偐万葉・松風篇(その16)
偐万葉・松風篇(その16) 偐万葉シリーズ第99弾は、松風篇(その16)です。偐万葉も遂に100回目前となりました。松風さんとは2008年8月以来のブログ交流ですが、歌も今回で402首となり、400首の大台に乗りました。ようやる(笑)。 <参考>1.過去の偐万葉・松風篇及び松風偐万葉集(1~3)は コチラからどうぞ。 2.松風さんのブログはコチラからどうぞ。なお、掲載の 絵画は全て松風さんのブログから転載させていただ きました。 偐家持が松風朝臣麻呂(まつかぜのあそんまろ)に贈りて詠める歌19首松鳥(まつどり)の 何や待つらむ ときすでに みやまの風の 秋深みかも世は捨てな みやまの森の 奥深く 鳴くとふ鳥の 声ぞ聴かまし (求道家持)鶴見野に のこるはだれの いちしろく 恋は告(の)らさね 人は知るとも (バレンタインの娘子) (注)はだれ=まだら雪 春の雪 消(け)ぬれど寒き 鶴見野を 行く人ひとり 青き衣(きぬ)着て切株に 立ちて反り身は 空き缶も 春の景色を 眺むるならし (鶴見珈琲麻呂) ビニールの 蛹(さなぎ)なるらし 忘れ傘 ポプラの洞(うろ)に 羽化待つらむか (偐蝉丸)寄り添ひて 枝さしのべる 木々たちの 青き空なり 春にしあれば すずかけの 木(こ)のした馬は 朝風を 胸分(むなわ)け駆ける 春の足音 (馬耳東風)カラスらも かこつ朝寒 大池の 島にし寄りて 春の日恋ふや (偐鴉持) うらうらに 春日(はるひ)は照れど みちのくの ことし思へば 胸ぞふたげるあは雪の ほどろに降り来(く) 避難所に 身を寄す人の いかにかあらむ 若き日は 夢と過ぎにし 若人(わかうど)の 春野走るを ともしとも見つ (オールドブラックジョー)離(さか)り行く 影はあれども 芝草の 道の春日(はるひ)は 待てといはなく 老いの身と 思(も)はねどおやぢ 銀輪の 影にはいささ 老いも負ひける (注)いささ=いささか、少しのさ蕨の 萌えにけるかや すずらんの 花咲きにけむ 青き外灯 待つひとの 来むとし待てば 待つ間にも むらさきつゆくさ なほ恋ひにけり (紫郎女)杏咲く 丘へ銀輪 漕ぐ人の 青き衣(きぬ)見ゆ 欅道(けやきぢ)の春春こそは 萌ゆる光の 立つなれば 槻の坂道 銀輪駆けな (銀輪家持) (注)槻=ケヤキ(欅)たてがみに ひかれるものは はるならむ むまなびかせる そのたてがみに (注)むま=うま、馬