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カテゴリ:最近読んだ本
最近すっかり山に行けないので書く山ネタも少なくなってきた。
なので最近読んだ本の紹介など。 凍傷の「凍」です。 奥多摩在住の世界的クライマー山之井泰史さんが2002年ヒマラヤの7000m峰で雪崩事故に遭ったときのルポタージュです。 8000m近い山の困難な壁に無酸素で登頂し、吹雪の中凍傷を負った手足で下山中の雪崩事故。切れかけた7mmのロープを使っての果てしない下降。傾斜70度の氷壁にへばりつくようなビバーク。凍り付いて動かない手足、高度障害で見えない目。さらに気の遠くなるようなベースキャンプへのみちのり・・・ 読んでる方にはエキサイティングだけど、渦中の人物にはたまらない地獄でしょう。よくもまあこんな地獄のような山から生還したものです。 ため息が出ます。 そして、ああ自分にはこんな厳しい山は無理だ。開き直ってしまいました。 やっぱり垂直はハードだ。 自分にはやや水平的な山や放浪のほうが向いている。 そんなんでこんな本も読んでみました。 マンガです。 めったにマンガなんて読まないんですが、あちこちの書評で絶賛してたので眺めてみたら抱腹絶倒! 筆者はマニアには著名な漫画家である。その作者がマンガが描けなくなって、失踪→自殺未遂→路上生活→配管工→アル中病棟に至るという転落人生がギャグをまじえつつ、実にほのぼのタッチで描かれている。 雑木林にこもって、拾った乾麺を空き缶で料理したり、竹を使ってビールの栓をあけたりとあるものを最大限利用する路上生活者の知恵はアウトドアにも通ずるところがあるかもしれない。 そういえば、昔フランスシャモニのキャンプ場に1月くらい長逗留してたとき、結構ゴミ箱をあさった。 テントを張る前に、まず下に敷く段ボールを拾った。木箱を拾って食品格納庫とシステムキッチンを作った。拾った木の板でまな板を作った。 ここはおなじように長逗留の人が帰るときに鍋や食器を捨てていくので結構いろんなものを拾ったりもらったりしたものだ。残った酒や食料や調味料。鍋釜食器にワイングラス。テントやヘルメット、山の本、山のウェアまでくるものはこばまずにもらい続けたら自分が帰るときにものがあふれすぎて困った。テントは2つほど捨てた。鍋なんか最後に5~6個は捨てたもんな。 ついでに言えばむこうの人はパンが主食なのだが、パンはすぐに堅くなり堅くなったパンはすぐに捨てられてしまう。なのでそのキャンプ場にはパン専用のゴミ箱があった。私は人としてそのゴミ箱は開けなかったが、他の貧乏な日本人キャンパーはよくそこから堅くなったパンを失敬し、フレンチトーストにして食べていたものだ。 そうはいっても、その時の私はといえば何ヶ月も世界を放浪してた時で、日本人にまで英語で話しかけられるほど国籍不明の風貌になっていたから、その姿で毎日ゴミ捨て場に掘り出し物はないかと通う姿はやっぱり浮浪者とおんなじかもしれないな~住所不定無職だったし。 このマンガを読んでみたらアウトドアと浮浪者との境が曖昧になって見えました。向こう側の世界への理解を深めたい人にはお勧め? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年11月02日 00時02分46秒
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