銀輪花散歩・マサキに似ても葉は全縁
このところ銀輪散歩も毎度の近隣コースを走るばかりで、これと言った目ぼしい気付き・発見もありませぬ。 ということで、銀輪散歩その他で見掛け撮影した花などの写真を並べてみることとしました。(花はマサキに似たれども) この花は、鹽竈神社(宮城県)の境内で見たものであるが、マサキであろうと撮影したもの。 帰宅して、以前のブログ記事に掲載したマサキの写真と比べてみたら、ちょっと雰囲気が違う。花の姿はよく似ているが、花の付き方が、こちらは葉の付け根部分に密集してかたまるように咲いているのに対して、マサキの方は花柄が長く伸び、そこに花を咲かせているので、このような塊状の咲き方ではなく、すっきりとした姿で咲いている。 また、花もよく見ると、中心部の蕊の部分が、こちらは丸型なのに対して、マサキの方は角型である。 そして、決定的に違うのは、葉が全縁であること。つまり鋸葉ではないのである。マサキの葉はギザギザのある鋸葉である。また、葉の形もマサキの方はやや丸みを帯びた形であるのに対して、こちらは細長い形をしている。(同上)(同上) 言葉で説明しても理解され難いでしょうからマサキの花と葉の写真を掲載します。比べていただければ一目瞭然。 なんで、これをマサキと間違うかなあ、と思われるかも知れませんが、それはこのように並べて見るから言えることで、別々に目にすると、このような細部の違いを意識してはいないもので、間違いやすいものです。(マサキ 2017年7月30日記事に掲載の写真の再掲載)それ花は正木に似るも葉は全縁 正木に非ずその名知らずも (な告りそ家持)(本歌)大船の津守が占に告らむとはまさしに知りて吾がふたり寝し (大津皇子 万葉集巻2-109) マサキなら鋸葉なり鹽竈の 神の宮にし逢へる木やナニ (木石家持)(本歌)紫は灰さすものそ海石榴市の八十の衢に逢へる児や誰 (万葉集巻12-3101)<追記>マサキに似た上の木はモチノキである と友人の小万知さんから教えていただ きました。 次は、カヤツリグサの仲間。名前は存じ上げぬ。 サンカクイという名前が脳裏に浮かび、ネットで参照してみたが、ちょっと感じが違う。(カヤツリグサの仲間) これがサンカクイ(三角藺)なら、万葉集に「知草(しりくさ)」という名で登場している植物がサンカクイだという説もあるから、偐万葉的にはまことに好都合ということになるのであるが(笑)。(同上)湊(みなと)葦(あし)に交じれる草のしり草の人皆知りぬわが下思(も)ひは (万葉集巻11-2468)(河口の葦にまじっている草のしり草のように、人皆が知ってしまった、私の心の中の思いを。)(注)しり草(知草)=不詳であるが、サンカクイとする説がある。<追記>小万知さんからテンツキに似ているという コメントを頂戴しましたが、確かに似てい ますので、テンツキということにして置き ます。 名前不詳の植物が続きましたので、次は名の知れたものを。 これはニワトコだろうと思います。真っ赤な実が美しい。 上の万葉歌につなげて言えば、こちらは「しのぶれど色に出にけり」と言う奴で、真っ赤です。(ニワトコ) よく見ると、密集した赤い実の中央部に何やら虫が居ます。蝶か蛾の幼虫ようですが、その種の虫は苦手というお方は余り見つめすぎないで下さい。(同上) このニワトコ(庭常)も万葉植物なのであります。 「やまたづ(山多豆・山多頭)」という名で登場します。君が行き日(け)長くなりぬ山たづの迎へを往かむ待つには待たじ (衣通王 万葉集巻2-90)(あなたが行ってしまって日も経ちました。やまたづのように迎えに行きましょう。待っているだけなんてしてないで。) この歌は、ニワトコの葉に注目しての歌。ニワトコの葉は対生である。枝の左右に向き合って(正対して)葉がつく。つまり対面しているのであるから、そんな風に対面すべく迎えに参りましょう、と言っているのである。 そして、対面できたなら彼女(衣通王)はこの真っ赤な実のように、満面こぼれんばかりの笑みを彼(軽太子)に向けるのでもあるか。 赤い実つながりで、次はヒョウタンボク。(ヒョウタンボク) ヒョウタンボクは友人の小万知さんから教えていただいた名前。 二個ずつ背中合わせに実が生るというので、それが瓢箪の形に見えるというところからの命名であるか。人もなき国もあらぬか我妹子(わぎもこ)と携(たづさ)ひ行きてたぐひて居(を)らむ (大伴家持巻4-728)(人の無い国が無いものか。貴女と手をつないで行って、二人一緒に居たいものだ。) この実には、こんな歌が似合いだろうか(笑)。(同上) 花散歩と言いながら、花らしき花が登場しないのでは、不当表示という誹りも受けかねませんので、何処からも文句の出ない花を掲載して置きます。 この時期には似合いの花、ホタルブクロです。(ホタルブクロ)(同上) この花は、下から覗き込むようにして撮影しないといけないから、少し面倒。 その労を省くと下の写真のように花の裏側を撮っているだけで、些か寝呆けたような写真になるのであります。まあ、蛍の寝袋ですから、寝呆けていてもいいのではあるが。(同上) 次は睡蓮。ヒツジグサ(未草)とも呼ぶようだが、こちらは上を向いて咲いている。しかし、池の中に咲いているので、真上から覗き込んでこれを写すというのは無理である。(睡蓮・未草) 最後は、ヒメヒオウギ。 これは、銀輪散歩ではなく、智麻呂邸の若草ホールで花瓶に挿してあるのを撮ったのであり、このように周囲をぼかす加工をする前の写真を既に掲載したことがあるので、番外編特別参加ということで。(ヒメヒオウギ) 以上、とりとめもない花散歩記事でありました。