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2011.03.01
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カテゴリ:書籍・雑誌
 「読まず嫌い克服」を今年の読書目標に掲げ、まず1月は苦手な女性作家モノを何冊か(たったの3冊だけど)読んでみたが、意外と抵抗なく読めたので、2月は若者に支持されていそうな人気作家の作品に挑戦してみることにした。
 とは言っても水嶋“ポプラ”ヒロさん(齋藤智裕さん)の「KAGEROU」に挑戦してみるほどの境地には到らず、無難なところで伊坂幸太郎さんと森 博嗣さんの作品を今更ながら初めて読んでみた。あ…水嶋さんの著書は若者にすら酷評されてたっけ。発売時のあの騒ぎは一体何だったんだろう?発行部数100万部超の大ベストセラーで、しかも発売からまだ2ヶ月半しか経ってないというのに、今年に入ってからは一切話題にも上らなくなってしまった。日本人は流行が好きだもんね(^^ゞ

 伊坂さんは以前から気になっていたので色々と読んでみたく、まずはデビュー作である「オーデュボンの祈り」から読んでみることにした。
 これがデビュー作!? と思わず唸ってしまいそうな、その発想力とテンポの良さに脱帽。最後の方の展開(城山と桜、彼女のアルトサックス等)には若干苦笑だったけど…(^^ゞ

 森さんは数ある作品群の中から、以前押井守さんが監督したアニメ映画が話題になった「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」を選択するも…う~ん、これはどうやら完全に選択ミスだった。10代、もしくは20代前半くらいまでにこの作品と出会っていれば、きっと興味をそそられただろうと思う。
 どうやらこれはシリーズもので、本来は時系列順に「ナ・バ・テア None But Air」から読むのがいいそうだが、オバハン(私)にはどうもこの作品の世界観に付いていけそうになく、早々に脱落。
 
 「スカイ・クロラ」を読み終えて間も無く、今度は特攻隊少年飛行兵達の手紙や日記、遺書に加え、関係者の談話を記した神坂次郎さんの「今日われ生きてあり」を読んだ。
 スカイ・クロラもこの作品もどちらも少年飛行兵の話ではあるが、言うまでも無くファンタジーと実話では重みが違いすぎる。まぁ一括りにするのもどうかと思うけど…。
 全19話すべてを紹介したいところだが、中でもとりわけ胸を打ったのが第14話「背中の静(しい)ちゃん」だ。
 両親を亡くし、愛する幼い妹・静恵(静ちゃん)を一人残して特攻出撃した大石清伍長の話で、彼は静ちゃんの作ったマスコット(特攻人形…裁ち残りの端切で作った女の人形で、これを持っていると身替りになって、隊員達のかわりに人形が死んでくれると信じられており、飛行機乗りはこの人形を腰に吊るしたり、縛帯に結んだり、操縦席にぶら下げたりしていた)をとても大事にして、いつも飛行服の背中に吊っていたという。突入する時、人形が怖がると可哀想だから、とおんぶでもする様に…。
 そんな心優しい大石伍長が最期に静ちゃんに宛てた遺書は、何度読んでも涙が込み上げる。

 <なつかしい静ちやん!
 おわかれの時がきました。兄ちやんはいよいよ出げきします。
 …略…
 時計と軍刀も送ります。これも木下のをぢさんにたのんで、売つてお金にかへなさい。兄ちやんのかたみなどより、これからの静ちやんの人生のはうが大じなのです。
 もうプロペラがまはつてゐます。さあ、出げきです。では兄ちやんは征きます。泣くなよ静ちやん。がんばれ!>

 他にも、読みかけの本にシオリを挟んで戦場に出て行った第二十振武隊・穴沢利夫少尉の恋人に宛てた手紙や遺書(心充たれてわが恋かなし)。雨期のニューギニア密林の中を飢渇と病に苦しみながら彷徨い歩いて力尽きた飛行第六十八戦隊・青野軍曹の、想像を絶する最期(サルミまで…)。身重の妻と愛する娘を残して出撃した第六十四振武隊国華隊・渋谷健一大尉が、娘と生まれてくる愛しき子宛てに遺した手紙の一文「父恋しと思はば空を視よ。大空に浮ぶ白雲に乗りて父は常に微笑(わらひ)て迎ふ」(父に逢いたくば蒼天をみよ)等々、どの話も胸を締め付けられる。
 また、あとがきで紹介されている、三角兵舎(知覧基地の特攻隊員宿舎)の当番兵を勤めていたという老人の話には号泣した。老人は、まだ星の出ている特攻出撃の早朝に熟睡している隊員達を起こしに行き、
「起床の時間であります。ただいま四時であります」
と告げるのが任務だったそうで、話がそのくだりにくると老人は大粒の涙を膝に滴らせ、先に進まない。幾度も話をすすめようとするも、「起床の時間であります…」そう云うとまた唇を震わせたという。戦後何十年経とうと決して癒えることのないその老人の痛恨、哀惜の念に思いを馳せ、読み終えても涙が止まらなかった。

 「靖国で会おう」と誓い合って出撃した特攻隊員達だったが、戦後65回目となる昨夏の終戦記念日には菅首相をはじめ、閣僚、政務三役の誰一人として靖国神社に参拝しなかった。
 彼等が今のこの国の体たらくを見たら、一体どう思うだろうか?

 book5.gif 2月に読んだ本

 歴史・時代小説
 ・今日われ生きてあり (神坂次郎) 新潮文庫 1995
 ・若君御謀反 (中村彰彦) 角川文庫 2009     

 歴史・時代モノ以外の小説
 ・オーデュボンの祈り (伊坂幸太郎) 新潮文庫 2003
 ・神と野獣の日 (松本清張) 角川文庫 2008 初版改版 
 ・スカイ・クロラ The Sky Crawlers (森 博嗣) 中公文庫 2004
 ・東京・地震・たんぽぽ (豊島ミホ) 集英社文庫 2010
 ・夏の流れ 丸山健二初期作品集 (丸山健二) 講談社文芸文庫 2005    





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Last updated  2011.03.01 22:54:40
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