カテゴリ:カテゴリ未分類
自宅の前の道は通学路になっているので、毎朝騒がしい小学生の話声が聞こえてきてもいいところなのだが、3個の目覚ましと携帯電話のアラーム5回(スヌーズ各3回)でも目覚めない僕にとっては、通学途中の小学生の声など、小鳥のさえずりにしか聞こえない。 こうして考えると、自分の生活サイクルは本当に世の中とずれていることを再認識する。 先日、ひさしぶりに休みがとれてので一日中家にこもってみた。当たり前のように午後に起きて、ブラインドを開けてみると、外を歩く「小学生の群れ」が視界に写りこんできた。 「おお~小学生だ!!これは珍しい!!」 「おっ!あれは縦笛か?」 「何?まさかアレはかっぽう着ではあるまいな・・」 など僕にとっては珍しいこの霊長類ヒト科小学生を部屋の中からブラインドごしにウォッチングして楽しんでいた。 ちょっと待てよ!僕は起きてきてから30分ぐらいしか経過していない。それなのにこの種族はこの種族にとっての生業である「学業」を終えて自宅に帰るところなのだという事実に驚愕した。 僕が寝ている間にきゃつらは勉強してる・・・ 僕が寝ている間にきゃつらはドッジボールに興じている・・・ 僕が寝ている間にきゃつらは給食を食している・・・・ 僕が寝ている間にきゃつらは昼寝してる・・・・ なんという濃厚な一日。なんという凝縮率。僕はどれだけ今日という1日を無駄にしているのだろうか。考えると悲しくなる。 そんな事を考えていると「ピンポーン」と僕の部屋のインターホンがなった。 「???????」 女の子が遊びにくる予定など全くない上に、もし来たとしても幻滅するような酷い寝起き姿の僕は「はい?」とふてぶてしく応答した。 「・・・・・・・・」 だれもいないぞ・・・。勘のいい僕はすぐに部屋の窓から外を見ると、そこには風のように走り去っていく霊長類ヒト科小学生の姿があった。これは・・・もしかして・・・ 「ピンポンダッシュじゃねーかー!!!!!!」 僕は興奮が抑えられなかった。認めたくはないが、その昔僕も霊長類ヒト科小学生だった。 あのとき狂ったように没頭したあのピンポンダッシュの被害者になっている。僕はなぜだか分からないが「逆に」心臓がバクバクしてきた。 成功率100%。見つかって怒られた事など1度もない「ピンポンダッシュの大先輩」である僕にピンポンダッシュを仕掛けるだと~。生意気な! こういう行為は必ず連鎖する。シンクロニシティーというやつだ。きゃつらは必ず次も仕掛けてくる。きゃつらは群れでやってくる。 ウチのインターホンは通りに面しているので、ベランダからひっそりと覗きこめばピンポンダッシュの犯行現場を押さえられる。僕はベランダにかがみ込み、やや緊張しながら獲物をまっていると、5分としないうちに3人の小学生がやってきた。 早い!入れ食いじゃないですか!と心の中でつっこむ。 ここは大先輩としてきゃつらに一泡吹かせてやらねばならない。 恐怖のズンドコに落としいれてあげる事こそ偉大な大先輩というもの。 クスクス笑いながらインターホンに手を伸ばす小学生たち。きゃつらの緊張もピークに達するそのとき。僕はベランダから顔出し、大声で叫んだ。 そう、ネバーランドの王子様。マイケルジャクソンの雄叫びだ。 「ポ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ウ!!!!!!」 逃げる小学生。そのスピードはさっきピンポンダッシュを成功させたきゃつらの軽く5倍だ。 50mぐらい離れた先で小学生の一人が振り返った。その瞳にはベランダから顔だけ出した色白の僕が映る。僕というかマイケルジャクソンが映っていたはずだ。きっとトラウマになったはずだ。 もしくは次の日に「マイケル退治」に群れでやってくるかもしれない。 よかった。明日は仕事だ。 「いたずらする小学生を怒る近所のにいちゃんやおじさん」なんてのは僕らの時代でも健在だった。でもサイコ野郎による悲しい事件が絶えない今、僕のユーモアもサイコと紙一重なんだろうね。 そのあとコンビ二にいってタバコとビールを買ってきた。小学生の10分の1にも満たない内容の薄い休日だ。 それでも、気持ちの良い風と光が僕の部屋に入ってくると、いつの間にか僕は昼寝をしていた。 僕は今「人生の真っ只中」にいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|