イギリスの国章に込められた思い
古代人の使ったシンボルの話を続けてきましたが、ついでに現代人が使っているシンボルについても言及しておきましょう。その最たるものが、国旗や紋章ですよね。まずはこちら。これはイギリスの国章ですね。王立植物園「キュー・ガーデン」の門に施されていました。左のライオン(獅子)はイングランドを、右のユニコーンはスコットランドを象徴します。で、ライオンとユニコーンが真ん中の盾を支えているという図式で、その盾の上には王冠が載せられています。この写真からはわかりずらいですが、盾には四つのシンボルが描かれています。左上と右下の対角線上にあるのは、イングランド王室の紋章である黄金の獅子三頭。右上の獅子(本来は金の地に赤い獅子)はスコットランドの紋章、左下の竪琴はアイルランドの紋章です。盾の下には通常、バラ(テューダー・ローズ)、アザミ、シャムロックが描かれ、それぞれイングランド、スコットランド、アイルランドを象徴します。また、盾の周囲には、フランス語で 「HONI SOIT QUI MAL Y PENSE」というう標語が記されています。「悪しき思いを抱く者に災いあれ」という意味のことわざで、一種の呪術の言葉でもあります。まあ、このようにしてイギリスを守る必要があったんですね。ところで、スコットランドを象徴する右のユニコーンですが、凶暴な聖獣であるため、鎖でつながれているんですね。写真で、左の後ろ足に絡みついているのが鎖です。スコットランドが独立しないように、仕掛けられた鎖なのかもしれませんね。