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2005年12月15日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 今週月曜日に友人達とのんびり奥多摩の山に行き、星と焚き火を囲んで山飲み会を実施し、いざ山から降りてくる頃になって突然、妻から連絡がきた。

「陣痛がきそう・・・」と

「え~ちょっと早いんでないか!」と狼狽する自分

 そう出産予定日は12月25日なのだ。
 妻も長男(15月)も里帰り中なので、夫がいなくても別に問題はないのだが、やはり出産の場には居合わせたい。
 上の子もいるので父親としても全面的に協力したく、今回は1週間前の12月19日から育児休業までとって、万全の体制で臨んでいるのだ。
 そして今回はその前のせめてもの息抜きの山であったのだ。

 とにかく山からおり自宅にて待機。
 しかし陣痛の知らせはなく、翌火曜日に妻の実家である横浜にでむくがまったく陣痛の「じ」の字もなくとりあえず一安心。
「せめてあと5日産むのまって」とお願いして帰る。

 しかし翌水曜日にきました。
 破水のため入院したとの知らせを受け取り、仕事終了後青梅の職場から横浜まで直行する。夜のためがらがらの16号とばして午後9時半には病院に到着した。

「あ~よかった間に合ったみたい」

しかし息を切らせてたどりついた陣痛室には涼しい顔をした妻が

「まだぜんぜん来ないよ」と涼しげに言う。

 破水したのにこないもんなのか?
 陣痛うんぬんより昼から退屈で退屈でしょうがないとのことで一緒に、姉歯の証人喚問の話やジェイコムの株の話など世間話して過ごす。
 分娩室からは別の妊婦のいきみ声が聞こえてくるというのに我々は余裕を通り越してうるさい夫婦であったかもしれない。
 そんなこんなで深夜1時頃まで一緒にいたものの、一向に陣痛がくる気配がなく、
「今日は無理かな~」
「明日の朝医者に診てもらったうえで、陣痛促進剤入れるようだね」といった気配がすでに濃厚であったため、慌ててかけつけた夫は、とりあえず身の置き場もなくなってしまった。
 
 妻も2度目なので余裕である。
「もう今夜は無理だから、もういいよ」と言う。
 
 もういいよと言われても自分の居場所がないことにふと気づく。
 陣痛室にいると妻の睡眠の邪魔だし。
 かといって廊下の椅子は寒いし、とても寝れたもんじゃない。
 もう深夜なので妻の実家に行くのは気がひける。
 一応、車に寝袋積んであるので、車の中で寝るつもりでいたが、病院の駐車場は料金がかさむし、第一、車で寝袋で寝ていたら通報されそうだ。
 どこか人目のない路上で、車中泊しようとうろうろするが、横浜は人口密度が高く、相当の奥地まで人家があり、街灯がこうこうとついて、しかも深夜だというのに普通に人が歩いていて、車の通りも非常に多い。
 
 これから子供が産まれるという期待と不安を落ち着かせるような場所がないのだ!
 
 そしてこんな時に自分が一番落ち着ける場所はいつも「山」なのだということに気づく。そしていつしか丹沢方面にむかっている自分がいたのだ。

 横浜といっても西の方なので丹沢にはとても近いのだ。
 そして携帯の電波もよく入る。
 かつて知ったる某温泉の上につらなる林道を走り、夜景のきれいな広場にて車をとめ、携帯の電波が届くことを確認して車の中に寝袋にくるまった。
そして前夜祭とばかりにノンアルコールビールで乾杯!
 午前3時の冷たい空気の中満月が輝いて見える。
 やっぱり山はいい!
 そういえば、満月の日にはお産が多いと、助産婦の友人が言っていた。
こんなことなら月の満ち欠けも計算にいれておくべきだった。
 
 そしていろいろと考える。

 明日どんな子が産まれるんだろう?
 一人目の時は、出産前からずっと妻の実家にまかせっきりだったので全然父親としての実感はなかった。
でも一人目の子と一緒に過ごしながら徐々に父親としての実感がようやく産まれてきたのだ。
 だからこそその分、二人目は最初からきちんと関わりたいと思っていたのだ。

 朝は6時に起きて早速病院に車を走らせる。
 月曜日に山に行ったときは、夜中3時まで飲んでいて翌朝は昼前まで起きれなかったのは段違いだ。

 病院にかけつけると、昨日から何も替わっていない風景の中
「まだうまれないよ~」と妻は言った。

 このままでは何なので、陣痛促進剤を入れることになった。
 しかしなかなか来ない。
「最速でいつぐらいに産まれますか?」
 助産婦さんにそう聞くと
「う~ん、ものすごく早くて夕方でしょうね。今日中には産まれないかもしれません。ご主人は一回家に帰った方がいいですよ」と答えた。

 え~そんなに?
 今夜もしんどい夜になりそうだ。その前にちょっとやすんでおこう。
 そう言えば、昨夜から職場~車~病院~山~病院とかけまわって着ている服はよれよれのばい菌だらけ。せめて、もう少し清潔にして我が子と対面したい。それに実家に預けっぱなしの上の子も気がかりだ。
 
 そういうわけで、昼頃に自分だけ、妻の実家に戻ることにした。
 普通陣痛が着てから産まれるまで6時間以上かかるというから、ここから10分の妻の実家なら余裕で間に合うのだ。

 しかし事態は急展開する。
 妻の実家に戻り、子供と一緒に遊び、昼ご飯を食べているところに妻から電話が入り
「産まれたよ~」と一言

「げ~早くないか!」と内心の動揺を隠しつつ、汚いかっこのまま再度病院に逆戻り。
 無事に出産の長女とご対面である。
 自分が出ていってすぐに陣痛がきてあっという間の安産だったらしい。
出産に立ち会えなかったので、夕方といった助産婦さんを恨みたくもなるが、でもきちんと取り上げてくれたことに感謝である。
五体満足に産んでくれた妻に感謝である<(_ _)>
安産に何よりなのである。

 いくら山好きとはいえ、妻の出産の夜に山の中で野宿した夫は多分そうはいないだろうと思うけど、でも前の夜、丹沢の山中で一人、子の無事の出産を願った夜のことは多分きっと自分にとって忘れられない夜になるのだろうし、娘にも語り継がれていくエピソードになるのだろうなあ・・・
そんな大切な思い出を作ってくれたすべての人たちに感謝、そして山に感謝の夜でした・・・





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最終更新日  2005年12月16日 23時04分40秒
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