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カテゴリ:絵画・音楽鑑賞
東京国立近代美術館で開催されている「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」を観に行きました。 棟方志功は、日本を代表する版画家として映像を通しても知られています。 棟方志功は青森に生まれますが、ゴッホの「ひまわり」の絵に衝撃を受け、ゴッホになると言って「帝展」目指し、21歳で上京します。ところが、油絵で帝展に出品するも落選が続く中、版画に目覚め、数々の賞を受賞すると、版画に活路を見出します。 そして39歳の時、自らの木版画を「板の声を聞き、板の生命を掘り起こす」という強い思いから「板画」と呼ぶようになります。板に向かって一心不乱に迷いなく彫る棟方志功の姿が印象的です。 いくつかの作品をご紹介します。 「東北経鬼門譜」 日本の鬼門にあたる東北は凶作が続き、そんな禍を鎮めようと、故郷東北への祈りを込めた大作です。この6曲1双の屏風は、120枚もの板木を使っていることに驚嘆します。 「二菩薩釈迦十大弟子」 文殊菩薩と普賢菩薩の二菩薩と釈迦の十大弟子を彫った板画を6曲1双の屏風に仕立てています。 様々な姿にポーズ、白黒のコントラストがモダンでダイナミックな作品です。 この作品は、1956年ヴェネツィア・ヴィエンナーレで日本人初のグランプリを受賞し、まさに「世界の棟方」へのきっかけとなった作品です。 宮沢賢治の「雨にも負けず」 この二枚の和紙に、「雨にも負けず」の詩と絵がぎっしり描かれています。 版画なので、彫る時は裏文字でこれだけの文字を彫り、黒い輪郭線を邪魔しないよう、絵には和紙の裏側から色を付ける「裏彩色」を施しています。 「弁財天妃の柵」 棟方志功らしい大首絵の傑作作品で、裏表から色鮮やかに彩色されています。 この作品は、昭和57年に「近代美術シリーズ」の切手にもなりました。 私の好きな作品です。 今回の展示は出品数も非常に多く、特に大作が多く、大変見応えのあるものでした。 これだけの作品を肉筆ではなく版画で制作したことに改めて棟方志功の偉大さを感じます。 この展覧会は、12月3日(日)まで東京竹橋の東京国立近代美術館で開催されています。 興味のある方は、ぜひご鑑賞ください。
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Last updated
2023.10.27 10:52:45
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