カテゴリ:許冠文&Mr.Boo!
「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」第22夜の今宵は95年に公開された日本未公開作品「富貴人間」を御紹介。
マイケルは役者として主演しているのみだが、実質的な主役は香港で大人気だったお笑いHIP HOPデュオ・軟硬天師の葛民輝(エリック・コット)と林海峰(ジャン・ラム)だ。おそらくマイケル出演作中、最も残念な作品のような気がする。何故これに出演する気になったのだろう? 製作・脚本を手掛けたのは永高電影有限公司(Regal Films)で、91年に黃百鳴(レイモンド・ウォン)と共に永高を設立した羅傑承(スティーブン・ロー)が今作の監督を務めている。 マイケル演じる朱功は20数年前に南アフリカに渡り、今ではダイアモンド王と呼ばれる大富豪だ。彼は4人兄弟姉妹の長男だが、これまでビジネスに夢中で親戚付き合いを怠っていたため、新年を祝うために香港に帰国することにした。 羅家英(ロー・カーイン)演じる朱喜は4人兄弟の2番目で、「萬昌大薬行」で “朱醫師” として働いている。林海峰(ジャン・ラム)演じる朱喜の息子・朱才は寿司屋で働いているが、大将に怒られてばかり。だが腕には自信があり、客として来店していた蔡瀾(チャイ・ラン)演じる蔡先生に握った寿司を褒められて大喜び。しかしそれが面白くない大将から皿洗いを命じられ、渋々従っていると朱喜がやって来て、南アフリカに行った兄が戻ってくるという。母親が死んだ時ですら戻って来なかった兄に蟠りがある朱喜は、朱功の家に挨拶に行くよう頼む。3番目の妹は若くして亡くなり、彼女の息子である廖啟智演じる大頁と苑瓊丹(キングダム・ユン)演じる妻は、大富豪の朱功の帰国の知らせに大喜び。また、自分の発明品の売込に大忙しの葛民輝(エリック・コット)演じる4番目の弟・朱發も、長兄とはあまり接点がなかったものの、大富豪の朱功に自分の事業計画をバックアップしてもらおうと考える。そして黃秋生(アンソニー・ウォン)演じる金利來(阿來)の元にも亡き母・秋香宛に朱功から帰国の手紙が届く。阿來は亡き母が残した手紙を入れたペンダントを大事に持っており、手紙は涙の跡か何かで所々滲んで読みにくいが、母はボスにレイプされたというようなことが書かれているため、責任放棄した父親から賠償金を取ってやる!と朱功に会いに行く。 帰国した朱功の大豪邸で朱喜と才、大頁一家、朱發、阿來は揃って朱功を出迎える。記念にと早速ダイヤを配る朱功に、朱喜親子以外は目の色を変えて受取った。朱功は南アフリカの友人の娘である陳加玲演じる阿玲を紹介する。朱喜は母が毎日手紙を書いたのに連絡もなしで…と怒って退出し、朱才は父の後を追った。 朱才はまたも大将に怒られ、女装して接客に回るも酔っ払い客に絡まれて喧嘩になったうえ、大将から客に謝るよう言われて店を飛び出してしまう。自分の寿司屋を持ちたい、技はあるのに…と落ち込む朱才を、一部始終を見ていた阿玲が慰めた。 それから朱功の元で朱發は事業計画を見せ、朱才は寿司を握り、阿來は自分こそ息子だと言う。しかし阿來は証拠の手紙をいれたペンダントを紛失していた。3人は朱功の豪邸で住込みの看護婦をしている美女・蚊蚊を紹介される。実は蚊蚊は大頁の情婦で、スパイとして潜り込んでいるのだった。そして阿來は朱功にDNA鑑定を依頼、陳秀雯演じるハウスキーパーの阿蓮は阿來の顔面を殴って鼻血を採取した。 ゲームコーナーのアトラクションで楽しむ朱才、朱發、阿玲。続いて3人でゴーカートに乗った際に朱才は阿玲に告白するが、時間終了のブザー音に掻き消されて阿玲の耳には届かなかった。朱才は阿玲と二人きりになった時、どうして黙っているの?と聞かれ、どうしたら叔父(朱發)に対するように笑ってくれるのかとすると尋ねると、阿玲は簡単よ、嬉しいときも悔しいときもそばにいてくれればそれでいいと答える。その後、ハンバーガーが買えず空袋を手に席に戻った朱才に対し、朱發はちゃんと買ってきて阿玲と半分こするのだった。店を出て、タクシーを止めようとしている朱才を目にした親子連れの子供が、さっきビッグマックをくれた人だと言っているのが耳に入り、心が動く阿玲。 その後も朱功の気を引こうと付きまとう朱發と朱才。