三菱ふそうトラックの前輪ハブ破断事故について
今日、三菱ふそうのトラックの前輪が脱落したというニュースがありました。前回リコール後の改善部品と同部品装着車の不具合発生なので場合によっては再リコールの可能性があります。以下、新聞記事を引用してそれらについてコメントを書こうと思います。日経新聞から引用大型トラックの「ハブ」破断、三菱ふそうがサンプル調査へ 三菱ふそうトラック・バスは27日、大型トラックの車輪と車軸をつなぐ金属部品「ハブ」が破断するトラブルが今月17日に鹿児島県で発生したと発表した。けが人などはなかった。同社のハブをめぐっては、2002年1月に横浜市で破断が原因で脱落したタイヤに直撃され親子3人が死傷。当初、整備不良による摩耗が原因としていた同社は04年に一転、リコール(回収・無償修理)を届け出ていた。 同社は今回破断したのと同型のハブを使っているトラック100台をサンプル調査し、再リコールするか検討する。三菱ふそうによると、10月17日午前4時ごろ、鹿児島県志布志市の国道269号を走っていた大型トラック「スーパーグレート」の運転手が右前輪の異音に気付いた。右タイヤがホイールごと車軸から外れていたという。同社が点検したところ、右前輪ハブは完全に破断。左も同一の場所に亀裂があった。このトラックは1997年から使用され、走行距離は約92万キロ。同社は同型のハブは走行距離100万キロでも亀裂が発生しないとしていた。同社は横浜市の死傷事故を受けた2004年のリコール後、同型のハブへの交換を進めた。 (21:00) 読売新聞から引用三菱ふそうのトラック、改良型「前輪ハブ」もトラブル 前輪ハブが破壊、タイヤが脱落して走行できなくなった大型トラック=三菱ふそう提供 三菱ふそうトラック・バス製の大型トラックで今月、車軸部品の「ハブ」が破断し、タイヤが脱落するトラブルが起きていたことがわかった。 同社トラックでは2002年、横浜市でハブ破断によりタイヤが脱落し、母子が死傷する事故が発生、同社は計約24万台をリコール(回収、無償交換)したが、今回破断したのは強度を増した改良型ハブで、リコール対象外だった。 国土交通省は、改良型ハブについてもリコールなどの措置が必要か調査するよう三菱ふそうに指示した。 トラブルが起きたのは今月17日未明。鹿児島県内の運送業者のトラックが同県志布志市内の国道を走行中、右前輪のハブが破断、タイヤが脱落して走行できなくなった。周囲には歩行者などはおらず、けが人はなかった。 三菱ふそうが事故車両を調べたところ、左前輪のハブにも長さ約20センチの亀裂が発生しており、破断寸前だった。 三菱ふそうは、改良型ハブは走行距離100万キロまでは亀裂や破断などは起きないとしてきたが、今回はそれに満たない約92万4000キロで破断した。またハブが異常に摩耗しており、同社が指定する交換基準値の0・8ミリを上回る約1・2ミリすり減っていた。 この車両は1997年製の25トントラック「スーパーグレート」。04年に発覚した「欠陥隠し」問題後、三菱ふそうの整備工場でリコール改修を受けたが、改良型を装着していたため、ハブは改修対象外だった。 改良型ハブは94年製の車両から採用。強度は十分あるとして、現在も約15万台の大型トラックで使われている。三菱ふそうでは今後、点検整備などを行うすべての大型トラックを対象に、ハブの摩耗や亀裂を調査するという。(2006年10月27日19時37分 読売新聞)いつも日経新聞では不公平なので今回は読売新聞の記事も載せました。今回は事実のみを書いているため概ね間違いはありません。いつもこうだといいんですが、ろくに勉強もしていない癖に記事や社の知ったかぶりの文章力たっぷりのコメントや意味不明の提言など100%的を外しているというか、単なるデマレベルなので書くだけ無駄というか迷惑極まりないので正直やめて欲しいと思います。その意味では今回のこれらの記事は評価できます。しかし、やはり新聞社は品質問題に関してはずぶの素人なのでアプローチ不足は否めませんので今回その部分を書こうと思います。今回これらの文面を読むと「ひょっとしてまたメーカーに問題があったのか??」とか、「やはりり再リコールしなきゃいけないのか?」とメーカーの落ち度の有無によってリコール云々が決まるのではないかという印象を与えますが、これは根本的に間違っています。工業製品のリコールの重要な前提条件として、まず第一に使用者がきちんと使用方法を遵守した上で不具合が発生したのかどうかというのが最も重要なポイントになるのです。これが明確になり、使用者の使用方法に問題がない場合に初めて、次のステップとして製造、設計上の問題の有無について調査し、その結果製造、設計に原因があり、かつ、対象範囲が決定され、有効な改善策が決定してから当局に報告し、リコール実施となるのです。今回、これらの記事には問題解決にあたって一番最初のステップとなるべき、使用者の使用条件,、使用状況の調査状況についてのコメントがどの記事でもごっそり抜けているのです。因みに、今回のケースだと過積載の有無、制限速度リミッターの解除の有無、及びのれらの履歴ががどうなのかが真っ先に調査すべき項目になりますし、勿論三菱ふそうもそこから調査を始めます。その結果、使用者の使用方法に問題がないことが明らかになってから初めて次のステップに進むのです。(実際、部品の製造不良の可能性もあるので平行して調査しますが、考え方としては上記の方法がベースになります。)因みに上記2点は違法行為になるので仮にそれらの履歴が明らかになった場合はリコール対象外になります。これは私の個人的な感想なのですが、新聞社は過去に何度か自動車会社のリコール瑕疵問題について色々記事を書いてきましたが、その実品質問題の何たるかを全く把握していない印象があります。正直、勉強すべき教材、時間はたっぷりあるのに何もせずただ単に記事を書き続けているという印象を受けます…。リコール制度というのは国による国民保護の重要な施策であり、今後ますます厳格な対応を強いられる傾向にあるのは間違いないので、そろそろマスコミ各社もきちんと勉強して品質改善の何たるかをもうちょっと勉強して多少なりとも正確で質の高い情報提供を行って欲しいと思います。三菱リコール隠し事件の頃から記事の内容、質が全く進歩していないので今回ちょっと辛口に書いてしまいました…。