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「読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」といわれる夢野久作さんの「ドグラ・マグラ」。いつかは必ず読んでみようと思いつつもなかなか手が出せなかった本書を、41歳の春だから(?)読んでみた。
…うーん、凄ぇな。よくもまぁこんなことを考えついて、それをだらだらと小説に出来たもんだ…というのが悲しき凡人である私の読後感であった。精神に異常を来すほど、理解出来なかったのである。とはいえ、十分に楽しめた。特に終盤は圧巻であった。呉一郎青年が発した「お父さん、この間あの石切場で、僕に貸して下すった絵巻物を…」という一言にはぞわぞわした。 久々に読書の醍醐味をじっくりと味わうことが出来て嬉しかった。 今月はまた歴史・時代小説ばかりを選んで読んでしまった。やっぱりいいねぇ、落ち着くねぇ。歴史・時代物は心に響く。 葉室 麟さんの「銀漢の賦」も、いつか読んでみようと以前に購入したはいいがずっと本棚で眠っていたのを、ようよう起こしてみた次第。 月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、幕閣にまで名声が届いている名家老・松浦将監は同じ剣術道場に通っていた幼馴染。ところがある出来事を境に、進む道が分かれ絶縁状態になっていた。二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す―という、男の友情物語。 過去と現在を行きつ戻りつしながら進む物語のテンポがよく、所々に引用されている漢詩が見事に全体を引き締めていて、評判どおりの好著だった。 4月に読んだ本 歴史・時代小説 ・風の囁き 妻は、くノ一 4 (風野真知雄) 角川文庫 2009 ・月光値千両 妻は、くノ一 5 (同上) 角川文庫 2009 ・宵闇迫れば 妻は、くノ一 6 (同上) 角川文庫 2009 ・美姫の夢 妻は、くノ一 7 (同上) 角川文庫 2010 ・胸の振子 妻は、くノ一 8 (同上) 角川文庫 2010 ・国境の南 妻は、くノ一 9 (同上) 角川文庫 2010 ・初秋の剣 大江戸定年組 (風野真知雄) 二見時代小説文庫 2006 ・山田方谷 河井継之助が学んだ藩政改革の師 (童門冬二) 学陽書房 人物文庫 2002 ・銀漢の賦 (葉室 麟) 文春文庫 2010 歴史・時代モノ以外の小説 ・夢野久作全集 9 ドグラ・マグラ (夢野久作) ちくま文庫 1992 エッセイ、その他 ・嫌われない毒舌のすすめ (有吉弘行) ベスト新書 2009 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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