こころ模様

　夜勤専門はかなりきつかったらしく、私の最近の体調は不調気味。今日は満漢全席の予約をしてあったのだけど、口内炎が三つもあるし、吹き出物は気になるし・・・　おまけに夜勤からの帰宅が１２時で、洗濯して昼ごはん食べて居眠ってしまったものだから、疲れは取れていない上、起きたら遅刻しそうな勢いだった。もうぼろぼろ状態。でも満漢全席は３日前に予約なので今更キャンセルもできないのでとりあえず、洗濯物をほったらかしにしたまま出発。何はともあれ、友達と予約時間には到着できてよかった。

　前来た時とは違って個室に通された。テーブルには、結婚式の披露宴の時みたいなコースの内容を書いたカードが置かれていた。友達とそれを見ながら、かなりわくわく。だって、そこに書かれているものといったら、熊の手とか海燕とか鹿のアキレス腱とか、テレビでしか見たことのないものばかり。

　ソムリエさんがずっとお料理のサービスしてくれはったのだけど、説明もいろいろしてくれはるので勉強になった。鹿のアキレス腱や海鼠、ちょうざめの軟骨はわざわざ実物を見せてくれはったので食欲が削げたし、カエルの胸腺や熊の手みたいに原材料を教えてくれるから食べるのに勇気がいったものもあった。また、雪ハシマ入りココナッツミルクパパイヤ詰めのようにデザートなのに温かく強烈な臭いで存在をアピールしてくれるものもあり、なかなか食べ始めることができなかった。あまりに手をつけないので、別の冷たいものをもってこようかと思ったと後から言われた。でも、食べてみればどれも本当においしかったし、とても楽しかった。こんなに食事にわくわくしたのは初めて。代金は、明後日の一泊二日旅行の費用よりも高かったけど、大満足。

　食事の後に、ソムリエさんに、お料理はどうだったかとか、どうしてこの料理を知って予約したのかとかいろいろ質問された。このコースは熟年夫婦とか接待に使われる事が多いのに、女性二人なので不思議だったらしい。そして、かなりの量なのに全く残さず完食した事と、調味料を一切使わずに食べた事をシェフが喜んでいたと教えてくれた。とても美味しかったし、私達は大食いな上貧乏性なので残すことはありえないし、どれも味付けがしっかりしており調味料を使うところがわからなかったのが事実なのだけど・・・食べた後のお皿がチェックされていたんだと思うとちょっと恥ずかしかった。

　お土産に、熊の爪とソムリエさんの手作りだという食事内容のカードをいただいた。熊の爪をもらってどうするの？と思って聞いたみたら、「誰も熊には向かってきませんから、厄除けなどになります」と、納得できるようなできないような返事をもらった（もしほしいという方がいらっしゃったら、お２人まで熊の爪差し上げます）。正直な人で「出来るときは赤い紐をつけて首飾りにするのですが・・・」って余計な事をいわはった。心の中で「じゃあ、今回も首飾りにしといてよ」って思ったのは言うまでもない。感じの良い人だったし、悪気がないのはわかったのでいいのだけど、言わなければよかったのにな。

　ソムリエさんはしゃべるだけしゃべったら「もうそろそろ閉店のお時間なので・・・」と言われたので、時計を見たら食事開始から４時間以上たっていて、２２時半を過ぎていた。慌ててお会計へ。お店を出るまでずーっとついてきはって、お酒を注文しなかった理由などを聞かれた。量が多いのは想像できたし、お食事を楽しみたかったので、お酒で満腹になったり、味がわからなくなりたくなかった事を話すと、ランチのお話などをして、次回は食前酒を作るから是非って言われた。マナーを知らないけど、たぶんお酒を注文しないのはルール違反なのかなって思った。しかも相手はソムリエさん。
　来月は、普茶料理か虫養い料理って考えていたけど、ランチに来るのもいいかなと、結論つかず帰路についた。

　コラーゲンや栄養いっぱいの料理で、なんだか細胞がぽかぽかしてる気がする。新陳代謝が活発になっているような感じ。明朝起きたら、口内炎も治ってそうに思える。精神的にも体調的にも高揚してるのが不思議。今日は、食事の力って大きいなぁと実感しました。