先週、国立新美術館で開催されている「生誕110年 東山魁夷展」を観に行きました。
平日の午後ということもあり、並ぶことなく入館できましたが、会場内は混雑していました。
今回は、生誕110年ということで東山魁夷の生涯をたどり、その時々に描いた美しい風景画を観ることができました。
東山魁夷は東京美術学校を卒業後ドイツへ留学、ヨーロッパ各地を訪れたことが、後の画業に大きな影響を与えています。
そして戦後、昭和22年に39歳で「残照」が日展で特選を受賞、42歳で日展に「道」を出展するなど、日本の風景画を描く画家として知られるようになりました。
54歳で北欧の旅に出て、北欧の幻想的な風景に出会い、多くの作品を残しています。
その後は、古都・京都の風景画を数多く描いています。
京都・円山公園の枝垂桜と月を描いた「花明り」は素晴らしかったです。
昭和45年には奈良の唐招提寺から国宝鑑真和上坐像を安置する御影堂の障壁画制作を依頼されます。日本の風景を見ることのできなかった鑑真和上を思い、日本各地の風景を写生して歩き障壁画の基礎としました。
そして、昭和50年に、上段の間には山の絵「山雲」を、神殿の間には海の絵「濤声」を描き、第1期として奉納しました。
第2期として、今度は鑑真和上の故郷である中国に渡り、中国の風景を写生しました。
昭和55年、72歳で初めて水墨画にも挑戦し、唐招提寺御影堂障壁画「黄山暁雲」「揚州薫風」「桂林月宵」を奉納し、障壁画制作は完成しました。構想から10年の月日が経っていました。
現在、御影堂が修理中により、会場に唐招提寺御影堂の襖絵をすべて再現・展示しています。
奈良の唐招提寺に行かず、東京で見ることができる貴重な機会なのです。
そして最晩年に描いた、大きな風景画の美しさ、力強さにも感動しました。
会場出口には、森の湖畔を白馬が歩く「緑響く」の大きなパネルが置いてありました。
この展覧会は、12月3日まで六本木の国立新美術館で開催されています。
興味のある方は、ぜひご覧になってください。
●「生誕110年 東山魁夷展」の公式サイト http://kaii2018.exhn.jp/