カテゴリ:許冠文&Mr.Boo!
「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」第9夜となる今宵は、78年に公開されるやこれまた大ヒットしたマイケルの監督・脚本・主演作第4弾「賣身契」を御紹介。
日本では「Mr.BOO!」シリーズ第2弾、「Mr.Boo! インベーダー作戦」として79年5月に公開された。78年にタイトーがスペースインベーダーを発表し、一時は社会現象にまでなったインベーダーゲーム。日本での公開時期がちょうどこのインベーダーブームの最中だったこともあってかこんな邦題が付いているが、物語とは一切関係がない。強いてあげれば終盤、インベーダーっぽいと言えなくも無い格好をしているぐらいかな。 マイケル演じる薛志文は香港のTV局・MTV(マウスTV)と8年間専属契約を結んで一年経つが、大物歌手のバックダンサーを務めれば下手な踊りでもう一方と喧嘩して歌手を怒らせ、他スタジオにて収録中の羅素(Russell Cawthorne)演じる奇術師・多多星のショーの標的になれば気絶したりと、失敗ばかりで仕事がない。 一方、ホテルのレストランで奇術ショーを行うサム(許冠傑)演じる朱世傑とアシスタントの劉娟娟(エレン・リュウ)演じる世傑の妹・傑妹が楽屋に戻ると、師匠の多多星が待ち構えていた。シンガポールから出てきて無名の世傑達を育てた礼に、最初の3ヶ月は稼ぎを全部よこせというのだ。金を渡して師匠を追い返すも、得意の奇術でこっそり取り戻す世傑だった。 世傑達は、傑妹のBFで、志文の弟でもあるリッキー(許冠英)演じる薛志英の家(田雞記電器)へ行く。志英が新たに発明した笑気ガスの出る盗難防止装置を世傑達に説明していたところに、銀行強盗が逃げてきた。世傑が犯人達のバッグに盗難防止装置を忍ばせ、警察に通報したおかげで犯人達はゲラゲラ笑いながら捕まった。 ある日、志文の元にMTVのライバル局であるCTV(キャットTV)からクイズ番組の司会依頼の電話が入る。大喜びで引き受けるも、そのクイズ番組「大搏殺」は、愛犬や夫の命と引き換えに大金や油田の譲渡契約書を賭けるというエゲつないものだった。しかしこれが当たり、CTVの上役から5年契約を提示される。志文がMTVと8年契約を結んでいると言うと、解約すればよかろうとのこと。 早速MTVに出向いた志文は廊下で世傑とすれ違う。世傑もMTVと契約に来たが、8年契約の申込で白紙の契約書にサインするよう言われたため、断ったところだった。志文は鮑翠鈴演じる黃局長に契約解除を申し出るが、金庫に仕舞われている志文の契約書を見せられ、これがある限りダメだと断られてしまう。その時、黃局長が落とした金庫のダイヤル番号が書かれた名刺をバレないように拾った志文は、そっと靴に挟んで退室した。 後日、身バレしないよう女装した志文と、志文に懇願された志英は、昼休みで誰もいないMTVの局長室に忍び込み、金庫から契約書を盗み出すことに成功する。だが志英が番号を書いた名刺を持ったまま金庫内に閉じ込められてしまい、志文は世傑に助けを求める。一度は断るも、志英の身を案じて号泣する傑妹を見かねて手を貸すことに。 再びMTVの局長室に忍び込んだ志文と世傑だったが、金庫にいたのは黃局長の手下である鉄の爪・KING KONGで、志英は黃局長らに捕らえられていた。志英と引き換えに契約書を返せという黃局長に志文が手渡そうとしたところ、志英が契約書を奪って手下に肘打ちを食らわせ、相手が怯んだ隙に3人は局内のスタジオに逃げ込むが――。 香港のTV局は長らくATV(亞洲電視)とTVB(無綫電視)の2局体制(75年開局のCTV(佳藝電視)は78年に倒産)で、香港の芸能人は、ごく一部の有名俳優・歌手を除き、どちらかの局と専属契約を結ばなければならず、一度契約を結ぶと契約の無いテレビ局には一切出演出来ず、現在所属している局から移籍しようとしても、まず現在の専属契約を破棄しなければならないという制約があった。(Wikiさんより) 映画界でも、70年に王羽(ジミー・ウォング)が邵氏兄弟公司(ショウ・ブラザーズ)から離脱すべく会社に潜入して契約書を盗み出し、自宅屋上で焼き払ったという。その後は嘉禾(ゴールデン・ハーベスト)に移り、更に台湾に渡って活躍していたジミーさんだが、昨年4月に亡くなられた。合掌。 志文が最初に局長室に忍び込んでバレた際、KING KONGから逃れるためにデカいタイヤに隠れて階段を転げ落ちるシーンで、一瞬映る運転手を演じているのは道具係の黃順昌。「天才與白痴」「半斤八兩」でも道具係兼出演者として頑張っている。 なおパンフレットによると、そのタイヤのシーンでちょっとしたミスから負傷してしまったマイケルは、10日間も入院したのだそうな。おバカシーンにも体を張ってます! 78年10月に台湾で開催された第15屆金馬獎(第15回金馬賞)では、「賣身契」が優等劇情片(優秀作品賞)、剪接(編集)の張耀宗(チョン・イウチョン)が最佳劇情片剪輯(最優秀編集賞)を受賞。マイケルも最佳劇情片導演(最優秀監督賞)にノミネートされていたが、残念ながら受賞は逃した。 賣身契 The Contract 1978年8月3日(香港) 邦題 : Mr.Boo! インベーダー作戦 日本公開 : 1979年5月26日 監製 : 鄒文懷 導演 : 許冠文 編劇 : 許冠文 策劃 : 薛志雄 魔術指導 : 枸銓 舞蹈指導 : 挴斯麗 制片商 : 嘉禾電影有限公司(Golden Harvest)、許氏影業有限公司(Hui's Film Production) 演員 : 許冠文、許冠傑、許冠英、劉娟娟、鮑翠鈴、楊威、鄭富雄、羅素、陳景祥、鄭少萍 音樂 : 許冠傑 語言 : 粵語(広東語) 票房 : HK$ 7,823,019(1978年第1位) Mr.BOO! 広川太一郎 吹替伝説・インベーダー作戦 : 広川太一郎氏の懐かしい吹替面白台詞集 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.09.02 04:27:33
コメント(0) | コメントを書く
[許冠文&Mr.Boo!] カテゴリの最新記事
|
|