第10回ナナ万葉の会・わが園に梅の花散る
今日はナナ万葉の会の第10回例会の日。昨年4月から始めた月1回のナナ万葉の会も10回目となりました。 今回取り上げた万葉歌人は大伴旅人。山上憶良などと並ぶ万葉第3期を代表する歌人にて、大伴家持の父である。旅人の大宰府赴任の事情や当時の政治状況、長屋王の変などを交えながら、大宰府で妻を亡くした旅人の心にも寄り添いつつ、彼の歌を鑑賞。そして、天平2年(730年)1月13日、太宰帥大伴旅人邸で開かれた観梅の宴での歌32首の中のいくつかを解説、鑑賞致しました。 喫茶ナナ(cafe de nana)に行く前に近くの和菓子屋さんに立ち寄りました。会のお茶休憩の折に参加者の皆さんに召し上って戴こうと考えてのものでした。「我が園に梅の花散る」が講義のサブタイトルであり、観梅の宴の歌を取り上げるので、「梅」をモチーフにした和菓子があれば「落ちがつく」のだが、という小生の目論見でした。 しかし、世間はそうは都合よくはできていないもの。梅関連の菓子はなし。仕方がないので桜餅と苺大福を買い求める。桜と苺で「埋め合わせ」で「ウメ」になるだろうと苦しい駄洒落。 今日の参加者は男性3名、女性5名。小生を含めて全9名でした。会終了後はママさんから「おでん」の振舞もあって、ちょっとした新年会の風情。風雅の点では、旅人らの「観梅の宴」には及ぶべくもないが、小生も含めて皆さん「おでん」をペロリ完食。こちらも「完食の宴」にて、語呂的にはヒケを取らないのでありました。(ナナの店先には本日の案内チラシも) 本日の例会のタイトルの「わが園に梅の花散る」は、観梅の宴で主人役たる大伴旅人が詠んだ歌「わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも」という歌の一節を取ったものである。 白梅の咲き散る様を降る雪に喩えるというのは常套的なことで目新しくもない、陳腐なこととも言えるが、「天より雪の流れ来るかも」とゆったり歌い上げている処は、なかなかなもので、小生の好きな歌の一つでもある。 となれば、梅の写真を添えなくてはブログ的には点睛を欠くというものと、ナナへと向かう途中の道すがら、梅は咲いているかと探しつつ銀輪を走らせたのですが、ありました。八尾市垣内5丁目にある小さな公園(善光寺の北東裏手)の入口に白梅が咲き始めていました。(梅の花) 梅を雪になぞらえたように、万葉に登場する梅は白梅であるから、これでよし、である(笑)。 取り上げた梅の歌のうちのいくつかを記して置きましょう。春されば まづ咲くやどの 梅の花 ひとり見つつや 春日暮らさむ (山上憶良 万葉集巻5-818)青柳 梅との花を 折りかざし 飲みての後は 散りぬともよし (沙弥満誓 同巻5-821)わが園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも (大伴旅人 同巻5-822)梅の花 散らくはいづく しかすがに この城の山に 雪は降りつつ (大伴百代 同巻5-823)万代に 年は来経とも 梅の花 絶ゆることなく 咲きわたるべし (佐伯小首 同巻5-830)梅の花 今盛りなり 百鳥の 声の恋しき 春来たるらし (田氏肥人 同巻5-834) 次回第11回例会は2月23日午後2時からと決まりました。今回は「梅」であったので、次回は「桃」とします。タイトルは「くれなゐにほふ桃の花」です。今回は大宰府でしたが、次回は越中高岡になりますかな。 但し、今回のように「取材」をしている余裕はなさそうです(笑)。 本音では2月は飛ばして3月にと思っていたのですが、2月もやれとのことでありました。では、どちらさまもご免なさって下さいませ。<参考>ナナ万葉の会関連の記事はコチラ。