破字の上塗り
色々なシーンで今、新人さん達が色を添えている。そのまばゆくも、馴染んでいない色合いで、たいてい「あ、新人!」と解るものだ。でも、色の鮮やかさを失わず居て欲しい。街をカツカツ歩く、新熟の社会人を見て思った。昔抱いた夢をまとっている人は、どれ程いるのだろう。学生時代に想った『将来の夢』と、40歳位になった時、まさに一致している人を見ると、カッコイイと思う。一致していなくても、幸せな暮らしにあれば、とても素敵だ。でも、その一途さには、唸りを上げてしまうと思う。小学校の文章、『将来の夢』。『美容師』『ミュージシャン』『看護婦さん』『国語の先生』『大統領』‥僕のクラスメートは皆、素敵なビジョンを持っていた。『エンターティナーに成る』そう書いた僕も、漠然としたくくりだが、なかなかだ。以後、中学では『芸人に成る』 高校で『役者に成る』くくりの中で、右往左往してる様がよく解る。しかし、その夢の横に「「小・中・高」と一貫して補足してきた、夢がある。それは『字が上手く成ります様に‥。』夢よか、神頼みだ。昔から僕の字は、クチャクチャと落ち着き無い。今にも走り出さんとしている、疾走感だけが好評な字だ。残念ながら今の所、あの悲痛な夢が叶った様子は無い。本当に字は、性格や心を見事に表すと思う。頼れる人の字は、しっかり濃くて、型のバランスが良い。温和しい人の字は、薄めで小ぶり。ぽやっとした人に至っては、「る」を最後ピタッと締めずに、「ゑ」程〆を伸ばす。それは長過ぎだが、ハネや濁点なんかにも、のんびりした感が見られる。見られゑ。字とはその人の裸に近いかも知れない‥。昔から、書道でもうっかり賞を取ってしまう程、2度書きが上手い僕。上塗りせずとも、上手く、しっかりとした字が書ける様に生きたい。でも何よりも「自分以外も読めて」「不快じゃなく」「らしい」字が書けるという事が、一番素敵なのかもしれない。パソコン時代だし‥。‐みずのしま‐