製造業における日本的経営の問題点について書こうと思います。
前回の日記の続きです。私は基本的に現在の日本の製造業界は世界一の能力を持っていると考えているので(これは、開発業務や、品質問題に関わった方なら似たような感想をお持ちの方が多いと思います。)、どうしてもそういう傾向のことを書くことが多いのですが、半面、外国の製造会社(特に欧米)と比較して明らかに劣っている部分があるので今回その部分に触れようと思います。私が見渡した限りでは、諸外国の製造会社(それもM&Aを頻繁に行った会社)は経営する能力が優れている会社が多い傾向にあると感じています。前回、日本的経営の利点として、社員を安易にレイオフしない姿勢が長期株主の利益向上にかなっている旨書きましたが、それは製品の製造、開発面においては絶大な威力を発揮するのですが、これが、会社全体の経営になると逆に作用する場面が多いのです。新聞などにも時々書かれますが、不採算部門を長期間抱えていたり、経営上の欠点をずっと放置し続けたりというのは明らかに日本的経営をきちんと運用していないが為に発生する現象です。(経営面での問題解決活動をきちんと履行していないゆえ起こる現象です。)一方、諸外国の製造会社はどちらかというと経営ゲームをするような感覚で採算事業、不採算事業を区分けしてドラスティックな改革を短期間に行うのはしょっちゅうですし、買収した会社のコントロールについては買収した会社の優れている所を残して、その会社の欠点を徐々に改革していく方法もきちっとしたノウハウとして持っていて、(これは恐らく80年代アメリカで流行った敵対的買収の結果得たノウハウだと思います。)その点においては日本の製造会社と比較しても全般的に優れている所だと考えています。その証拠に、国内の製造会社(自動車会社に多いと思いますが…)で外資の経営参入を受けてその後業績が回復した会社が数社見受けられますが、これは経営能力の差を如実に物語っていると思います。こうして見ると、どっちのやり方も運用方法を間違えると良くないことが言えるのではないかと思います。(現時点和洋折衷がいい結果をもたらしているケースも見受けられますがこれもベストではないと思います。)来年からの三角合併解禁というのは何気に大きな変化だと思うのですが、何となくですが、日本の製造会社はドラスティックな改革が苦手故に後手を踏むんじゃないかという気もしています。