カテゴリ:書籍・雑誌
私はここ楽天さん以外にAmebaさんでも駄ブログを綴っているのだが、そのアメブロにはブロガー自らのプロフィールを紹介するページがある。そこでの“好きな男性タレントは?”という問いに対する私の答えは―――
「引退されたけど上岡龍太郎さん、月亭方正さん」 そう、このお二人のファンなのである。 2013年1月に発行された方正さんの著書「僕が落語家になった理由」については、同年4月の“PASPARADIO Vol.44”で触れているので、今回は同年10月に発行された戸田 学さんの「上岡龍太郎 話芸一代」を御紹介したい。 上岡さんが出演していた「ノックは無用!」や「花の新婚!カンピューター作戦」などを子供の頃によく見ていたが、小中学生だった当時はまだ上岡さんの魅力など分かろうはずもなかった。 あの知的で品があり、理論整然とした話しっぷりに魅せられるようになったのは、「鶴瓶上岡パペポTV」や「探偵!ナイトスクープ」を見るようになってからだ。特にこの2番組での上岡さんが大好きだった。恥ずかしながら息子の名前は、上岡さんの名前の一文字をいただいて付けたくらいである。 そんな憧れの上岡さんが予てから公言していたとおり、きっぱりと芸能界から引退されたのは2000年4月のこと。引退前、「さんまのまんま」に出演された時には 「引退宣言したら仕事がくるかと思ったら来ぇへん。ホンマに引退させやがる。誰が引退しとうてする!? ちょっとこっちがシャレで言うたら真に受けて、アホかお前ら!」なんて笑いながら言っていたが、恐らく熟考の末の決断であっただろうと思う。 この本のまえがきに、関西人にはおなじみの新野新さんが記した(が結局ボツになった)上岡さんの引退に関する文章が載っているのだが、何故上岡さんが引退を決意したのか?ということで新野さんが推測した理由には非常に説得力があり、確かにそうかもしれないな…と思った。 “芸人は、賞められなければ腐る”。 「芸は一流、人気は二流、ギャラは三流、恵まれない天才、上岡龍太郎です」 関西で活躍していた時代、上岡さんは冗談とも本気ともつかない調子で、いつもこう名乗っていた。まさしく彼の話術は天才的で、一流の芸だった。82年には上方お笑い大賞の功労賞を、そして89年には同賞の大賞を受賞してはいるが、本来もっと評価されて然るべきだと思う。 引退から7年後の平成19年6月、かつて漫画トリオで活躍した仲間・横山ノックさんを送る会で、上岡さんが久々に公の場に姿を見せた。その時の献杯における弔辞の名調子っぷりに、多くの人々が彼の話芸を絶賛し、早すぎる引退を惜しんだ。現にYouTubeの再生回数は100万を超えている。嗚呼、上岡さんの喋りをもっともっと聞きたかった。 “ラジオ、漫談、上岡流講談、演劇、テレビ…上岡龍太郎の〈芸〉とはいったい何だったのか。上岡龍太郎自身をはじめ現場関係者の証言から描きだす一代かぎりの話芸の真髄” 「上岡龍太郎 話芸一代」は上岡さんの40年に亘る芸能生活を丹念に追った本である。冒頭には御本人が書き下ろした「ご挨拶」も収録されていて嬉しいかぎり。(おまけに付録として上岡流講談2作品が収録されているCD付♪) 何度聴いても上岡さんの話芸には惚れ惚れする。彼のようにスマートで上品で教養あふれる本物の芸人はもう二度と現れないだろうなあ。…なんて今更賞めても遅いけどね。 上岡さん 献杯の挨拶 → こちら ノックさん、あなたは僕の太陽でした お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.01.13 21:25:52
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