証券会社の自己売買部門2
昨日のブログを書いた後に、証券会社の自己売買部門とアナリストレポートの独立性についてネットで調べていたら面白いコラムを見つけました。楽天証券に掲載されていた藤根靖晃さんというアナリスト歴のある方のコラムです(ネットは本当に調べものに便利ですね)。藤根さんのコラムによると、米国ではエンロン事件の後に証券会社のアナリストレポートが証券会社の営業や投資に利益になるように行われているのではと疑問が投げかけられました。SEC(米証券取引委員会)は証券各社が自社の利益を優先し、個人客に損害をもたらしていると大手証券10社(ソロモン・スミス・バーニー、CSファースト・ボストン、メリルリンチ、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、ベア・スターンズ、ドイチェ・バンク、JPモルガン、リーマン・ブラザーズ、UBSウオーバーグ)を告発しました。10社合計の和解金は14.35億ドル(約1,700億円)だったそうです。また和解金のみではなく、それ以降SECは投資銀行部門からのリサーチ部門の隔離を義務づけしたようです。また日本でも日本証券業協会が社内審査(コンプライアンス体制)、レポートの保管、利益相反の開示、組織体制・報酬体制の整備などを、理事会決議として各種の指針を発表しているようです。ただ日米の違いは、アメリカは事件の摘発および当局からの命令でリサーチ部門の隔離を行ったようですが、日本の場合は業界団体の自主目標みたいな感じでしょうか?真摯さが少し違うような気がします。日本の証券会社やアナリストが自社に有利なレポートを書いて証券取引委員会に摘発されたいう話は聞いたことがないので、そこまで切迫性はないのかもしれません。藤根靖晃は違うコラムで以下のようなエピソードを書いています。(引用)以前、勤めていた証券会社で調査部長(当時)が、アナリストに対して次のようなメールを配信した。「私たちの給料は(機関投資家)営業部門が稼いで来る手数料だけでなく、投資銀行部門が負担してくれています。ですから皆さん、投資銀行部門の収益に貢献するように働いてください。」これに対して、小生は次のように反論した。「私たちの給料は、見かけ上は営業部門や投資銀行からお金を貰っているようですが、その後ろにあるマーケットまたは投資家の方が払ってくれているのです。投資家の為に貢献することが、結果的に営業部門に貢献することであり、投資銀行部門にしてもその顧客である発行企業はマーケットが機能することによって支えられているのです。したがって、何が投資家にとって何が最善かを優先すべきです。」(引用終わり)うーん。なかなか生々しい話ですね。でも現実はこんなものかもしれません。独立系のアナリストがもっといた方が良いとは思います。でも日本の場合影響力を持つのは大手と外資なんですね。先週金曜日のダビンチの株価を見てそう思いました。明らかな企業のインサイダー情報と違って、証券会社の発表するアナリスト情報は定義的にはインサイダー情報にはならないと思います。証券会社アナリスト情報なんて単なる一つのオピニオンですから。それを真に受けて買う方が悪いと言えばそれまでの話ですし。個人投資家のブログだって考えようになっては、買い煽りととる人もいるでしょうし。 最後はあんまりまとまりのない話になってきました。こんなこと調べている暇があったら一つでも銘柄分析でもやればという感じでしたかね。