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テーマ:ささやかな幸せ(6742)
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前々回にちらりと触れましたが、昨年12月に父が肺ガンで亡くなりました。
8月に入院したときには既にステージ4の末期でその時点ですでに余命1~2月を宣告されたのです。 でも父はがんばりました。 人の死は天命です。誰もその天命に逆らえません。 ああまだ親父に何かをしてあげる時間が残されているな、と。 父は無類の旅行好き、車旅好きで、僕が子どもの時から毎年きまって、家族そろって田舎のある福島や北海道には車中泊で出かけていたし、子ども達が成人した後も月に何度もぶらりと旅に出ていました。
私の旅好き放浪好きは父親譲りなのかもしれません(笑)
新緑のまぶしい5月の頃でした。 一の倉の大岩壁を見上げた父は「こんなすばらしい岩壁が日本にもあるんだ」と感激していました。 帰り道、湯桧曽から291号線を離れ、尾瀬方面に向かうと、その道なりとても美しい峡谷が眺められました。
だから、自分にとっても親父にとっても、この谷川岳と照葉峡はひときわ思い出深い土地であり、だから親父の余命がわずかと知らされた時に、この場所に絶対に連れていってあげたいと思ったのです。
すべて抜けるまで1月はかかったでしょうか。 主治医に相談しました。 親父はどう思っていたのかしりません。 そしてそれは自分の休みと紅葉と渋滞と相談し、昨年11月4日に実現したのです。 運転手に自分 見上げるばかりの大岩壁の上部にうっすらと雪をまとい、中段には目も覚めるようなあでやかな紅葉。
「冥途のみやげができたなあ」と親父がつぶやきました。 「またきたいね。」
予定ではこんろく峠を越えて、尾瀬に抜け、温泉にはいって帰宅するつもりでしたが峠間近に思いがけず積雪があり、引き返す羽目に。 「今度は泊まりがけでどこかに行きたいね」
こんな旅で満足したわけではないでしょう。 「またいこうよ。このすぐ近くの湖の畔にけっこう素敵な旅館があるんだ。ちょっと高いけど。、良くなったら連れていくよ」 そしてそんな夢を叶えてあげられることなく、数日後に父は他界しました。 父と最期に行った谷川岳。 病床の父を谷川に連れ出したことは、もしかした父の死期を早めてしまったのかもしれません。 死んでしまえば何も残らない。 そんな感動を与えてくれた山に感謝!
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最終更新日
2011年02月08日 00時15分32秒
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