不思議な世界(その62)
超能力者列伝22(北川恵子)神護寺へ行ってからというもの、行く場所ごとに必ず何か空海に関係したものがあるなど、偶然にしては出来すぎていることが起こるようになった。「もしかして、空海が私に何かを教えようとしているのではないかしらと思うようになりました」と北川は言う。その答えは突如現われた。1984年3月20日、頭の中で声が聞こえたのだ。「四大に礼拝せよ」と、その声は言った。声は、それを行う方法と向き、時間などを事細かに北川に教え、北川はそれに従って教えられたとおりに実行した。北川にとっては、これは未知の体験であった。これまで会話している相手の心の声が聞こえることはあったが、頭の中でいきなり声がするのは「まるで覚せい剤常習者みたい」だったからだ。そのときの感触について北川は次のように言う。「体の感覚が日常の感覚より少し薄れて、眉間の辺りから後頭部にかけて幅広のハチマキをしている様に感じられます。その部分は体とは逆に、生き生きと脈打つ様です。声は、耳の3センチくらい上と両眉毛の付け根との交差点辺りで聞こえることが最も多いと思います」北川は元々、疑り深い性格であったというが、こういう声がするときは、非常に従順な気持ちになっていて、全く疑わないのだという。翌1985年になると、声はもっとはっきりしてきたと、北川は言う。最初は「モイナ、モイナ」と語りかけるような声が聞こえ、3月に入ってからはしきりに「マーロート、マーロート」と聞こえるようになった。「モイナ」は、北川にとってはよく知った名前であった。北川はなぜかイギリスに実在した「黄金の夜明け団」という組織に興味があり、その統領だった人の奥さんの名前がモイナだったからだ。だが、マーロートという言葉には全く心当たりがない。3月16日午後、北川がワープロを居間に持ち出して、窓からの木漏れ日を浴びながらボーッとしていると、突然、例の「マーロート」が始まった。だが今回は、聞こえるだけではなく、「頭の中で見えるというか、何と言うか、視覚と聴覚の間のような感じで文字が浮かび上がってきた」という。それも何と英語だった。You are here under the mission of ZOHAAT.Your name is MAROOTH.Shine the glory as sunshine,Unite the warmth of the sun to cover the chillness of them.北川が和文のほうがいいなと思うと、続いて和文が出てきた。汝は、ゾーハートの命により、ここに参れり汝の名は、マーロート照らせよ、栄光を 太陽の如く太陽の暖かさを以て、彼らの凍えを被い尽くせよ。このメッセージは何か。ゾーハートとは誰なのか。これによると、北川の名はマーロートということになるが、いったいどういうことか。(続く)=文中敬称略