「々」の『閑話休題。』
先日、車で環状七号線を走っていたときのことである。前方に大きな2tトラックがハザードランプ(ウインカーではなく、両方点灯するランプで、主に駐車時や緊急時、道を譲ってもらったときの感謝の合図に使用する、と思われる)を点けてい走っていた。「渋滞かな?」そう思ったのだが、道はガラガラ。駐車する気配も無く、トラックはずっと直進し続ける。一体何の合図なのだろうか・・・。ただのんびりと後方を走っている私に、何か感謝をしているのだろうか。「後ろを着いて来てくれてありがとう、励まされるよ」という事なのか。いや、相手はトラック野郎なのだから「俺の後ろを来やがるか、こいつぁありがてぇ、いくぜ!ピリオドの向こうへ!」ということなのか。それないだろう。ただの消し忘れなのかな・・。たまに私も、ウインカーやハザードを消し忘れて走ることがある。しかし、それにしては些か長すぎるような・・・。まさか・・・眠いのか。むしろすでに寝ているのか。蛇行こそしてはいないが、運転手が安眠しているというケースもないことはないのだろう。このままでは私が永眠してしまう可能性がある。このハザードは、これから起こる緊急事態への「合図」なのか・・・。それに巻き込まれるわけにはいかない。私はウインカーを点滅させ、そのトラックを追い抜いた。そして私は、なぜトラックが延々とハザードランプを点灯させているか、その事実に気づいたのだ。トラックのすぐ前方にもう一台、荷台のないトラックがくっついていた。正確には、荷台の無いトラックがハザードトラックを引っ張っていたのだ。レッカーである。そりゃ、トラックといえど車は車。レッカー移動もされるのだろうが、ここまで大きいトラックがレッカーされると予測できはしない。暫し、レッカー車に見とれてしまう私がいた。ハザードランプの意味は「私、今レッカーされてます」・・・いや、トラック野郎なのだから「俺は今レッカーされとるけぇ、その辺よろしく」という合図だったのだ。蓋を開けてみれば、なんてことの無い事実だが。このレッカー車がなにかしらトラブルに会ったとき、さらにそれをレッカーする車もあるのだろうか・・・と、都心を巡る環状七号線で感情をめぐらせていた。