静嘉堂@丸の内「明治美術狂想曲」
先週、静嘉堂文庫美術館の特別展「明治美術狂想曲」を観に行きました。丸の内の明治生命館1階にあり、重要文化財に指定されている重厚な建物です。入口を入ると広いロビーのようなスペースが広がり、すぐそこで紹介ビデオが流れていたので、まず、ビデオを観てから展示を観ることにしました。今回は「明治美術狂想曲」という特別展で、初めて重要文化財に指定された狩野芳崖の龍虎図屏風や黒田清輝の問題作品があるということで楽しみにしていました。残念ながら、狩野芳崖の「龍虎図屏風」は前期のみの展示で観ることはできませんでしたが、今回の展覧会で印象に残った作品をご紹介します。<河鍋暁斎 地獄極楽めぐり図>河鍋暁斎が制作した「地獄極楽めぐり図」という40図が折本として綴られた画帖。この作品は、日本橋の小間物問屋が14歳で早逝した娘・田鶴(たづ)の供養のため河鍋暁斎に依頼したものです。田鶴の臨終の場面から始まり、芝居小屋や見世物小屋などを巡り、地獄を覗いて極楽に辿るまでの場面をユーモラスに、丁寧に描いています。それぞれの場面で田鶴が嬉しそうにしている姿が描かれ、心温まる思いがしました。河鍋暁斎の人々を描く画力に改めて感動し、暁斎のファンになりました。ミュージアムショップでは、この画帖の縮小版が置いてあり、じっくり見ることができました。<黒田清輝 裸体婦人像>最後の展示室には、黒田清輝の「裸体婦人像」などの作品と当時の黒田の画室の写真などが展示されていました。まるで黒田清輝の部屋のような雰囲気を醸し出しています。この作品は、渡仏時に制作された裸体画で、帰国後に展覧会で展示された際、下半身を布で覆って展示されました。これを「腰巻事件」と呼び、問題作とされていました。布で覆われた当時の写真も展示されていて、興味深かったです。<国宝 曜変天目>そして、静嘉堂文庫美術館の所蔵で最も有名な「曜変天目」茶碗。鮮やかな青色、神秘的な模様が輝いて見えました。ずっと見ていたいくらい、本当に美しかったです。この展覧会は、6月4日(日)まで「静嘉堂@丸の内」で開催されています。興味のある方は、ぜひご覧になってください。●静嘉堂文庫美術館 https://www.seikado.or.jp/