カテゴリ:許冠文&Mr.Boo!
「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」第6夜の今宵からは日本でも「Mr.BOO!」シリーズ第3弾として79年(昭和54年)に劇場公開された「Mr.Boo! ギャンブル大将(鬼馬雙星)」を御紹介。
とはいえ「Mr.BOO!」シリーズなどとシリーズ化されているのは日本だけであり、“Mr.Boo!” なんていうおバカなネーミングも日本の配給元である東宝東和が勝手に付けたものである。 でもって香港では74年に公開された「鬼馬雙星」、本来は第3弾ではなく、マイケルが初めて自身で監督・脚本・主演をこなした記念すべき作品なのである 「鬼馬雙星」は北京語主体だった香港映画に敢えて広東語で勝負し、それまでの興行収入記録を打ち破る大ヒットとなった。 マイケル演じる囚人の鄧國文(文) は採掘場で刑務作業中。休憩になると囚人相手に昼食を賭けてイカサマを働くギャンブラーである。 マイケルの実弟でホイ兄弟(男4人女1人)の四男である許冠傑(サミュエル・ホイ)演じる劉俊傑(傑) はカジノでおけらになったところ、石天(ディーン・セキ)演じるディーラーがチップをくすねているのを見掛け、横取りしようとして捕まり監獄へ。同房になった小汚いオッサン…もとい、文に収監理由を尋ねられて4万ドルのチップを盗んだと答えたところ、出所したら組まないかと持ちかけられる。しかし横取りしただけだと分かりガッカリ。そのとき傑の荷物から牌九牌がこぼれ落ちた途端に文の目の色が変わる。二人とも牌九好きと分かりすっかり意気投合、おかずの魚フライを賭けて勝負すると文が鮮やかに勝利を収めた。 文が出所すると、先に刑期を終えて出所していた傑が出迎えに来ていた。早速牌九の勝負でカモろうと誘う傑に、元手が出来たら電話しろと番号を伝えて別れる。高利貸しから借りて勝負に挑んだ傑は丁珮(ベティ・ティン・ペイ)演じるダンサーの佩佩にしてやられ、文に電話するも腹痛で行けないとあっさり切られてしまう。負けた傑が電話帳で文の居場所を突き止めようと躍起になっていた頃、文は愛人の佩佩と熱い夜を過ごしていた。 翌朝、佩佩宅を出た文は待ち構えていた傑にビックリ。二人は残り千ドル(文が佩佩から手に入れた)となった手持ちの金を増やそうと賭場に入るが逆にスッてしまい、やむなく文の家へ行くことに。家には羅蘭(ロー・ラン)演じる奥さんと、呂有慧(リサ・ルイ)演じる文の妹・妹頭がいた。TVで黃霑(ジェームズ・ウォン)演じる黃不文司会のクイズ番組 “有上冇落” を視聴していた傑が軽々と答えを言い当てることに感心した妹頭は、その番組に早速応募する。 傑と妹頭がいい仲になって海でデートしていたところ、ビーチでポーカーを楽しむ若者達を見つけた傑は仲間に入れてもらう。しかし、あっさりとイカサマがバレてしまい、若者達にボコボコにされ、頭を負傷してしまう。せっかく賞金1万ドルのクイズ番組 “有上冇落” に出場できることになったのに…。二人は文に出場を依頼する。 代わりに出場した文だったが、このクイズ番組は正解するとゴンドラが上がり、不正解だとゴンドラが下がってワニの泳ぐ水槽に浸かってしまうのだ。文は2問不正解で水槽に首まで浸かり、寄って来るワニに恐怖していたが、運よくギャンブルの問題が出題されて優勝してしまう。 ある時、傑がドッグレースで大儲けする方法を思い付いて文に相談するも、文はあっさり否定する。仮に傑の必勝法(本命の犬に多く賭けて他の犬にも少しずつ賭けておき、場外で他の犬券を買って本命の配当を吊り上げる)で本命の配当を上げても、外から電話が入って配当を下げられるから、とのこと。もし電話が入ってこなければ?と傑は尋ねるが、有得ないことだと文は相手にしなかった。