転職してからもう1年が経とうとしているけれども、まだ地に足がついた感じがしないし、これからも宙に浮いた感じがしそうな予感たっぷりだけれども、この感じは悪くない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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