ステュークリーが描いた古代遺跡のイラスト22
今日ご紹介するのも、非常に興味深いイラストです。ステュークリーが1723年7月18日に描いた、エイヴベリーそばのベックハンプトンからヘディントンに続く古代ローマ人の道路です。ご覧のように、ローマ人の道は右下にある先史時代の古墳の一部をカットして造られています。つまり、こうした土塁を含む古墳群は、ローマ人がイギリスにやって来る前から存在していたことを示しているんですね。彼は翌年にも、ストーンヘンジのそばでも同じような光景を見て、確信します。ストーンヘンジもエイヴベリーもローマ人が侵入するはるか前に造られたのだ、と。そこで彼は、ケルト人のドルイドが造ったのだとして、ストーンヘンジやエイヴベリーの巨石遺構を、先達のジョン・オーブリーに習って「ドルイドの寺院」と名付けたわけです。彼らの発想は、当時の人々にとっては新鮮でした。というのも、17~18世紀当時の人々はストーンヘンジやエイヴベリーの巨石群を古代ローマ人か、11世紀のデーン人の遺物くらいにしか、思っていなかったからです(ちなみにマーリンの丘も21世紀の2011年まで、11世紀の建造物だとみなされていました)。その画期的な仮説も、真実には近づきましたが、事実ではなかったことが今日では判明しています。ケルト人が来るさらに2000年以上前に、古代ブリトン人が建造したのが、エイヴベリーとストーンヘンジの巨石遺構であったわけですからね。もう、凄いとしか言いようがありません。