ギリシャ探訪記18
パルテノン神殿から始まって、古代アゴラ、ディオニソス劇場、イロド・アティコス音楽堂、ゼウス神殿、国立考古学博物館、リカヴィトスの丘の夕日まで、わずか一日で当初予定していたアテネ観光はほとんど済ましてしまったので、次の日はどうしようかと思案しました。今回は風の神様のご招待だったのですから、何か風に関係のある場所がいいのでしょう。そう思って探し出したのが、風の神の塔があるローマン・アゴラ(ローマ時代のアゴラ)でした。でもローマン・アゴラでは、一時間もあれば見てしまえるでしょう。何しろ丸一日時間がありますから、もうちょっと足を伸ばしても大丈夫そうです。アテネから日帰りで行ける場所をガイドブックで探しながら、その日は眠りに就きました。翌朝目を覚まして、どこへ行こうかと伴侶さんと相談していたら、伴侶さんは私がガイドブックの右下のほうを見ている映像を夢で見た、と言います。ガイドブックの右下ですぐに思い浮かんだのが、スニオン岬です。アテネからバスで2時間の場所にありますから、十分に日帰りできます。そうと決まれば、スニオン岬への行き方をガイドブックで調べます。どうやら海沿いの道を行くルートと内陸のルートがあるようです。当然、景色がいいのは海側のルートのほうですよね。私はそのとき、バスは30分に一本あるとガイドブックに書いてあるから、すぐにバスに乗れるだろうと高をくくっていました。でも実は、内陸と海側の両方合わせて30分に一本だったことを後で知ることになります。宿泊しているホテルからバス・ターミナルまでは遠かったので、比較的近くにある、海側ルートのバスが通るという停留所からバスに乗ることにしました。ギリシャ語がさっぱりわからない私たちは、悪戦苦闘しながら、スニオン行きと見られるバス停にたどり着きます。そのバス停には、先着とみられる男性が2人待っていました。本当にスニオン行きのバスが停まってくれるのでしょうか。私はその2人にここがスニオン行きのバス停かどうか尋ねてみることにしました。(続く)