カテゴリ:許冠文&Mr.Boo!
「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」第17夜の今宵は、89年に公開された「合家歡」を御紹介。邦題は「ミスター・ココナッツ」。
97年7月の香港返還まであと10年を切り、英国統治下の香港の人々が本土の中国人に対して抱いている心情を描いたといわれるこの作品、マイケルは前作同様に出品人・脚本・主演をこなし、監督・脚本も同じく高志森(クリフトン・コウ)。そしてマイケルと共に出品人・脚本・主演を務めているのが黃百鳴(レイモンド・ウォン)。面白いに決まってる! おまけに友情客串(友情出演)陣も豪華だし、主題曲 “微笑革命” を歌っているのは譚詠麟(アラン・タム)である。 中国・海南島の貧しい田舎で暮らすマイケル演じる雁歸南は、日々ココナッツを採ったり魚を捕ったりして、村人達と助け合ってのんびり過ごしていた。ある日、香港に嫁いだ鄭文雅(オリヴィア・チェン)演じる妹の雁燕萍から手紙が届き、香港に招かれる。 一方香港では、萍から兄を暫く家に泊めると聞かされた黃百鳴(レイモンド・ウォン)演じる夫の黃嘉範ら家族は猛反対。今でさえ狭いマンションに5人住まいで窮屈なのに無理とのこと。範の妹でCAの王祖賢(ジョイ・ウォン)演じる黃嘉玲も「ヘンな人と一緒なんてイヤ」と拒否し、長女の炮妹は「ここの本土人は泥棒が多いから、伯父さんも仲間入り」などと言う。この言葉に萍は激怒、恐れをなした家族は結局南を迎え入れることに。 20年ぶりの再会に涙ぐむ萍と冷ややかな範の出迎えを受け、マンションに着いた南は早速範に土産の痰壷を渡そうとして断られる。更に家は禁煙だと言っても煙草を吸おうとするわ、下着でうろつくわ、皆が寝静まった夜中に大音量でTVは見るわ、寝たら寝たでイビキが煩いわ…。翌朝は早くから二胡を弾いて皆を起こし、洗顔していた範はタオル掛けに干してあった南のパンツで顔を拭いてしまう。萍の誘いで黃一家と香港周遊に出掛けた南は、初めてのバイキング式レストランでお盆に山盛り取ってきてしまうが、何とか完食。トイレに入った南はセンサーで水が流れる小便器を見てビックリ。そこで手や林檎まで洗って食べる始末。その様子を目撃した親子客は即座に移民を決意。 タダ飯食いの南に働いてもらおうと、範の勤める靴屋の瑪利亞演じる女社長に面接を依頼。社長は本土の人はダメと言いながらも、南が炮妹から教わった嘘の挨拶(握手の際に中指で相手の掌をこちょこちょする)で女心を刺激されて、今日だけだとOKする。しかし早速社長の自宅に招待された南は勘違いで社長を殴って謝罪を要求され、捨て台詞を残してすぐさま辞めてしまった。 嘉玲の交際相手である任達華(サイモン・ヤム)演じる御曹司・許公子の誘いで骨董展を訪れた黄一家と南。許公子の両親の大切にしている骨董品を南が滅茶苦茶にしてしまい、嘉玲は許公子にフラれてしまう。 ある夜、黄一家が食事しながらTVを見ていると「中国超人有獎遊戲節目」という我慢大会の番組に南が出演しており、何と優勝してしてロンドン旅行を勝ち取る。翌日、その番組を見た、黄家と同じマンションに住むリッキー(許冠英)演じる新米保険外交員の經紀拉(ブローカー)が早速南に声を掛ける。 ロンドン旅行に出発した南はトランジット先のインドの空港で爆睡 その頃、南から暫し解放された範らがホッとしながらTVを見ていると、インド発ロンドン行き旅客機がエジプト上空でイラクに撃墜されて乗客全員死亡との臨時ニュースが流れ、萍と範は愕然。 範が職場でいつものように社長からこき使われて暴言を吐かれているところに萍から電話が入り、南が50万ドル(400万香港ドル)の生命保険に入っており、受取人は萍で1ヵ月後に支払われるとのこと。大喜びの黄一家は新たに高級マンションの仮契約を結び、旅行会社ではどの国へ行くか決めあぐねていた。