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2024.07.08
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カテゴリ:邦画
 前々から一度は見てみたかったが何だか怖そうで見れなかった映画が、たまたまYouTubeで2週間限定無料公開中(7月18日まで)とのこと。ありがとう、松竹シネマPLUSシアターさん。
 というわけで、昭和55年(1980年)に公開された野村芳太郎監督の「震える舌」を見てみた。トラウマ必至だの、ホラー映画より怖いだのという評判を目にしていたので怖々と見てみたのだが、個人的には医療並びに医師の凄さに感銘を受け、主演の渡瀬恒彦さんの格好よさと、子役の女の子の演技力にただただ圧倒された作品であった。
 ちなみに渡瀬さんは80年度のキネマ旬報主演男優賞を受賞している。

 自宅マンション近くの水辺で遊んでいた女の子・三好昌子ちゃん(演じているのは若命真裕子ちゃん)は指先をちょこっと怪我してしまう。後日、昌子ちゃんは食事をあまり取らずにフォークを落としてしまい、父親の(渡瀬さん)が厳しく叱るも、母親の邦江十朱幸代さん)は昌子ちゃんは風邪気味だからと庇う。医者には連れて行ったが、昌子ちゃんが口を開けたがらなかったから医者も診なかったとのこと。
 また後日、昭と邦江は昌子ちゃんの歩き方の異変に気付く。その日も病院には行ったもののちゃんと診てもらえなかったという邦江に、昭は明日は自分が連れて行くと言っていたその夜、突如昌子ちゃんの叫び声が!昌子ちゃんは痙攣を起こし、舌を噛んで口中血まみれになっていた。大慌てで昌子ちゃんの口を開けさせ、救急車でかかりつけの病院へ向かうも「明日大病院で診察してもらった方がいい」と言われただけで帰されてしまう。帰宅後、何とか昭のツテで大学病院に行って診てもらうが、原因は心因性のもので心配ないと診断された。ただ念のため、翌日教授に見てもらったほうがいいと言われてとりあえず昭と邦江は一安心。
 翌朝、再び大学病院へ診察に訪れるも、昌子ちゃんを診察した小児科医長(宇野重吉さん)はすぐに詳しい検査と入院を指示した。検査の結果、昌子ちゃんは破傷風と診断される。疑われていた脳腫瘍や髄膜炎ではなかったことにほっとする昭であったが、小児科医長から破傷風は非常に厄介で死亡率が高い病気だと告げられる。
 光や音の刺激による痙攣を避けるため、昌子ちゃんの病室の窓や電気スタンドは真っ黒な布で覆われた。そしてここから壮絶な闘病生活が始まる。
 数時間おきに強直性痙攣を起こしては体を反らし(後弓反張)、舌を噛んで口中血まみれになって唸る昌子ちゃん。昭と邦江はそんな昌子ちゃんから目が離せず、次第に疲労で精神的に追い込まれていく。
 やがて主治医の能勢先生(中野良子さん。お綺麗でめっちゃ頼りになる先生)らの尽力もあって昌子ちゃんは一般病棟に移るまでに回復する――という話である。

 原作者の三木 卓さんの娘さんが実際に破傷風菌に感染された時のことをモチーフに描かれているとのことで、今更ながら破傷風の恐ろしさを知った。
 痙攣したときに舌を噛み切らないように、昌子ちゃんの前歯がまだ乳歯か確認した後、乳歯ならまた生えてくるからと麻酔なして歯を抜いていくシーンは確かに怖かった。怖かったといえば、昌子ちゃんを演じた子役の若命真裕子ちゃんの迫真の演技が怖いくらい凄かった。
 昌子ちゃんの尋常ならざる苦しみを間近で支える母・邦江さんが精神的におかしくなっていくのも分かる気がする。気はするけど、見ていてちょっとイラッとしたのは、それだけ十朱さんの演技力が優れていたからだろう。
 この作品では能勢先生を凛々しく演じた中野さんと、様々な葛藤や苦しみ、恐怖(自宅で痙攣を起こした昌子ちゃんの口を開けさせる際に指を噛まれて怪我したことから、自分も破傷風菌に感染したのではないかと怯えていた)を抱えながらも自分を見失わなかった昭さん役の渡瀬さんが素晴らしかった。
 病状が落ち着き、酸素の管(っていうの?)が外れた昌子ちゃんが第一声で「チョコパン食べたい」「チョコパンだよぉ~」と言うと、能勢先生からジュースのお許しが出て、昭さんは大急ぎで自動販売機へ向かう。何本もの缶ジュースを手に走って病室へ戻る途中で躓いて転んでしまい、落ちて転がった缶ジュースを拾いながら一人涙する昭さん…というか渡瀬さんが実にいい。格好いい役者さんだったと心から思う。

 最後に、これはすごくどうでもいいのだけど邦江さんの故郷は岡山らしく、お母さんが岡山から駆けつけて来たシーンがあって、渡瀬さんの口から岡山という単語が発せられただけでちょっと嬉しかったりして。この感覚は田舎モノしか分かるまい…悲しいなぁ ショック





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Last updated  2024.07.08 01:02:38
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