そこへ以前傑が金を借りた許紹雄演じる高利貸しの大耳牛が取立に来るが、彼はかつて文の弟分だったためすっかり打ち解ける。今はこの辺りを取り仕切っている王琛演じる大哥全の元で働いているという。 後日、大耳牛から大哥全の情報を聞いた文は、大哥全との麻雀勝負を依頼。その大哥全らとの麻雀中、彼の部下が電話を掛けているのを目にした文は、電話線を目で辿りながら傑の必勝法を確実にする方法を思い付くが…。 まんまと大儲けするも大哥全にイカサマがバレてしまい、文と傑が逃げ込んだのは澳門(マカオ)の澳門葡京酒店(ホテル・リスボア)。ホテル内カジノの撮影が許可されたのはこの作品が初めてとのことで、カジノ内の従業員やチップは本物なのだそうな。 逃亡中の文は葡京酒店のスイート・ルームを取って早速佩佩を呼んで仲良くしようとするが、そこへ奥さんと妹頭が訪ねてきて一悶着。その佩佩を演じている丁珮(ベティ・ティン・ペイ)は、李小龍(ブルース・リー)の愛人との噂があった女優さん。73年7月20日、李小龍は丁珮の自宅マンションで亡くなった。 マイケルを追い詰める大哥全役の王琛(ワン・チェン)といえば、第5夜で取り上げた「醜聞」でマイケルと息の合った演技を見せてくれた役者さん。マイケルとの共演もこれで4作目である。 ホイ兄弟の四男・サムは67年に蓮花楽隊(The Lotus)のvo.としてデビュー。71年にマイケルと出演したバラエティ番組「雙星報喜(ホイブラザーズ・ショウ)」で大人気に。 マイケルは先に嘉禾電影有限公司(ゴールデン・ハーベスト)と契約していたサムと二人で「雙星報喜」のようなコメディ映画を撮りたいと嘉禾に企画を提出したところ、晴れて監督デビューすることに。許氏影業有限公司(Hui's Film Production)を設立し、嘉禾との合作になった。初監督に苦心するマイケルを色々と手助けをしてくれたのは、73年に嘉禾に移った呉宇森(ジョン・ウー)だったとか。 そしてホイ兄弟の三男・許冠英(リッキー・ホイ)もビーチでイカサマをした傑をやっつける若者役で出演しているが、これはホイ兄弟出演作第3弾として売り出そうとした日本用にそこだけ別撮して繋げたシーンで、本来は洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が波打ち際で傑と戦っていた。ちなみにサモは今作で動作指導(アクション監督)を担当している。 広東語の軽快な主題歌 “鬼馬雙星” を歌っているのもサムだが、当初はサムが広東語で歌うこの曲を主題歌にすることにマイケルは難色を示したそう。それまでサムはずっと英語で歌っていたため、広東語の歌など俗っぽくて何だかなぁ…と。しかし本人がどうしてもと言うならば、と了承したところ、映画同様主題歌も大ヒットしたのだった。求望發達一味靠搵丁 鬼馬雙星 眼琼琼~♪ 鬼馬雙星 Games Gamblers Play 1974年10月13日(香港) 邦題 : Mr.Boo! ギャンブル大将 日本公開 : 1979年12月15日 監製 : 鄒文懷 導演 : 許冠文 編劇 : 許冠文、劉天賜、鄧偉雄 制片商 : 嘉禾電影有限公司(Golden Harvest)、許氏影業有限公司(Hui's Film Production) 演員 : 許冠文、許冠傑、丁佩、呂有慧、羅蘭、王琛、許紹雄、石天、喬宏、黃霑、許冠英、劉天賜、馮敬文 配樂作曲 : 許冠傑、顧嘉輝 語言 : 粵語(広東語) 票房 : HK$ 6,251,633(1974年第1位) Mr.BOO! 広川太一郎 吹替伝説・ギャンブル大将 : 広川太一郎氏の懐かしい吹替面白台詞集 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.08.29 02:56:02
コメント(0) | コメントを書く
[許冠文&Mr.Boo!] カテゴリの最新記事
|
|