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ちょっと長いけど僕の自虐的な恥ずかしい体験談を聞いてほしい。最近更新頻度が低いのでちょっとヘビーにしてみる。 高校入学してまもない15歳の初夏だった。Tシャツ姿だと涼しく、スウェットだと暑いそんな気温の午後だった。 僕はアルバイトを始めた。駅前のケンタッキーフライドチキンでアルバイトを始めた。「アルバイトをして自分で小使いを稼ぐ」というのがなんだか誇らしく、とてもかっこいい行為に感じていた。 いつもと変わらない通勤路を、通学路を行くのと同じスピードで自転車を走らせていた。 すると前方から見覚えのある顔の女の子が歩いてくる。 「ん?」 向こうも僕に気付いた様子。それは中学2年の時に付き合っていた元彼女だった。中学2年といえば青臭い男子がちょうど色気づいてくるころ。髪型を気にするようになってくるころに、はじめて付き合った女の子だ。 「おお~久しぶりじゃん」 「あ~YSHIROCKSくん久しぶり~」 こういう時ってなんで男はカッコつけるんだろうか?別れてから1年半ぐらいしか経っていないのに「ちょっと大人になったオレを見て」的な口ぶりで「今からバイトなんだよね~」なんて言ってみる。そして自分では一番かっこいいと思っている角度から彼女を見つめる。 高校生になり少し大人気分の僕は「中学の頃に付き合ってた女の子」ではなく「別れた女」に会った感じだった。15のガキがなんとも生意気である。 2~3分の会話を交わしその場を去る。自転車を漕ぎながら振り返り、彼女に手を振る。彼女も手を振ってくれた。手を振る彼女がだんだん遠くなっていく。 「かっこよく且つスマートに決まった!」 と心の中で叫ぶ僕。今考えると別に何も決まっていないのだが、当時の僕はそう感じたのだ。まぁ元カノに会うなんて場面が生まれて始めてだったからすこし舞い上がったのだろう。 しかし次の瞬間あの悲劇は起こった。 自転車を漕ぎながら手を振り終えて前を向いた瞬間、僕の視界に信号で停止していた車が飛び込んできたのだ。 まぁ、簡単に言うとよそ見をして止まっている車の後方にチャリンコで突っ込んだのだ! 「やべっぇ~!!」 心の中で叫ぼうとした瞬間、僕の時間軸はスローモーションに変った。ゆっくりと流れる時間のなか、僕はとっさに自転車のブレーキを握りしめた。あと30cmに車が迫ったところでブレーキが利き始めるが・・・・・ 「ゴン!」 と鈍い音を立て前輪のタイヤが車にぶつかった。幸いブレーキが利き始めていたので衝突の衝撃はそれほどのものではなかった。 しかしながらだ! 握り締めたブレーキは前輪タイヤだった事から、車にぶつかった瞬間に後方のタイヤが「フワッ」と浮かび始めたのだ。 僕は腕に力を込めハンドルを握りしめ、バランスを保ちながらこらえた。しかし後輪タイヤはどんどん浮かびあがってくる。 20度・・・ 30度・・・ 45度・・・ 60度・・・ 僕を乗せた自転車の後輪は恐ろしい程ゆっくと角度を上げていく。 80度まで浮かびあがった瞬間、時間が停止した。そう完全に時間が停止したのだ。 「YAHIROCK 15の夏 ジャックナイフ ここに完成」 ジャックナイフとはマウンテンバイクやBMXなど2輪競技の技の名前。前輪を浮かせる「ウイリー」の逆と言えばわかるだろうか。(写真参照) そう15の僕はプロ顔負けのジャックナイフを黒いママチャリで成功させたのだった。80度の角度で後輪を上げたまま10秒間程停止していたのだ。 その姿はとても美しく、自転車、僕、地面、車を真横から見た直線はまさに黄金比!バウハウスもびっくりの直線的デザインだ。 そして1mmも左右にぶれることなく後輪タイヤがゆっくと下がってくる。着地も大成功。静寂の時が終わり、時間軸が元に戻る。 ふ~危なかった。一歩間違えば大怪我をするところだった。ぶつかった車の運転手さんからは「気をつけなさい」のひと言で済んだ。すべてが万事OKと思い安心した瞬間、ある事を思い出した。 「あ~!元カノに見られてねーだろーな!」 やばい!実はこれってかなりかっこ悪いんじゃねーのか?よそ見して車にぶつかってジャックナイフだぞ~! 地元で「ジャック」なんてあだ名がつけられた日には死にたくなる。黒いチャリだからせめて「ブラックジャック」にしてくれ。 落ち着け!多分見られていないだろう。だから早く立ち去ろう。急げ! 自転車にまたがり足早に立ち去ろうとすると、何か違和感を感じる。自転車が前に進まないのだ。外傷はほとんどないのだが、ぶつかった衝撃でフレームが歪み前輪タイヤが回らなくなっていたのだ。 パニっくてきた。壊れた自転車よりもバイトに遅刻する事よりも、この姿を元カノに見られてしまうのが恥ずかしいのだ。 怖くて後ろを見れない。狭い一本道だったのだがも少し進めば曲がり道がある。そこで自転車を整備しよう。とにかく元カノに見られていないことを祈りながら、壊れた自転車を抱えて、逃げるように先に進む。すると後ろから 「大丈夫~?」 と声が聞こえる。振り返るとやはり元カノが立っていたのだ。一部始終を見ていたのだ。心配そうな目で僕を見つめる元カノ。 しかし、しかしだ。 彼女の口元は確実にはにかんでいた。むしろ笑いをこらえていたように思えた。 「あ~死にたい」 神様!あなたはなぜ僕にこんな試練を与えるのですか?そう心のなかでつぶやき、何も言わずにその場を去った。元カノとは目も合わせられなかった。 YSHIROCKS 15歳 淡い思い出だ・・・・ その日の夜、バイクを盗んで走り出した事は言うまでもない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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