朱功に明日1~2億用意すると言われた朱才は喜ぶが、阿玲はそんな朱才を見て以前とは変わってしまったとハンバーガーを投げつける。 翌日、朱才からの契約書に朱功がサインし掛けたところに阿來がやって来た。父親だと言い張る阿來に、お前の母親とは何もなかったと朱功も言い返す。家政婦がしているペンダントを見た阿來が取り戻して証拠の手紙を見せたところ、朱功が自分はそれのコピーを持っているという。コピーには「嵐の夜に骨董品を盗んだことは忘れない。次に会ったら9,000ドル弁償する。私が死んだら子供が払う」と書かれていたため、阿來は絶句。そこへ朱發も来て発明ビジネスに投資して欲しいと言い、おまけに大頁一家までやって来て問題が起きたから助けて欲しいと幼い子供から頼まれる。しかし子供が正直に喋り過ぎたことで大頁の嘘がバレ、更に蚊蚊が大頁の情婦だということも阿來からバラされて、蚊蚊は出て行く。 サインをお願いする朱才に、朱功は毒蚊に足の指を刺されたから毒を吸い出してくれと頼む。朱才が吸おうとしたところに朱喜が現れ、「知足常樂、平凡是福(足るを知る心があれば常に楽しく気持も楽になれる、平凡であることは福である)」「有錢不一定會開心的(お金があれば必ずしも幸せになれるわけではない)」と説いた。朱喜は朱功にも怒って部屋を出て行き、朱才も後を追った。代りに朱發、大頁、阿來の3人が朱功の足指を吸おうとした時、裁判所の執行官が訪れ、朱功が投資失敗したため押収しに来たと告げる。すると朱發、大頁一家、阿來の態度は一変し、慌てて逃げ去ってしまった。朱才は朱功に一緒に住もうと誘う。 朱喜の家に住ませてもらうことになった朱功は祀られている両親の位牌に祈り、朱喜と仲直りすることが出来た。そして阿玲に誘われて朱才が働いていた寿司屋に顔を出すと、大将からお前も今日から大将だと言われる。そこへ蔡先生と文雋(マンフレッド・ウォン。本人役)が顔を出し、朱才を寿司バーのディレクターにと持ちかけた。文雋も宣伝してくれるという。実は朱功が寿司店に投資していたのだ。一方、朱功は南アフリカに戻ると言い出して――。 お正月映画なので出演者はそこそこ豪華なのだが、何ともB級感に溢れた作品なのだ。 永高電影有限公司の黃百鳴には「合家歡」で、羅傑承には「丐世英雄」で御世話になっているから、その義理とかの関係で出演したのかなぁ?…なんて勝手なこと書いてるけど。 結局、永高は二人の意見の相違により90年代半ばには早々と結業してしまった。 阿玲役の陳加玲(チャーリー・チャン)といえば85年に結成された開心少女組のメンバーだった女の子だが、どうやらこの頃は羅傑承のGFだったようで、今作が公開された95年の10月に二人でいたところを刃物を持った複数の襲撃者に刺され、羅傑承は病院送りになったらしい。命に別状がなくて何より。 蔡先生を演じている蔡瀾(チャイ・ラン)は日本に留学経験があるためか、90年代にフジテレビで放送されていた「料理の鉄人」の審査員を何度か務めたことで知られる。94年にポッカが発売した「暴暴茶」、成龍(ジャッキー・チェン)が製作してCMにも出演していた懐かしいお茶、あの暴暴茶を売り出したのも蔡瀾(蔡瀾監製と缶にも書かれていた)だ。劇中で文雋(マンフレッド・ウォン)が暴暴茶の缶を持って何やら蔡瀾に熱弁を振るっている。 まぁでもマイケルはデビュー作「大軍閥」以来ずっと主役を演じ続けてきたので、たまには肩の力を抜いて演じられる作品があってもいいかもしれない。 ※ 91年に中国東部で起こった洪水による水害支援のための香港スター総出演映画「豪門夜宴」(91) は除く 富貴人間 The world of Treasure 1995年1月21日(香港) 監製 : 陳加玲 導演 : 羅傑承 編劇 : 永高創作室 制片商 : 永高電影有限公司(Regal Films) 演員 : 許冠文、林海峰、葛民輝、羅家英、黃秋生、陳加玲、苑瓊丹、蔡瀾、文雋、劉青雲 音樂 : 劉以達、韋啓良 語言 : 粵語(広東語) 票房 : HK$ 7,622,045(1995年第27位) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.10.15 18:30:01
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