やまのみず×結婚式
ぅわっ‥穴‥空いてんだった‥気付いたのが遅かった。結婚式を控えた、前夜23時‥スーツの首もとに2ミリ程度の穴が存在する事を思い出した。有り得ない‥スーツが虫食いに遭うなんて。みったくない。みっともない。目立つかな‥ハギレで上手く埋まるかな‥色々対処を考えたが、無理だ。まず、裁縫技術的に無理だ。そして29歳、羞恥的に無理だ。よし、新調しよう。しかし間に合うのか‥渋谷駅で待ち合わせ13時。スーツ屋さんの開店11時。間に合うか‥?「スーツお急ぎでお願いしまーす!」スーツ工房の厨房では、チャコペン担当、断ちハサミ担当、マチ針担当‥が躍起になり12時完成を目指す。いや、そんなオーダーメイドな身分じゃござんせん‥大丈夫べ。と眠りこけ、翌朝11時に渋谷へ向かう。熱い‥快晴だ。親友である新郎はアツく、晴れ男な顔をしているので、当然の天気なのかも知れない。そうして、言わずと知れた「渋谷109」下のスーツ屋さんで、‥難無くスーツを入手。あ、こんなに気軽に買えるのね!反社会的な生業(危なっかしい意味じゃなく‥)をしている僕には、「スーツ」なんて新鮮な買い物だった。さて、12時だ。待ち合わせまで一時間あるし‥あ!忘れた‥カメラ‥忘れた。一応親友の結婚式だし、やまのみずの公演でもある。一時間‥か取りに戻ろう!灼熱の週末のヒトゴミ雑踏を汗だくで走り、電車を継ぎ、また家に戻る。いやぁ‥しかし上手くいくだろうか‥?今回のやまのみず出し物は、とにかく野間と僕しゃべくりまくるのだ。5ページに渡る台本6・5割野間、3・5割水島が弾丸の様にしゃべる。そして弾丸の様に噛む‥稽古で噛まずに通せた試しがない僕。自宅に着き‥カメラを取り‥再び渋谷に戻る間、セリフ噛むより先にガムをガツガツ噛んでおいた。やまのみず3人が待つ渋谷へ、15分遅れでスマンスマンと到着。リハーサルもあるので15時に会場入り‥の前に恒例カラオケにて最終確認。渋谷駅から会場までは歩いて15分程‥その中途のカラオケ屋に入り、4~5回読み合わせる。やはり‥噛む。キシリトールの生易しいガムじゃ噛み足りないのか。まぁ、程よい不安を残しつつ(んなもん本来は置き去りたいが)、カラオケを出る。会場で用事のあった熊が、ヤベィとカラオケを出るなり急いで‥歩きじゃ間に合わないってんで駅まで戻り、先にバスで会場へ向かった。やま・の・みずは、進行の確認をするでもなく、茹だりながら、ユルリ歩いて会場へ向かう。途中、もう噛みません様にとコンビニで願掛けガムを買う。思えば去年、初の「やまのみず結婚式公演」の道のりも、晴れ晴れしく茹だる暑さだったなぁと、懐かしく思った。んお、こりゃやまのみず、結婚式にお似合いの晴れ集団なのだろか?式に呼びたいめでたい集団では居たい気がする僕である。そうして、プラプラ歩きそろそろ会場近くだろうか。バスがやま・の・みずの後ろからやってきて、数メートル先で停留した。でもしや‥、と思ったが‥やはり、熊が降りて来て、こちらに気付きもせずダッシュで先の角を曲がって行った。一同「ダッセー!!!」爆笑である。角を曲がると会場だった。こんなにユルリと、しかもコンビニまで寄った我らと変わんねぃじゃん!茹だる中、熊走っってった意味ねぃじゃん!!会場前に着くやさもさっきからここ居たよ的な爽やかさで「お疲れっ!」と我らに労いの声掛け‥ぃや熊でしょ!疲れたの!!いやぁ、おくびにも出さぬクールガイである。そして先に着いていたトラックから、和太鼓を7台会場へ運ぶのを手伝う。そう、今回野間が、何年か振りに余興で新郎含む6人で太鼓を叩くのだ。野間太鼓‥これはかなり素敵なのだ。大学在学中から、野間達の太鼓は聞いて来たが、やはり素晴らしいのだ。いよいよ会場入り。熊は裏方作業で忙忙‥野間も太鼓で忙忙‥山田と僕はただただ、鏡を見てカッコつけてるしかない。そして、リハーサル。会場お付きの方もコントに絡むので、一通り流す。リハ待ちの次の劇団が見て、かなり笑っている。そうなりゃ僕も、図に乗ってくるじゃないか‥ペラペラと、噛まずにスラス~ラ‥野間との掛け合いもなかなか良い感じにいい加減に進む。式場の方と絡む山田も、上手くやってる様だ。熊のプレステゲームから録った音源も、更に会場を焚き点ける。リハだが、かなりの手応えを感じ控え室へ。「リハなのに、なんで見てるんだよ」と、未完のステージを見られた山田は、いつも通りご立腹している。まぁ次の出番の劇団は準備で観られないから、観ていた様だ。「あぁ‥本番観て欲しかったなぁ」と落胆する山田。その通りだ。皆さんが一丸となって、やまのみずの全力という名の弾丸を観て欲しいのだ、やはり。しかし、まぁ反応が良かった訳で、皆なかなか余裕をもった表情になった。一時「どうして‥?」という程に雷が鳴り、スコールの様な雷雨が降り注いだが、お陰で灼熱も和らいだ様だ。そうして万事環境が調い、式は始まった。~熊脇に継ぐ~‐みずのしま‐