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2023.09.16
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カテゴリ:許冠文&Mr.Boo!
 「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」も今宵で第16夜。今回は88年に公開された「雞同鴨講」を御紹介。邦題は「ホンコン・フライド・ムービー」といい、今作から “Mr.Boo!” が付かなくなった。一応「新Mr.Boo! 香港グワグワコケコッコ戦争」なんていう邦題もあったけど。
 74年公開の初監督作「鬼馬雙星 以来長年協力してきた嘉禾(Golden Harvest)を87年に離れたマイケル。新たに新寶院線(Newport Circuit)と組み、自ら出資して製作した初めての作品が今作なのである。
 マイケルは出品人・脚本・主演をこなし、監督を務めているのは高志森(クリフトン・コウ)。マイケルの人情コメディは本当に素晴らしい。

 マイケル演じる “老許” こと許家全は老舗焼鴨(ローストダック)店「老許記」の店主で昔気質の職人だ。店は古くて不衛生だが、味の良さで繁盛している。どケチな老許に安月給で働かされる従業員達は不満たらたら。張艾嘉(シルビア・チャン)演じる妻の阿娟から義母が明日の便で香港に来て2、3日泊まると聞いた老許はげんなり。白茵演じる義母は米国で事業を成功させて裕福なため、老許の家に来るたびに店が古くて汚い、家の家具や電化製品がボロボロだと文句ばかり言うからだ。
 盧冠廷(ローウェル・ロー)演じる従業員の狒狒は奥さんにせっつかれて老許の味の秘密を盗むべく、仕込み中の老許を何とか盗み見ようとするが、上手く隠されてしまう。また、従業員一同で賃上げを要求しよう!ということになり、代表してリッキー(許冠英)演じる魷魚絲が老許の下へ向かうも簡単に言いくるめられてしまう。
 ある日、「老許記」の向かいに外資系の「丹尼炸雞店」(ダニーズ・フライドチキン)が開店することに。吳啟華(ローレンス・ウン)演じる丹尼炸雞店オーナー・潘丹尼は、谷峰演じる部下の雷蒙を連れて許記を訪れ、買収するつもりで店内を視察。そして開店式ではテープカットのゲストに許冠傑サム(許冠傑)本人!)を招き、マーチングバンドが通りを練り歩いて大々的にオープンした。
 客を丹尼炸雞店に取られた老許記の客足はばったり途絶え、暇を持て余した従業員達も丹尼炸雞の求人募集の看板に書かれている好待遇っぷりに目を奪われてしまうのだった。そんな折、無礼講の食事会で正直に老許を非難した魷魚絲は老許から咎められ、つい勢いで店を辞めて丹尼炸雞へ行ってしまう。
 丹尼炸雞で働くことになった魷魚絲は、日本式のやり方で徹底的にマニュアルを叩き込まれるが失敗ばかり。老許はインド人女性に変装して丹尼炸雞へ視察に行き、洗練された接客や清潔な店内を目にするも、潘丹尼にバレておちょくられてしまう。早速、老許も丹尼炸雞を見習ってかテーブルを三角形にしたり、カラオケを導入したりしてみたものの逆効果で、客の不評を買うばかり。従業員達や阿娟が心配しても、老許は大丈夫だと取り合わない。
 悪徳事業家で野心満々の潘丹尼は老許記を妨害すべく、雷蒙に命じて衛生調査官と新聞記者に連絡したうえで老許記に十数匹の鼠を放つ。鼠調査に訪れた衛生調査官に老許が応対していると、それまではいなかったはずの鼠が次々と店内に現れ、老許を始め葉榮祖(イップ・ウィンジョー)演じる阿鵬や狒狒達従業員はバレないよう食器で懸命に隠したが、鼠の泣き声で遂に見つかってしまい営業停止を言い渡されたうえ、集まってきた新聞記者達に写真を撮られて記事にされた。
 客とトラブルを起こした魷魚絲は丹尼炸雞をクビになり、阿娟の取成しや従業員達の協力もあって再び老許記で働くことを許されたものの、市当局から差押閉鎖命令や7年分の追徴課税の書面が届き、老許は店を畳む決心をする。小切手をチラつかせて買収を持ちかける潘丹尼と雷蒙を追い払い、従業員達に別れの言葉を掛ける老許。阿娟は義母の助けを借りるよう老許に懇願するが、不仲の義母に頭を下げたくない頑固者の老許は断固拒否。阿娟が家を出て行ってしまい、老許は一晩考えた末に義母を食事に誘う。
 義母からの資金援助とアドバイスを受け入れた老許。店を改築したうえ、従業員の採用並びに老許記の従業員達が中心となって再教育をみっちり行い、「新許記」として再出発。元々定評のあった老許の味に加えて豊富な品数、清潔で広々とした店内になったことで、丹尼炸雞から多くの客を取り戻すことに成功した。
 新許記の大繁盛ぶりに、丹尼炸雞はコンピューターで調理法を研究した焼鴨をメニューに加えたが、老許の味には及ばず全く売れない。業績が急落した丹尼炸雞、ついに潘丹尼は雷蒙に新許記を放火するよう命じるが――。

