偐万葉・ひろろ篇(その5)
偐万葉・ひろろ篇(その5) 本日は偐万葉シリーズ第65弾、偐万葉・ひろろ篇(その5)であります。和歌数は少ないのですが、「戯れ詩」というか「替え詩」というか、長い詩を一篇作ってしまいましたので、文字数の関係で、繰り上げ掲載と致します(笑)。 <参考>ひろろさんのブログ 入口 偐家持がひろろの郎女に贈りて詠める歌5首及び戯れ詩1篇 並びにひろろの郎女の返しける歌2首青き実の 花は真白き ベルの如 咲きて少しの 幸せぞよき (ほどほど家持) みちのくの 海人(あま)はいづちや 影絶えて 古き小舟(をぶね)の ゆらりとふたつ (北の旅人) いづかたや 鳴くほととぎす 声清み 田の面(も)に張れる 水も光れり 白き花 摘むこっちゃんに これあげリュウ 天使二人や お日様微笑(わら)ふ (家持幼稚園) ひろろの郎女の返しける歌ヨチヨチと 弟差し出す シロツメに 「ひとちゅ?ありがと♪」 とティアラ編む 葦の間を 行くや小舟の 水尾(みを)涼し 夏の毘沙門 風渡るらし ひろろの郎女の返しける歌さへずりと 子らの歓声 艪(ろ)のきしみ 閑けさのなか 遠く木霊(こだま)す (汗 m(_ _);m) 偐原中也 「留守番の夏」 中原中也 「湖上」 (「在らざる日の歌」所収) (「在りし日の歌」所収)グウグウ腹が鳴りましたら、 ポッカリ月が出ましたら、冷やし素麺(さうめん)くひませう。 舟を浮べて出掛けませう。つゆはたっぷりあるでせう、 波はヒタヒタ打つでせう、薬味も少しはあるでせう。 風も少しはあるでせう。 家を空けたらいかんでせう、 沖に出たらば暗いでせう、見もせぬテレビの話し声は 櫂から滴垂(したた)る水の音はちかしいものに聞こえませう、 昵懇しいものに聞こえませう、‐‐‐ページをめくる音の間を。 ‐‐‐あなたの言葉の杜切れ間を。 クーラーは聴き耳立てるでせう、月は聴き耳立てるでせう、少しは冷えても来るでせう、 すこしは降りても来るでせう、ひとり煙草を喫ふ時に われら接唇(くちづけ)する時に灰皿はそばにあるでせう。 月は頭上にあるでせう。 わたしはなほも、読むでせう、 あなたはなほも、語るでせう、よしないことや戯れ事は よしないことや拗言(すねごと)や、読まず飛ばしてゆくでせう。 洩らさず私は聴くでせう、‐‐‐ページ繰る手はやめないで。 ---けれど漕ぐ手はやめないで。 グウグウ腹が鳴りましたら、 ポッカリ月が出ましたら、冷やし素麺くひませう、 舟を浮べて出掛けませう、つゆはたっぷりあるでせう、 波はヒタヒタ打つでせう、薬味も少しはあるでせう。 風も少しはあるでせう。 <参考>過去の偐万葉・ひろろ篇入口 (その1) (その2) (その3) (その4)<注>掲載の絵画・写真は全てひろろさんのブログからの転載です。