その頃、南はインドの空港で職員に起こされて慌てて乗った旅客機がコンガ行きだったため、現地で言葉が全く通じなくて帰れないでいたが、やっと広東語が理解できる牧師と会わせてもらっていた。 南の祭壇を作り、道士を呼んで祀った日の夜、黄一家の元に南が現れる。最初は幽霊かと怯えたものの南が生きていたと分かり、一同は喜んだ。しかしそうなると保険がもらえない。範は保険が下りるまでの2週間、身を隠してほしいと南にお願いするが、正直者の南はそれはペテンだと断る。だが範と萍の懇願に負けて協力することに。 最初の客が事故死となった經紀拉は上司に怒られ、黄家に電話すると南らしき男が出た。不審に思った經紀拉が黄家を訪ねると南の姿があった。南は幽霊のふりをして誤魔化し、更にやって来た近所の葉榮祖演じる豆花佬から身を隠すため、どしゃ降りの雨の中、ロープで窓から外に出て隠れた。何とかバレなかったものの南は高熱を出して酷い嘔吐に苦しむも、保険が下りるまで病院に連れて行くことはできない。 經紀拉の上司達は空港から遭難者が一人足りないとの報告を受け、担当の經紀拉に連絡するが、南の幽霊を見て熱が出たから休むとのことだった。範からの保険金催促電話の理由に合点がいった上司達は、直接保険金を渡したいと黄家にいきなり調査にやって来て――。 前作に引き続き葉榮祖(イップ・ウィンジョー)おじさんや、盧冠廷(ローウェル・ロー)が出演しているのが嬉しい。あ、盧冠廷はTVに出演している風水師役だ。そして勿論、高志森(クリフトン・コウ)監督もTV番組「中国超人有獎遊戲節目」の司会者役で出演。 王祖賢(ジョイ・ウォン)演じる嘉玲は、新たに梁家輝(レオン・カーフェイ)演じる大学生と仲良くなっていた。南は海南島に帰ったので、今度は上手くいくかな。 レストランのトイレの小便器で手を洗い、そのうえ林檎まで洗ってそのまま齧る雁歸南を見て、楊凡演じる男性客がドン引きしながら「よし、移民するぞ」と決意するシーンは当時話題になっていたっけ。香港返還が決まって移民急増のニュースをよく耳にした時代だった。 マイケルはこの作品でも90年4月に開催された第9屆香港電影金像獎で最佳男主角(最優秀主演男優賞)にノミネート。そして今回も受賞には至らず。 雁歸南が暮らす中国・海南島。この当時はかなりの田舎だったようだが、88年に広東省から分離して海南省になり、同時に経済特区となって人口が急増。2010年に中国政府が「国際観光島」として大規模開発とノービザ・免税などによる観光産業の推進に乗り出すと、投機資金も流入して地価が急激に高騰。今や別名「中国のハワイ」だそうな。(多謝、Wikipedia) 将来、中国の巨大なマーケットが最も重要になることを見越して、中国が舞台の映画を撮ろうと試しに製作された作品らしいけど、まさか海南島を含む中国がここまで急発展を遂げようとは。流石人口世界一の国…って今年インドに負けちゃったんだっけ。 (右側の映像で、マイクを握っているのが高志森監督) 合家歡 Mr. Coconut 1989年1月21日(香港) 邦題 : ミスター・ココナッツ 日本公開 : 1992年1月30日 出品人 : 許冠文、黃百鳴 監製 : 高志森 導演 : 高志森 編劇 : 高志森、許冠文、黃百鳴 制片商 : 高志森製作有限公司(Ko Chi Sum Productions)、許氏影業有限公司(Hui's Film Production) 演員 : 許冠文、黃百鳴、鄭文雅、許冠英、王祖賢、任達華、瑪利亞、梁家輝、葉榮祖、盧冠廷、楊凡、高志森、袁潔瑩、李麗珍 音樂 : 袁卓凡 主題曲 : 譚詠麟 語言 : 粵語(広東語) 票房 : HK$ 31,246,945(1989年第3位) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.09.18 05:18:29
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