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テーマ:長寿犬と共に(146)
カテゴリ:老犬ホスピス
昨年の夏に出会った1匹の老犬は、 動物愛護センター収容犬でした。 「飼い主の持ち込み」 飼主さんが、癌で入院したとのことでした。 それ以上は聞きませんでしたが、 大切に可愛がっていた事だけは 充分に伝わりました。 愛護センターに収容中、 徐々に老化が進行しました。 立ち上がる力もなくなっていき、 昨年の9月にレスキューしました。 「ラン」おばぁちやん! 多頭でオンボロ保護施設という環境は、 室内で大切にされてたランにとって、 決して良い環境とは言えないでしょう…。 スタッフ皆、分かっていたからこそ、 ランが理想とする環境に少しでも近付きたいと、 みんなで試行錯誤のくり返しでした。 ランは、自信に満ち溢た仔でした。 何があっても気持ちが揺るがない どっしりとしたオーラを持っていました。 決して人間に甘えない… いいえ!甘えないのではなく、 甘えさせる立場であるような… 気位の高さを感じる仔でした。 そんな「肝っ玉ラン」だったのに… 老いが進むにつれ、 徐々に変わっていきました。 赤ちゃんでいう「夕暮れ泣き」のように みんなが帰宅する夕方から 夜鳴きが始まるのです。 「ヒッ!ヒッ!ヒャンヒャン!」 夕方、かん高い第一声が始まると、 私の中では、ただただ恐怖でした。 体勢を変えたり、 立たせたり、 補助して歩かせたり等々… 朝までエンドレスの介助がはじまるよ~の 合図でしたから…。 介護疲れで日に日に弱っていく私を スタッフやボランティアさん達が 一丸となってサポートしてくれました。 日中の介護を頑張ってくれました。 (中学一年生のスーパーボランティアななこちゃん。 ランの介護も完ぺきにマスターしてました) 私も自分の体を優先させなければと、 体力の限界を感じたときは 耳栓して仮眠を取ったり、 介護に手を抜くようにしましたが… 今度は、 そんな手抜き介護をしている自分に 罪悪感を抱くようになり、 心まで堕ちていきました。 私が堕ちると同時に、 ランも衰弱していくのが分かりました。 次第に声を出す事も少なくなり とうとう寝たきりになりました。 介護する側が元気じゃないと、 介護される側はどんなに辛いか… ラン、ごめん… 「今の私では…この精神状態では、 ランは穏やかな最期を迎えられない!」 保護家から3~4日離れる決意をしました。 本来の自分を取り戻す方法が これしか思いつかなかったんです。 ランを置いて離れることへの 不安はありませんでした。 私が元気になって帰ってくるまで ランは待ってくれるはず! なぜか…そう信じていました。 3月6日、3日ぶりに帰宅した私は、 自分自身への疑心暗鬼も消え去り、 冷静さを取り戻していました。 看取り側としての自信も 取り戻していました。 「ラン、ただいま!」 元気になって帰ってきた姿を ランに見てもらいました。 「だから…いつ逝っても大丈夫やからね!」 記憶は定かではありませんが、 多分そんな感じの言葉を ランにかけたような気がします。 言葉に反応するかのように ランのまぶたがビクッと動いたことだけは はっきりと覚えていますから。 そのわずか一時間後…3月7日 深夜0時 ランの下顎呼吸がはじまりました。 (魚が口をパクパクするような呼吸)
下顎呼吸は苦しそうに見えるけど、 エンドルフィン(モルヒネよりも強い鎮痛効果)が 脳から分泌されるので苦しくありません。 冷静に声をかけ続ける自分がいました。 「自分のタイミングでいいんだからね」 「安心して逝っていいからね」 多分、私は、笑顔だったと思います。 それは… ここまで頑張って生きたランへの 敬愛 飼主さんと離れても気位くあり続けたランへの 敬意 …だったのかもしれません。 ~3月7日 0時33分 ラン永眠~ 穏やかで優しい表情でした。 気位の高いランにふさわしい 美しい最期でした。 ランに伝えられなかった言葉があります。 「私が元気になるまで 待っててくれてありがとう」 ランを置いてでも 保護家から逃げた3日間は、 私だけではなく ランにとっても 必要な時間だったのかもしれません。 今になってそう思えるのです。 ~ランが遺した物~ 介護で苦しんでる飼主さんを サポートしていく側でもある私が、 たかだか5匹前後の老犬介護が 半年間続いたからといって ストレスと疲労の限界なんて… 本当に恥ずかしい!情けない! 自分を責め続けましたが、 ランの介護で感じたストレスと疲労は、 私にとって受けるべき 必要な経験だったのかもしれません。 ランの元を離れたあの三日間がなければ 私だけではなく、ランにとっても 悲しい最期を迎えていたでしょう…。 私は、介護で苦しんでいる飼主さんを サポートしている立場ではありますが、 飼主さんの気持ちに寄り添うには、 まだまだ足りてない部分が 私自身にあったのだと思います。 介護サポートをする側の人間には 理屈なんて必要ありません。 色んな介護パターンがあります。 それは、自分で経験を積みながら、 体で学んでいくしかないのだと、 ランが教えてくれたような… そんな気がしてなりません。 最後に… 献身的にランの介護をしてくれた スタッフとボランティアさんに 「ありがとう」「お疲れ様でした」 レスキューした子達、 今、レスキューを待ってる子達を、 私たちと共に、 守っていただけないでしょうか…。 ▼宮崎銀行 加納支店 普通口座104601 動物たちの未来のために代表山下 由美 ▼郵便貯金 17310-434961 口座名義:イノチノハウスホゴヤ ▼〒880-1222 宮崎県東諸県郡大字国富町八代北俣2581 いのちのはうす保護家 090-4484-5165(9:30~22:00 担当フジイ) ▼「いのちのはうす保護家」HP ▼「ハンデのある猫達の保護猫カフェ HOGOYA」HP ▼「いのちのはうす保護家」公式ブログ ▼「いのちのはうす保護家」Facebook ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Facebook ▼山下由美代表Facebook ▼犬猫介護アドバイザー &犬猫看取りコミュニケーターInstagram ▼保護猫カフェ「HOGOYA」Instagram お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年04月20日 18時56分09秒
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