カテゴリ:許冠文&Mr.Boo!
「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」第12夜の今宵は、84年に公開されたマイケルの監督・脚本・主演作第6弾となる「鐵板燒(Teppanyaki)」を御紹介。邦題もそのまんま「新Mr.Boo! 鉄板焼」である。
初監督作品「鬼馬雙星」以来ずっと弟達と共に歩んでいたマイケルであったが、マンネリ化も危惧していた。そこへ80年に設立されたばかりの新会社・新藝城(Cinema City)からサム(許冠傑)に「最佳拍檔(悪漢探偵)」への出演依頼がきた。快くサムを送り出して独りになったマイケルは、これまでなかったラブコメ路線へと舵を切ったのであった。 マイケル演じる鉄板焼店のシェフ・阿黄は中国本土から許英秀演じる103歳の祖父と共に香港にやって来て、盧海鵬演じる鉄板焼店のオーナーである義父に拾われた婿養子。阿黄はハンティング好きで常に猟銃をふりまわす義父と、鄒美儀演じる結婚7年で未だ子なしの太った恐妻から、日々いびられている。しかし浮気の虫は治まらず、店に美人の客が来れば自慢の手さばきを披露したうえ勝手に無料にし、現場を目撃した義父に眉毛を剃られたり、クラブに行けば恐妻とグルの駐車係が家に電話で知らせ、恐妻と葉麗儀演じる彼女の友人であるSallyが駆けつけてドーベルマンを放たれるという、受難の日々を送る阿黄であった。 そんなある日、店に葉倩文(サリー・イップ)演じる美人の施施が、黎小田(マイケル・ライ)演じるPierreらと来店。施施に一目惚れした阿黄は、話の流れで後日Pierreらとテニスの試合をすることに。恐妻の目を盗んで車保羅演じる同僚の車と共に勝負に挑む阿黄だったが、まるで歯が立たない。しかし壊れたラケットの代わりにフライパンを使用するや、途端に形勢逆転して勝利を収める阿黄達。施施が駆け寄るも、遅くなって恐妻にバレるのを恐れる阿黄達は猛スピードで帰宅。別の日にも恐妻の目を盗んで施施達とディスコで遊び、施施からフィリピン旅行に誘われる。 阿黄は子作りの薬を持っている祈祷師に会いに車とフィリピンへ行くと言って恐妻を納得させ、チケット予約の電話をしていると、Sallyも行きたいと言いだして恐妻とSallyの分も追加。そこへ義父までも一緒に行くと言い出し、そのうえ103歳の祖父まで同行することに。 施施がCAとして搭乗している飛行機で何とかフィリピンに到着した一行は観光に出かけ、阿黄は施施とやっと二人きりになり、空中デートを楽しむ…はずが、軽飛行機が海に墜落。鮫に怯えながら何とか陸にあがるも、施施がさらわれてしまう。阿黄のインディ・ジョーンズばりの活躍で施施を救出し、さてこれからお楽しみ…というところで恐妻らに見つかってしまい、慌てふためく阿黄は施施から愛想を尽かされる。 帰国したある日、103歳の祖父が恐妻とSallyから責められているのを見た阿黄は、積年の恨みもあって遂に恐妻に手を上げてしまう。娘に電話で泣きつかれた義父は、阿黄の祖父が入院した病院に猟銃を手に乗り込んできて、阿黄を追いつめる。勢い余って窓から転落して電飾に引っかかった義父を助け、再び逃げる阿黄。 それから10日、家では貞淑な妻と大人しくなった義父が、家に戻らない阿黄を心配していた。やっと家に戻ってきた阿黄は呑んだくれの浮浪者になっており、祖父共々田舎に帰ると言って荷物を詰め始める。しかし今ではすっかり大人しくなった妻から懐妊したことを告げられた阿黄は家に留まることにし、妻と義父に見送られながら車と飲みに出かけるのであった。 うーん…これもよく出来た作品ではあるし、相変わらずギャグもてんこもりなのであるが、やっぱり息のあった兄弟だからこその笑いが減っちゃったかなぁ…仕方ないけど。 監督作品全てが公開年の興行収入1位を記録していたマイケルであったが、この作品は8位止まりという寂しい結果となってしまった。 なお、85年4月に開催された第4屆香港電影金像獎では作品が最佳劇本(最優秀脚本賞)に、マイケルが最佳男演員(最優秀主演男優賞)にノミネートされたが、残念ながら受賞ならず。しかし十大華語片(中国映画トップ10)には見事選出された よかった~。 どこかとぼけていて、いつもぷるぷると小刻みに震えている103歳の祖父を演じている大ベテラン、許英秀(ホイ・インサウ)が実にいい!あと「鬼馬雙星」でマイケル演じる鄧國文が “有上冇落” なるクイズ番組に出演した際、隣の回答席にいたおばちゃんを演じた李燕萍がご近所さん役でチラッと出演しているのも嬉しい。 でもってPierreの友人役を演じている張俊英(デビッド・チェン)、彼はサムがvoを務めるバンド・蓮花楽隊(The Lotus)のドラマーなのだが、何故かこれまでのマイケル監督作6作品中「賣身契」を除いた5作品に出演している。今作ではマイケルのフライパンテニスに敗れたり、ディスコでも黒こげになったマイケルの仲間になった黒人さんにやられたりと、散々な目にあっていたけど。 ちなみにPierre役の黎小田(マイケル・ライ)は50年代から子役として活動しており、大人になってからは作曲家、プロデューサーとしても活躍していた。 そしてヒロイン・施施役の葉倩文(サリー・イップ)も本業は歌手だが、映画にも名作からおバカ映画までちょいちょい出演している。サリーが歌った「倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)」(87年公開)の挿入曲 “黎明不要来” が大好きで、彼女のベスト盤を購入したのは30年ほど前のこと。綺麗なだけでなく、歌声もとてもいい。 パンフレットによると、料理特別指導には “松菱” 鉄板焼チームが当たったらしい。どうやら香港にある鉄板焼で有名な日本食レストランだそうな。しかし劇中でマイケルが見せたアクロバット的ナイフ捌きは、これまた鉄板焼で有名な世界的ステーキ・ハウス・チェーン “紅花” のコック達が見せるテクニックのパロディなのだとか。マイケルも上手だったからかなり練習したんだろうなあ。 鐵板燒 Teppanyaki 1984年1月26日(香港) 邦題 : 新Mr.Boo! 鉄板焼 日本公開 : 1985年11月2日 監製 : 鄒文懷 導演 : 許冠文 編劇 : 許冠文 制片商 : 嘉峰電影有限公司(Paragon Films)、許氏影業有限公司(Hui's Film Production) 發行商 : 嘉禾電影有限公司(Golden Harvest) 演員 : 許冠文、葉倩文、鄒美儀、葉麗儀、盧海鵬、車保羅、許英秀、黎小田、張俊英 音樂 : 鮑比達 語言 : 粵語(広東語) 票房 : HK$ 19,516,647(1984年第8位) Mr.BOO! 広川太一郎 吹替伝説・鉄板焼 : 広川太一郎氏の懐かしい吹替面白台詞集 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.09.07 03:29:10
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