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2010.08.01
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カテゴリ:書籍・雑誌
 6月は梅雨で図書館に足が向かず、自宅の本棚で埃を被っていた本を久々に読み返したりして過ごしたが、7月はその反動もあってか、ジャンルはバラバラながら興味を惹かれた本を片っ端から借りて読んだ。とはいっても20冊程度だが…。
 藤田宜永さんは恋愛小説のイメージがありずっと敬遠していたのだが、今回手にした「壁画修復師」は静謐な中に温もりがあり、大人の男の匂いを感じさせる良書だった。女性作家の描く恋愛至上小説には微塵も興味が湧かないが、男性が紡ぐ淡い恋物語は好感が持てる。
 また、海難事故により南国の孤島に流れ着いた兄妹が瓶に入れて流した3通の手紙からなる表題作を始めとする夢野久作さんの「瓶詰の地獄」も味わい深かった。

 が、やはり個人的には歴史・時代小説の魅力に勝るものなし!
 新田次郎さんの「富士に死す」は、“富士講”中興の祖と称された食行身禄の波乱万丈の生涯を描いた作品。若干ボリューム不足ではあるが、かなり圧倒された。

 ただ、西日本に生まれ育ち、今まで数えるほどしか富士山を目にしたことのない(それも新幹線の窓からぼんやり眺めただけ)私には、身禄の教えがそれほど深く染み入らなかった。
 「浅間大菩薩は富士山であり、富士山は浅間大菩薩である。浅間大菩薩は天地万象の根源である。ありとあらゆるものの父と母は浅間大菩薩である。われわれは浅間大菩薩の恵みによってこの世に生きているのである。即ち富士講教義の根本は誠の心を以って浅間大菩薩に感謝することである。(略)浅間大菩薩の御恵みを受け、恩報感謝の誠を尽すことによって人間は安定した生活ができると考える」(P178)
 という身禄の台詞も、残念なことに富士山に全く馴染みのない私にはフィクションとしてしか響かないのであった。
 とはいえ富士山云々を抜きにして、自然の恩恵に感謝せよというのは、時代がどれほど移り変わろうとも必ず心にとどめておかなければならない、最も大切なことだと思う。

 近頃は軽装で富士登山に挑む命知らずが増えているとかで、先月の初めにも登山歴のない若者が長袖カッターシャツにジーパン、スニーカーの軽装の上に手ぶらで富士山に登り、携帯電話で救助を求めるというニュースがあったっけ。
 山を甘く見ちゃいかんぜよ。  山.gif   

book5.gif 7月に読んだ本 line2.gif

 歴史・時代小説
 ・彰義隊 (吉村 昭) 新潮文庫 2009 
 ・魂無き刺客 士魂の音色 (森村誠一) 中公文庫 2009
 ・幕末牢人譚 秘剣 念仏斬り (鳴海 章) 集英社文庫 2010 
 ・富士に死す (新田次郎) 文春文庫 2004 新装版 
 ・道連れ彦輔 (逢坂 剛) 文春文庫 2009 
 ・遊撃隊隊長 伊庭八郎 戊辰戦争に散った伝説の剣士 (野村敏雄) PHP文庫 2004

 歴史・時代モノ以外の小説
 ・命売ります (三島由紀夫) ちくま文庫 1998
 ・うしろ姿 (志水辰夫) 文春文庫 2008  
 ・雲の墓標 (阿川弘之) 新潮文庫 1958
 ・非常識家族 (曽野綾子) 徳間文庫 2010
 ・瓶詰の地獄 (夢野久作) 角川文庫 2009 改版初版
 ・武打星 (今野 敏) 新潮文庫 2009 
 ・壁画修復師 (藤田宜永) 講談社文庫 2009
 ・忘れ得ぬ翼 (城山三郎) 角川文庫 2001 

 海外モノ
 ・凍える森 (アンドレア・M・シェンケル, 平野卿子 訳) 集英社文庫 2007
 ・誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソン, 冨原眞弓 訳) ちくま文庫 2006
 ・迷路の中で (ロブ=グリエ, 平岡篤頼 訳) 講談社文芸文庫 1998 

 新書
 ・教養としての歴史 日本の近代 <上・下> (福田和也) 新潮新書 2009 
 ・知的思考力の本質 (鈴木光司、竹内 薫) ソフトバンク新書 2009    

 随筆、エッセイ 他
 ・ウエットな資本主義 (鎌田 實) 日経プレミアシリーズ 2010 
 ・ダダ漏れ民主主義 メディア強者になる! (日垣 隆) 講談社 2010
 ・ホームレス大学生 (田村研一) ワニブックス 2008
 ・ホンのお楽しみ (藤田香織) 講談社文庫 2010  





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Last updated  2010.08.01 08:08:52
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