カテゴリ:The B-52's
『The B-52's』 released on July 6, 1979
The B-52'sの記念すべきデビューアルバム 前年に地元のDB Recordsからリリースされた彼らのデビューシングル “Rock Lobster” の改良再録バージョンを含むセルフタイトルのデビューアルバムは、Island Records(アイランド・レコード)の創業者であるクリス・ブラックウェル(Chris Blackwell)の所有するバハマ・ナッソーのCompass Point Studios(コンパス・ポイント・スタジオ)で録音され、ブラックウェル自らがプロデュースした。彼等の魅力であるライヴサウンドを生かすために、手を加えるのは極僅かにとどめたという。 フレッドのおっさんヴォーカル、ケイト&シンディのふわふわ頭と奇妙且つ魅力的なヴォーカル、脱力歌詞に奇天烈ギター。衝撃的なこのデビューアルバムはBillboardチャート59位と売上はまずまずだったものの、多くのレビューで賞賛され、Rolling Stone誌が選ぶ「500 Greatest Albums of All Time」では152位にランクイン。 キース「クリスは我々のあるがままの姿を録ろうとしていた。彼のやったリミックスを聴き返してみて愕然としたのを覚えているよ。何故なら自分たちがイメージしているのとは全く異なるサウンドだったから」 ケイト「実態よりもずっと上手だと思い込んでた」 フレッド「アルバムを聴いて自分たちのショボさに初めて気付いたんだ」 キース「そう、ひどいサウンドでスカスカだと思った。(略)クリスは一切、音に装飾を施そうとしなかったんだ。彼は言ってたよ『君たちのやっていることをありのまま捕らえたいんだ』って。当時は大嫌いだったけど今では分かるようになった。彼のやろうとしたことが理解出来るようになった。良いドキュメントだよ。(略)1stアルバムはアート作品に近いものだと思ってる。アルバムカヴァーもバンドを象徴するものだった」 フレッド「1stアルバムは3週間で完成させたんだ。制作費は32,000ドルぐらいだった」 ――『With the Wild Crowd! Live in Athens, GA』インタビューより “I’ve just written the stupidest guitar line you’ve ever heard.” (最強にバカなギター・ラインを書いたよ) ある時、楽しそうな表情を浮かべていたリッキーに、キースが「何なに!?」と尋ねて返ってきた答えがこれだった。「弾いてみて」というキースに、リッキーは “Rock Lobster” のリフを弾き始めた。それはまるで2本のギターを同時に弾いているかのようで、聴いたことのないフレーズだった。自分が面白くて個性的な特別なものを見出したとリッキーも気付いていた…とキースは語る。 これまたRolling Stone誌が選ぶ「The 500 Greatest Songs of All Time」では147位に、「The 100 Greatest Debut Singles of All Time」では15位にランクインした “Rock Lobster”。リッキーの最強におバカなギター・リフに合わせ、ビーチパーティーでロック・ロブスターを見つけ、やれサメだのクラゲだのイッカクだの、ビキニのクジラも来るぞ!ギャーッ!! という、これまた最強に無意味でおバカな歌詞が絶叫とともに繰り広げられる、何ともおバカな、それでいて異様に中毒性の高い名曲である。ジョン・レノン(John Lennon)の音楽界復帰にまで影響を与えたという。 ペトゥラ・クラーク (Petula Clark)の “Downtown” のカヴァーを除く8曲のうち、作曲者のクレジットは4曲がThe B-52's名義で、“Planet Claire” はキース単独(&Henry Mancini)、残る “52 Girls” “Rock Lobster” “Hero Worship” の3曲がリッキー単独になっている。“52 Girls” はDB RecordsからリリースされたデビューシングルのB面であった。 そういえば “Planet Claire” でリッキーはギターと火災警報器を担当している。アルバムのオープニングを飾るこの曲は、出だしから延々とヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini)の “Peter Gunn” に乗ったケイトの不穏なコーラスが2分以上続いたかと思うと、「彼女は惑星クレイアから来た 惑星クレイアでは空気はピンク色、生えてる木は真っ赤で そこじゃ誰も死ななくて 頭のあるヤツもいないよ~♪」という相変わらずのおバカソングだ。フレッドのおっさんヴォーカルが実にいい味を出している。この曲でのフレッドはヴォーカルと携帯型無線機(Walkie-talkie)を担当。 シンディ「私はシャイだったけど、リッキーは更にシャイだった」 フレッド「最初のうちは、リッキーはステージ上でよく向きを変えていた」 ケイト「(デビュー前のとあるギグで、窓から外で並んでいる行列を見たリッキーが「あの行列は何だろう?」と。自分たちを見に来ているとは思わなかったらしい。その群集の混雑っぷりに)リッキーはとてもナーバスでシャイだったので、たくさん飲んだ。彼はプレイできなかったけど、[飲んだ後]彼は燃えて、素晴らしいプレイをした」 (Rolling Stone誌のインタビュー記事より) 内側から湧いて溢れ出る音楽的才能と、外側に滲み出る人柄とが開きすぎていて、そのギャップに彼を知れば知るほど惹かれてしまう。史上最高のダンスナンバーを世に生み出すために、神が使わしたんじゃないかとさえ思える。嗚呼、このペラッペラのスカスカ感が何とも愛おしい! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.10.17 05:41:34
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