若草読書会・俳句よもやま話
今日(3月30日)は若草読書会のお花見会の日。当初の大阪の開花予想日は3月23日であったのだが、25日に延び、今日ようやく開花宣言となったようです。そんな次第で、お花見会は完全に大外れの設定日となってしまいましたが、予定通りに実施でありました。 と言うのも、毎回前年の12月上旬頃までには、メンバー各位の日程調整をし開催日を決定し、東京方面の遠方からの参加者もある関係で、雨が降ろうが、花が咲いていまいが、予定通りに実施するというのが、我々若草のお花見という訳なのである。 兼好さんは「月は隈なきを、花は盛りをのみ見るものかは」と言って居られますが、さすがの彼も呆れる「花の咲かぬを見る」今日の我々のお花見には「もの好きにもほどがある」と言うのほかないのかも(笑)。 それを予想してか、若草ホールの主である恒郎女さんから、凡鬼さんに何か俳句に因んだお話をしてもらえないかという要望が出され、それをヤカモチから同氏にお伝えしたところ、快くお引き受けくださいました。 ということで、今日午前11時若草ホール集合にて、先ず凡鬼さんの「俳句よもやま話」というタイトルの講話で会が始まりました。 参加者は、恒郎女さんとそのお嬢さんのめぐの郎女さん、凡鬼さんとその夫人景郎女さん、祥麻呂さん(千葉県からのご参加)、槇麻呂さん、利衣郎女さん(今回初参加)、和郎女さん、偐山頭火さん、そしてヤカモチの10名。 俳句の三大季語、雪、月、花について、芭蕉、蕪村、夏目漱石、飯田龍太、永井荷風、中村草田男、大石悦子などの句を解説しつつ、さらりとした紹介があり、「文人と俳句」という今日の主テーマ、「俳句を本業としていない芸術家、文化人、政治家などの俳句」をとりあげて、解説をいただきました。 そのうちのいくつかの句を紹介・列記すると、以下の通り。 久保田万太郎 秋風のふきぬけゆくや人の中 湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 夏目漱石 菫程な小さき人にうまれたし 叩かれて昼の蚊をはく木魚かな 寺田寅彦 徒に凍る硯の水悲し 哲学も科学も寒き嚔哉 芥川龍之介 凩や目刺しに残る海の色 あお蛙おまえもペンキぬりたてか 永井荷風 行春やゆるむ鼻緒の日和下駄 色町や真昼しづかに恋の猫 竹久夢二 指がまづそれと気のつく春の土 人妻となりたる君におぼろ月 平塚らいてう 川面吹き青田吹き袖にみつ みどり児の眠る真昼や合歓の花 中村吉右衛門(初代) 道かへて櫻の道を歌舞伎座へ 温泉の町に銀座もありて目刺し売る 佐藤春夫 影ふかくすみれ色なるおへそかな 千枚の青田渚になだれ入る 吉屋信子 稲妻や将棋盤には桂馬飛ぶ 東海道松の並木に懸大根 宮沢賢治 秋便り菊の隠密はひり候 斑猫は二席の菊に眠りけり 三好達治 菜の花や渡しに近き草野球 千住の化け煙突や雷きざす 五所平之助 永き日や波のなかなる波の色 あまぎ嶺の虹に妻呼び妻と見る 大久保橙青 黄金と呼ぶ礁あり春の海 国会をぬけて涼しき句会かな 松本清張 障子洗ふ上を人声とおりけり 子に教え自らも噛む木の芽かな 檀一雄 姫うつぎ見つつ祝ぐ子の盛り 地の果てに立つや虚空の石の色 藤沢周平 汝を帰す胸に木枯鳴りとよむ 桐咲くや田を売る話多きむら 正午過ぎに講話終了。 お花見会は弁当、飲み物各自持参が恒例。 ということで、各自持参のお弁当で昼食。恒郎女さんとめぐの郎女さんがご用意くださったお味噌汁をいただきながらの、雑談&お弁当タイムでありました。 第2部はたこ焼きパーテイであるが、その前に、桜花は期待できないものの、お花見会である以上、「長門川の桜の花はいかにかあらむ」と花見散歩に出かけることに。 偐山頭火さんは、散歩には参加せず、長門川畔まで我々を見送っての早退でありましたので、たこ焼きパーテイは欠席であります。<参考>若草読書会4年ぶりのお花見 2024.4.1. さて、実は、ヤカモチは、若草ホールに着いたのが10時半であったので、会が始まる前にと、長門川畔の桜を下見していたのでした。(長門川畔の桜並木) 昨年は4月1日がお花見会でありましたが、花吹雪が舞うほどの花の盛りでありました。それに比べると何ともはや、の状態であります。 それでも、よく見ると数輪咲いている木もあるにはあるのでありました。(同上・開花宣言をしてもいい程度の咲き具合) ということで、ともかく皆うち揃って散歩に出かけることに。 めぐの郎女さんは留守番で残ることに。(同上・ズームアップ) まあ、一応は咲いているので、こんな風にそこだけを切り取れば、十分に「花の盛り」であります。 しかし、「霞か雲か匂ひぞ出づる」と参らねば、他の花を花見することもよかろうと、色々な花を撮影してみました。(スミレ) はい、先ずはスミレであります。(カリン<花梨>) そしてカリンの愛らしき花。 この木はまだ若木にて、背丈も人間の背丈よりも少し高いだけ。(同上)(オオキバナカタバミ) オキザリスの仲間。景郎女さんに何の花と問われて、オオキバナオキザリスと和洋折衷のような名前を申し上げてしまいましたが、オキザリスはカタバミのことですから、正しくはオオキバナカタバミであります。(トウグミ<唐茱萸>) ナツグミとも言うそうですが、要するにグミであります。(ラッパスイセン) 他にも、ハナニラ、ムスカリ、ノボロギク、ヒメオドリコソウ、ホトケノザなどなど色々な花の、花見散歩。 そして、今年もセイヨウカラシナの黄色い帯。(恩智川畔のセイヨウカラシナ) 長門川は恩智川の支流、東から流れ込む御神田川と南から流れ込む長門川が新若草橋の下付近で恩智川に合流しているのである。 とまあ、色々な花の花見をして、鯉の群れ泳ぐ姿や鴨は羽を羽ばたかせて水浴びをする姿などを見つつ、たわわに実を付けた金柑が日に照り映える様を愛でたりの、しばしの散策でありました。(長門川畔のモニュメント・よみがえる魚たち)(同上・副碑) そして、若草ホール前の小さな公園の一角にある葉を落とした銀杏の木と飛行機雲。これは、例により早々と昼食を済ませたヤカモチが食後の一服と外に出て、タバコを喫いながら撮った食後の空であります。 花見散歩に出かける2時間近く前の撮影であります。(銀杏の木と飛行機雲) 散歩から若草ホールに戻ると、めぐの郎女さんが、たこ焼きパーテイを始めるべく、たこ焼きを焼き始めて居られました。 30分か40分程度の散歩ではお腹が空く筈もなく、しかし、一応は別腹ということで、皆さん数個は食されました。<参考>若草読書会関係の過去記事はコチラ。