カテゴリ:書籍・雑誌
昨日午前4時過ぎ、自転車で新聞を配達していた女性が何者かに頭を鈍器のような物で殴られて重傷を負うという、痛ましい事件があった。
いつもだとこの時間になると、雲の切れ間は赤く染まり、紫がかった空が徐々に闇を吸い込んでうっすらと夜が明けてくるのだが、昨日は梅雨で空はどんよりと曇り、まだ暗かった。被害に遭われた方の恐怖は如何許りであったろうか。 私も配り始めて一年経つが、未だに恐怖を感じることがある。 そんな時は“いやいや、大丈夫。きっと後ろ斜め上あたりで父がじっと見守ってくれているはず。ね、お父さん!?”と、あの世で呑気に酒盛りでもしているはずの亡き父に脅し半分、泣き半分で助けを求める。といっても、自分の心の中でだけど。 嗚呼、そういえば昨日は父の日だったっけ…(^^ゞ 6月11日~20日までに読んだのは文庫本が6冊にコンビニ本が1冊。 コンビニの棚で見つけて即買した「戦国武将兜百撰 ビジュアルガイド」なる本は、織田信長、豊臣秀吉ら80名近い戦国武将の具足をオールカラーで紹介、具足の解説や兜・甲冑用語辞典、更には博物館案内までついているという優れものにしてお値段571円也。歴史に慣れ親しんで日も浅い歴女さんに買え!と言わんばかりのコンビニ本だ。ハイ、迷わず買いましたがな で、隅々まで嘗め回すように読んでいて驚いたのは、早逝した美形天才軍略家として一部の間では絶大な人気を誇る竹中半兵衛こと竹中重治の“魚鱗札二枚胴具足”が林原美術館蔵であるということ。林原美術館といえば岡山城のすぐ近所、我が家からも自転車で行ける距離だ。何とッ、こんな近くに半兵衛さんの具足があったとは!ぜひ行かねば! 創刊30周年を迎えた文春文庫が、宮本輝さん、浅田次郎さん、山田詠美さん、沢木耕太郎さんの各氏に、自身が愛読し、ぜひ多くの人にも読んでほしいと思う作品を選んでもらったという企画モノが「心に残る物語 ― 日本文学秀作選」シリーズ。 「見上げれば 星は天に満ちて」は、その中で浅田次郎さんが選んだ13篇が収録されており、森 鴎外、谷崎潤一郎、芥川龍之介、川端康成、中島 敦、山本周五郎、永井龍男、井上 靖、松本清張、梅崎春生、立原正秋、小泉八雲という、日本を代表する錚々たる作家の作品がズラリ揃っている。 全作品を紹介したいところだが、中でも心に残った作品をいくつか挙げれば、まずは永井さんの「青梅記」。借金苦で自殺する一家の、自殺直前の様子を書いた短編なのだが、これが全くカラリとしているため、かえって切ないという…。 井上さんの「補陀落渡海記」は、61歳で渡海することになった金光坊の話。これはスゴい。何がどう凄いのかは、書いている時間がないのでぜひとも読んでみていただきたい。何とも考えさせられる小説だった。 一番面白かったのは、山本さんの「ひとごろし」。如何にも山本周五郎らしい、心温まるストーリーで、主人公は臆病者の侍・双子六兵衛。この六兵衛が剣術と半槍の名人である仁藤昂軒という武芸者の討手になった。まともに闘って敵う相手ではないと考えた六兵衛は、とんでもない方法で昂軒に立ち向かうが…。 梅雨が上がればまた、夜空に輝く満天の星が見られるだろう。新聞配達の途中、ふと見上げると、星は天に満ち、懐かしい父の笑顔にも逢える。 明日は晴れるといいな… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.06.21 09:38:06
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