カテゴリ:書籍・雑誌
昨夏からのトリプルワーク生活がバイト先の店舗閉店のため10月末で終了した。常連のお客様達の中には「次の仕事どうするの?」と心配して下さった方もいらしたが、暫くはダブルワークに戻ってゆっくりしようと思う。
とはいえ数年ぶりに味わった、あのめいっぱい働いた後の充実感は忘れがたいので、ひょっとするとまた近いうちに3つめのバイトを探すかも…(^^; 10月に読んだ本はたったの5冊だった。それに漫画が3冊。 待ちに待った中村 光さんの「聖☆おにいさん」最新刊はちょっとネタ切れかな?と思わなくもないけど、まぁウリエルの笑顔を見ることが出来ただけでもよしとしよう。 私は普段から歴史・時代小説を特に好んで読むのだが、数年前に「のぼうの城」という作品がエラく話題になったことがあった。そんなに面白いのかえ?と単行本を購入して読んでみたら、あまりの内容の薄っぺらさと主人公の魅力のなさにガッカリ。易々と流行に乗った自分を恥じた。(たまたま私には合わなかっただけで、面白いと感じた方も多かった。まぁ好みは人それぞれですから) 以来、なるべく流行や評判には囚われず、たとえ見たことも聞いたこともないような作品であろうとも、自分が面白そうだと感じた本を読むようにしている。そうして出合った印象深い作品に祖父江一郎さんの「関ヶ原前譜 ある逆臣の生涯」(文庫版は「加賀芳春記 ある逆臣の生涯」に改題)などがあるが、今回また久々に素晴しい作品に出合えた。 今年4月に中央公論新社から出版された矢的 竜さんの「折り紙大名」である。 古着屋の娘・きぬの創作折り紙に魅了された佐貫藩主・松平重治は、不治の病にかかった四代将軍・家綱を慰めるための竜神を折らせるべく、きぬに手紙を書く。しかし、幕府の決まりに反したこの行動が、将軍継嗣問題ともからんで重治は窮地に立たされる…。 (Amazon.「BOOK」データベースより) タイトルだけ見ると何とも軽そうな内容に思えるが、こんなにも熱く折り紙について綴った小説は後にも先にもないだろう。いや、折り紙の記述も確かに素晴しいが、それ以上に松平重治の純粋でひたむきな忠義っぷり、そして後半に差し掛かるまで予想だにしなかった彼の悲劇的な最期には胸を締め付けられる思いで涙が溢れた。万が一興味を持たれた方は迷わず読むべし! この折り紙大名こと上総佐貫藩第2代藩主・松平重治はちゃんと実在した人物で、奏者番や寺社奉行等を歴任しながらも貞享元年(1684年)11月、みだりに身分の低い者と交わり綱紀を乱したとして改易され、会津藩主・保科正容に身柄を預けられた後に会津で病死したという謎の殿様である。 但し“みだりに身分の低い者と交わり…”という改易理由の謎は未だに不明なままで、作者である矢的さんは“はて?一体何をやらかしたのであろう?”と考え、たまたま興味を持っていた折り紙と結びつけてこの作品を書き上げたのだとか。なので実際に重治が折り紙に興じていたわけではないらしい。だとしたら何と斬新な発想から創造された小説なのだろう。 40歳を過ぎてようようと戦争に対する恐怖心を克服し、特攻隊に関する書籍もちらほら読むようになったが、遅すぎた、と後悔している。もっと若いうちに読んでおくべきだった。知っておくべきだった。 この世で最も残酷な兵器の一つである人間魚雷「回天」について深く知りたいと思い、宮本雅史さんの「海の特攻「回天」」を読んでみた。 空に散った特攻隊員の話は何冊か読み、彼等の家族や国を憂う真摯な想いに心を打たれたが、海に沈んだ彼等もまた同様で、その一途で純粋な想いに涙が止まらなかった。彼等は皆、息子達と変わらぬ年頃の青年達である。特攻隊員達のひたむきな想い、同時に彼等の親の気持ちを思うと胸が張り裂けんばかりに痛んだ。 彼等の想いを、命を、決して無駄にしてはいけない。彼等が命を懸けて守ろうとしたものは何であったのかを忘れてはならない。 10月に読んだ本 歴史・時代小説 ・折り紙大名 (矢的 竜) 中公文庫 2011 ・真田幸村の妻 (阿井景子) 光文社時代小説文庫 2001 ・本覚坊遺文 (井上 靖) 講談社文芸文庫 2009 新書 ・検索バカ (藤原智美) 朝日新書 2008 エッセイ、その他 ・海の特攻「回天」 (宮本雅史) 角川ソフィア文庫 2011 まんが ・聖☆おにいさん【7】 (中村 光) 講談社 2011 ・武士道残飯物語 (いしいひさいち) 双葉文庫 2006 ・大江戸頓馬無芸帖 (いしいひさいち) 双葉文庫 2010 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.01 16:04:02
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