偐万葉・ふらの篇(その2) 本日は、雪深き富良野の森から、シリーズ第198弾、偐万葉・ふらの篇(その2)をお届け致します。
<参考>過去の偐万葉・ふらの篇はコチラ。
furano‐craft氏のブログはコチラ。
同氏開設の木力工房・富良野麓郷庵(富麓庵)のHPはコチラ。
偐家持がふら麻呂に贈りて詠める歌19首併せ俳句4句
並びにふら麻呂が詠める歌1首併せ俳句1句
恋ひ恋ひて 遠くしあれば ふるさとは
去りにし女の 笑みにも似たる
(注) 敢えて「やさしき母の笑みも似たる」にしないのが偐万葉なので
ある(笑)。
斧の色も さまにしなるや 一閃の
形におのが 斧と知るらし (斧の小町)
(薪割り)
ふら麻呂が贈り来れる上3句に偐家持が付けたる下2句の歌1首
北新地 歌の世界と 思ひけり (ふら麻呂)
わが身は北の 大地にあれば (偐家持)
ふら麻呂が贈り来れる歌1首並びに偐家持が追和せる歌1首
銀輪を 遠くの冷地で まちわびて
その日のために 努力おしまん (ふら麻呂)
深草の 少将がごと 家持は
百夜は待たじ 斧にも死なじ (斧家持)
麓郷の 森に雪ふみ わがなせし
おのが斧これ つばらにも見よ (斧麻呂)
(注) つばらに=詳しく、詳細に。
斧ひとつ 突き立て春を 吾は待たむ
雪しんしんと 降り重く森に (斧麻呂)
麓郷の 厳しき冬も 斧一閃
打ちおろしてぞ われ此処に生く (斧麻呂)
斧の柄の 色もしるべと われ置かむ
道の隈廻に それとこそ知れ (斧の小町)
森の色は 同じと見ゆれ いたづらに
道に迷へる ひともやあらむ (森野小町)
(本歌)花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
(小野小町 古今集113 小倉百人一首9)
(斧のオブジェ)
三十頭 春さり来れば 揃ふとふ 富良野の春を 今かと待たむ
(修正歌)三十頭 春さり来れば 揃ふとふ
富良野の鹿の 出で来を待たむ
中原中也風に、
来るわ来るわ 鹿のオブジェが 出て来るわ
富良野の森に 春芽吹く頃 (鹿原鹿也)
山部赤人風に、
春の森 鹿を見むとて 来しわれぞ
森なつかしみ ひと夜寝にける (森辺菫人)
(本歌)春の野に すみれ摘みにと 来しわれぞ
野をなつかしみ ひと夜寝にける
(山部赤人 万葉集巻8-1424)
(鹿のオブジェ)
麓郷の 雪踏み平し 蝦夷鹿も 今かも春と 出でにし来る (鹿麻呂)
麓郷の 森はわれこそ 案内せむ
しかとなすなり しかにしあれば (鹿麻呂)
このたびは 角もめでたき 牡鹿なり
春張り切れと 足踏み張れる (角麻呂)
わが背子は 蝦夷鹿見せつ 麓郷の
森の芽吹きを いつぞ示すや (高市鹿人)
(本歌) 我妹子に 猪名野は見せつ 名次山 角の松原 いつか示さむ
(高市黒人 万葉集巻3-279)
(鹿のオブジェ)
降りしけば 道たづたづし 富麓庵
雪やむ待ちて 行かせわが背子 (大雪女)
(本歌)夕やみは 道たづたづし 月待ちて
行かせ吾背子 その間にも見む
(豊前国の娘子 大宅女 万葉集巻4-709)
わが思ふ かたちもとめて 今日もかも
富良野の森と 語らひ行かむ (偐富良持)
きみが思ふ かたちは良けど 大雪の
富良野にしあり 身をこそいとへ
わがなせし うたをよしとす ひとひとり
ありてうれしき きさらぎのころ (にせやかもち)
春なれど リスもスリ寄る 寒さかな (松尾栗鼠)
蝦夷リスと メシなどしたき 雪の日は (松尾栗飯)
蝦夷リスも わが友とせむ 雪降れば (松尾桃栗)
(リスの食堂)
<脚注>掲載の写真はfurano‐craft氏のブログからの転載です。