第二回英国の巨石をめぐる旅61
29日の朝です。この日はウェールズ北西部スノードニア国立公園から南西部のペンブロークシャーの巨石群までまず移動します。ペンブロークシャーも巨石がたくさんあり、特にドルメンが多い場所でもあります。最初に訪れたのは、この「女神の子宮」という異名を持つ「ペントレ・アイヴァン」というドルメンです。石室墳墓であったとみられています。なぜ女神の子宮と言う異名を持つかと言うと、天井の石が腹部のように膨らみがあることと、6世紀のウェールズの吟唱詩人タリエシンの誕生神話があるからです。女神ケリドウェンが自分の息子のために知恵を授けるスープを作ったところ、別の子供グウィオンが間違って飲んですべての知恵を身につけます。怒り狂った女神を恐れて、グウィオンは魚やウサギに変身しながら逃げますが、最後に一粒のトウモロコシに化けたところを女神に食べられてしまいます。食べられたグウィオンが女神の腹から出たのが、吟唱詩人のタリエシンになったというお話。つまりこの場所がタリエシンの生まれた場所だというんですね。このドルメンのある丘の南には、ストーンヘンジに使われているブルーストーンの産地であるプレセリ山地があります。このドルメン自体もブルーストーンでできており、しかもストーンヘンジができるずっと前に造られたとされているんですね。つまりストーンヘンジを造ったご先祖さまのお墓だった可能性もあるわけです。この場所では、ドイツ人のツーリストと出会って、ドイツにはほとんどこうした巨石がないことなど、ちょっとした巨石談義に花が咲きました。(続く)