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カテゴリ:僕的メモ。
適当に書けたものは適当に置いとく。
当然ながら、結構ある長編の一部。眠いからやっつけ。 あっぷろーどすぺーすがないからここでいいんだよここで。 断片で悪いけど、感想あったらくれたら燃える。 「西校舎を沿って歩けば間違いないよな……うん、間違いないな」 男子テニス部部長、中宮アタルは迷っていた。 一切の信頼を寄せる事ができる位の猛者である毛利が消えた以上、誰がどこから攻めてくるかは全くわからない。 まずは部室に戻るべきだ。彼はそんな風に考えたのだ。そしてその際のルートが……西校舎沿い。 「……俺は平気だぞ、毛利」 隼人に、そして自分に向けても頷いて、アタルは静かに歩き出した。 「……………………ん?」 歩き出してから、十分ほどして。 ふと、首に違和感を感じた。 「……何だこれ」 気付けば、自分の首に何かが巻きついている。 柔らかくて、ふわふわしていて、それでも二重にしっかりと。 「……これは」 それは、そう――薄い黄色の毛糸。 当然、風に運ばれてきた訳ではない。無論、ファッションで巻き付けている訳でもない。とすれば。 「……………………」 両手で辿って、上を見た。 「……………………あああああああああッ!?」 そう、そこには確かにあった。 手芸部部長、葉桜湊が編み棒を両手ににっこりと笑むその姿があった。 「謀ったなああああああああああッ――手芸部の屑があああああああああああッ!」 言葉と共に、首に掛かった毛糸が締め上げられていく。ぎりぎりと、ぎりぎりと。 それと共に、中宮の体は少しずつ宙へと上がっていく。 じりじりと、ぎりぎりと、首が締め上げられる。 真上を見ると、葉桜は実に楽しそうに、操り人形ででも遊ぶかのように編み棒を上下させていた。 勿論、遊んでいる訳ではない。その動作によってアタルの身体を空中へと引き上げているのだ。 「やめ……っとぅあああああああああああああああああああああああッ!」 そしてその悲鳴こそが、アタルがこの世で放った最後の音だった。 「男尊女卑……んな考え方、今時古いですよねー。笑っちゃうくらい」 編み棒を力任せに引っ張って、硬直した中宮アタルの身体を窓から無理矢理に引き入れて、そして窓を閉め。 手芸部部室――第二家庭科室の中、葉桜湊はもう一度にっこりと笑う。 彼女は気付かない。自分以外の部員七名が皆、彼女の笑みに対して思わず退いてしまっている事に。 「さあさあ貴方は……ああ、男子テニス部部長の中宮君ですねー。私ですよ、可愛い可愛い湊ちゃんです。一年生の頃は同じクラスだったから、覚えてるでしょう?」 既に一切の生命活動を終えた中宮アタルに対し、葉桜は作り笑顔を絶やさずに喋り続ける。 「いやあ、にしてもテニスってのはもっと強く美しい素敵なスポーツかとばかり思ってました。波動球は使わないんですか? それとも私漫画の読みすぎでしょうかね」 笑んでいるが、冗談なのかどうかは判らない。現時点でこの少女にまだ冗談を言うだけの理性が残っているのかどうかも。 「――さあてさて。次は誰が引っ掛かるんでしょうか。楽しみですねー」 その笑みは可愛く美しく、そして何より狂っていた。 (●男子テニス部…部長 中宮アタル 死亡) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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