 サムがチョイ役ながら出演しており、81年公開「摩登保鑣」以来7年ぶりのホイ兄弟共演が嬉しい。“歌神” と呼ばれ、香港のスーパースターとなっても相変わらずのおバカ演技を見せてくれる。
 そして主題曲の “佢有佢講” の作詞・作曲・主唱もサムだ。

 “也叔” の愛称で親しまれたちょびヒゲ太っちょおじさん 葉榮祖(イップ・ウィンジョー)。元々は製作側であったが80年代以降は数多くの作品に出演するようになり、名バイプレーヤーとしても活躍。03年に58歳で亡くなられてしまったのが残念。

 邦題の「ホンコン・フライド・ムービー」は、77年に公開されたジョン・ランディス(John Landis)監督のギャグ映画「ケンタッキー・フライド・ムービー(The Kentucky Fried Movie)」に掛けているが、原題の「雞同鴨講」とは(鶏と鴨が話すようで)話が噛み合わない、意味が通じない、といった意味の成語なのだそうな。

 個人的にはマイケルの恋愛モノも見たいが、やはりこういう人情モノを演じるのが実に上手い。言うまでも無くコメディも素晴らしいけどね。
 意外にも父親役はこの作品が初めてのはずで、実生活では1男1女のお父さん。娘さんの許思行はマイケル映画にちょいちょい出演したり、香港で放送された「美少女戰士」(美少女戦士セーラームーン)の主題曲を歌ったりしており、この作品にもちょこっと出演している。
 ちょこっと出演といえば、監督の高志森(クリフトン・コウ)やプロデューサーの于仁泰(ロニー・ユー)も顔を出している。

 89年4月に開催された第8屆香港電影金像獎では「雞同鴨講」が十大華語片(中国映画TOP10)に選ばれ、作品が最佳電影(最優秀作品賞)、マイケルが最佳男主角(最優秀主演男優賞)にノミネートされたが、どちらも受賞には至らず。
 しかし美國電影學會(American Film Institute。AFI)國際喜劇最佳男主角獎拿破崙「商業奇才」娛樂界榮譽獎を受賞したとのこと。最後のはどこの賞だか分からないけど…。

 「でーんでーんでーんでーん」嘉禾のアレがなくなったのはちと寂しい。

   

 雞同鴨講 Chicken and Duck Talk 1988年7月14日(香港)
 邦題 : ホンコン・フライド・ムービー 日本公開 : 1992年1月23日
 または 新Mr.Boo! 香港グワグワコケコッコ戦争 
 出品人 : 許冠文 監製 : 于仁泰 導演 : 高志森 編劇 : 高志森許冠文
 制片商 : 許氏影業有限公司(Hui's Film Production)、Topping Time Films Ltd.
 演員 : 許冠文許冠英張艾嘉盧冠廷葉榮祖何啟南許瑩英白茵吳啟華谷峰葉蘊儀許冠傑
 音樂 : 袁卓凡 主題曲 : 許冠傑
 語言 : 粵語(広東語)
 票房 : HK$ 29,378,769(1988年第4位)





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Last updated  2023.09.16 19:13:38
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