カテゴリ:書籍・雑誌
先日、猛烈な眩暈と吐き気に襲われた。夕方からのバイトを30分足らずで交代してもらい、帰宅後すぐさま布団に潜りこむや一気に発熱。翌朝の新聞配達と古本屋さんのバイトは休みをいただき、熱さまシートを額に貼ってひたすら爆睡していた昼下がり、携帯電話が鳴った。配達所からだ。うーん、嫌な予感。案の定、「明日は出てくるように」とのこと…鬼だ
一方、東電の社長さんはかなりの高血圧と極度の眩暈で入院されたとか。 まぁ高血圧は心臓や脳血管にきたりして命に係わることも少なくない(私の母も高血圧→脳出血で今なお半身不随)ので大事を取るのも必要だろうが、原発事故から一度(13日の会見)しか姿を見せず、やっと出てくるのかと思えば入院って…。 微熱をおして新聞を配った自分の方がまだほんの僅かばかり責任感があるような気がする(^^ゞ 責任といえば…。 戦争防止に努めながら文官としてただ一人A級戦犯に挙げられ、裁判を通じて一切の弁解をせず従容として死を受け入れた不世出の政治家・広田弘毅の生涯を克明にたどった、城山三郎さんの名著「落日燃ゆ」を今更ながら読んでみた。 「戦争を止められなかったので、責任が全く無かったとは言い切れない」 と戦争責任を一身に負い、一切の弁明もせず絞首刑になった広田元首相の「自ら計らわぬ」生き方には深く感銘を受けた。 そういえば、ネット上では既に今回の原発事故における「絞首刑に値するA級戦犯リスト」なるものが出回っている。…あれ?東電の社長さんの名前が入ってない?あ、違うリスト(強欲な人たち 無能な人たち)に入ってた。 まさか清水社長、広田元首相を真似て一切の弁明どころか一切物言わぬつもりなのだろうか? 「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」 と、宮沢賢治は「農民芸術概論綱要」の序論にはっきり書いた(いや、書いているらしい。未読で恐縮)。はたしてそうなのか? 玄侑宗久さんの「慈悲をめぐる心象スケッチ」は、慈悲を希求し、それゆえ自らに怒りを向けた痛ましいほど美しく清らかな宮沢さんの想いを、慈悲をテーマに玄侑さんの視点で描いた心象スケッチだ。 今まで宮沢賢治にはほとんど興味がなく、何年も前にたまたまダイソーで購入した100円本(「宮沢賢治II 風の又三郎 オツベルと象 ほか」)を1、2度読んだことぐらいしかないのだが、先日行った図書館で何故か妙にこの本が気になり、早速借りて読んでみた次第。 作家であり御住職でもある玄侑さんが、同じく文学と法華信仰に生きた宮沢さんについて綴っているので、当然ながら仏教色が濃くて少々難解なところもあったが、宮沢さんの哀しいまでに慈悲を追い求めた生涯に胸が詰まった。 今まで何とも思わなかった有名な「雨ニモマケズ 風ニモマケズ…」がどれほど痛切な言葉であったかを、この本を読んで初めて知ることが出来た。 余談だが宮沢さんの生まれた年には三陸地震津波が、また亡くなった年には三陸沖地震が発生し、宮沢さんの故郷である岩手は地震後に襲ってきた津波により甚大な被害を受けたという。今回の東北地方太平洋沖地震による大津波でも岩手は甚大な被害を被ってしまったが、宮沢さんが天候や災害を憂慮しつつも農業に対して最後まで希望の光を失わなかったように、岩手をはじめ東日本の被災地に一日も早く明るい光が灯ることを祈るばかりだ。 3月に読んだ本 歴史・時代小説 ・うわばみの記 (小泉武夫) 集英社文庫 2006 ・奇妙(けったい)な侍たち (神坂次郎) 中公文庫 2008 ・妻は、くノ一 (風野真知雄) 角川文庫 2008 ・星影の女 妻は、くノ一 2 (風野真知雄) 角川文庫 2009 ・身も心も 妻は、くノ一 3 (風野真知雄) 角川文庫 2009 歴史・時代モノ以外の小説 ・人柱はミイラと出会う (石持浅海) 新潮文庫 2010 ・ブラフマンの埋葬 (小川洋子) 講談社文庫 2007 ・落日燃ゆ (城山三郎) 新潮文庫 1986 海外モノ ・99999(ナインズ)【WHEN THE NINES ROLL OVER & OTHER STORIES】 (デイヴィッド・ベニオフ【David Benioff】, 田口俊樹 訳) 新潮文庫 2006 ・野生の呼び声【THE CALL OF THE WILD】 (ジャック・ロンドン【Jack London】, 深町眞理子 訳) 光文社古典新訳文庫 2007 エッセイ、その他 ・慈悲をめぐる心象スケッチ (玄侑宗久) 講談社文庫 2011 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.31 20:34:40
コメント(0) | コメントを書く
[書籍・雑誌] カテゴリの最新記事
|
|