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天の王朝

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白山菊理姫

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2005.05.27
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カテゴリ:不思議な世界
神の意思――カムナガラの道

私が未熟者のせいだと思うが、いくらポジティブ・シンキングで行こうといっても、人間の我慢には限度があるし、抑えられない感情もある。目の前で繰り広げられる惨劇や悲劇に対して、ニコニコと笑っているようなことはできないし、学ぶために必要があったのだなどと被害者や被災者の家族に対して告げることもできない。

あまりにも世界中で戦争などの悲惨のことや理不尽なことが続くと、神を呪いたくもなる。なぜこのような、不幸で悲しい出来事を試練として与えるのか。私たちにはそのような試練が本当に必要なのだろうか、と。

なぜ神は、数々の試練や悪を作り出したのだろうか。

それが真実かどうかはわからないが、ニール・ドナルド・ウォルシュが書いた『神との対話』がいちばん明確に答えているかもしれない。彼が自問自答しただけなのか本当に神と対話したのか、知る由もない。ただ、その対話によると、神は光を知るために闇を作った、闇がなければ、光というものが何であるか体験できないからだという。

その「神」が語った最も興味深いエピソードのひとつは、「小さな魂と太陽のたとえ話」であろう。そのなかで「神」は、「小さな魂」との間で交わした会話について、次のように語った。

「どんな神の一部になるか、好きなものを選んでいいよ」とわたし(編注:神のこと)は小さな魂に言った。「あなたは絶対的な神性で、自らを経験する。神性のどんな部分を、自分として経験したいかな?」
「自分で選んでいいんですか?」小さな魂はたずねた。わたしは答えた。「そう。自分のなかで、自分として、自分を通して、神性のどんな部分を体験するか、選んでいいよ」
「わかりました」と小さな魂は言った。「それじゃ、わたしは赦しを選びます。神のなかで、完璧な赦しという部分を体験したいんです」
さて、想像がつくだろうが、これは少々やっかいな問題を生んだ。誰も赦すべき相手がいなかったのだ。創造されたものはすべて完璧であり、愛だったから。
「赦す相手がいないんですか?」小さな魂はまさかという調子でたずねた。
「誰もいない」とわたしはくり返した。「まわりを見まわしてごらん。あなたよりも完璧でない魂、すばらしくない魂が見えるかな?」
そこで、小さな魂はくるりと見まわして、自分が天のすべての魂にとりかこまれているのに気づいて驚いた。魂たちは、王国のはるか彼方から集まってきていた。小さな魂がとてつもない神との対話をすると聞いてやって来たのだ。
「わたしより完璧でない魂は見つかりません!」小さな魂は叫んだ。「それじゃ、誰を赦したらいいんでしょうか?」
そのときひとつの魂が群衆のなかから進み出た。「わたしを赦せばいい」と、その友好的な魂は言った。
「何を赦すんですか?」小さな魂はたずねた。
「あなたのつぎの物質的な人生に出かけていって、何かをするから、それをあなたが赦せばいい」友好的な魂は答えた。
「だが、何を? これほど完璧な光であるあなたに、わたしが赦したいと思うようなことができますか?」小さな魂は知りたがった。
「だいじょうぶ」友好的な魂は微笑んだ。「きっと、何か考えつくから」
「しかし、どうしてそんなことをしてくれるんですか?」小さな魂は、これほど完璧な存在が「悪い」ことをするために、わざわざ振動をスローダウンさせようとするのはなぜなのか、はかりかねた。
「簡単だよ」友好的な魂は説明した。「あなたを愛しているからするんだ。あなたは赦しとして、自己を体験したい、そうなんだろう? それにあなただって、同じことをしてくれたじゃないか」
「わたしが?」小さな魂はたずねた。
「そうだとも。覚えていないかい? あなたもわたしも、みんなその一部だ。わたしたちはそのなかの上昇で下降、左で右だった。ここでありあそこ、いまであり過去だった。大で小、善で悪だった。わたしたちはみな、その一部だったんだよ。そんなふうにして、それぞれが神の最も偉大な部分を体験しようとみんなで決めているんだ。わたしたちにはわかっているからね・・・・・・。
あなたでもないものが存在しなければ、あなたもまた存在しない。
『寒』がなければ、『暖』もありえない。『悲しみ』がなければ、『幸福』もない。『悪』と呼ばれるものがなければ、『善』と呼ばれる体験もありえない。あなたがあることを選ぶためには、それと反対の何かあるいは誰かが、宇宙のどこかに現われないといけない」
友好的な魂はそれから、そういうひとたちは神のとくべつの天使であり、そういう状態は神の贈り物なのだ、と説明した。
「かわりに頼みたいことは、ただひとつだ」と友好的な魂は言った。
「何でもします! 何でも!」小さな魂は叫んだ。神の神聖な側面のすべてを経験できるのだと思って、彼はわくわくしていた。やっと『計画』が理解できたのだ。
「わたしがあなたを襲い、暴力をふるうとき、想像しうる最悪のことをするとき――その瞬間に――ほんとうのわたしを思い出してほしい」
「忘れませんとも!」小さな魂は約束した。「いまと同じように、完璧なあなたを見ます。ほんとうのあなたを、いつも思い出します」
(ニール・ドナルド・ウォルシュ『神との対話3』より)

先にも述べたように、この会話が神との対話のなかで出てきたものなのか、ウォルシュの自問自答なのか、禅問答のようなものなのか、私にはわからない。ウォルシュによると、すべての魂は経験するために上昇と下降、「善」と「悪」の役割をそれぞれ演じているのだという。

この話を信じれば、アドルフ・ヒトラーやジョージ・W・ブッシュすら「友好的な魂」として赦さなければならないことになり、私には内心忸怩たるものがある。ヒトラーやブッシュといった存在も、私たちが経験したいと思ったから、魂の進化に必要だと思ったから、存在するというのか。では、殺された人たちには何と説明すればいいのか。そうした存在すら赦さなければならないことは、私たちが越えなければならない魂の「進化の壁」なのだろうか。

赦さないまでも、必要ないと思うことによっても「進化の壁」を越えることができないだろうか。元々、自分が選んだのだとしたなら、もう十分経験しましたと宣言することにより、目の前の障害が消えることもあるはずだ。

そのように気づくまでは、障害も必要であり続けるのだろう。だが、もはやそのような時代は終わったのだということに、私たちは気づくべきだ。少なくともヒトラーやネオコン、戦争や大災害といった障害はもはや、この惑星には必要ないのだということを言葉や態度で明確に示す必要がある。そうすれば、宇宙人から「悲しみの惑星」と呼ばれる地球にも、より素晴らしい宇宙が向こうからやって来るような気がする。
(了)

第一部「超能力者編」はここで、いったん完了します(と言っても、あと四話ほどおまけがあります)。108回もお付き合いいただき、ありがとうございました。もっと取り上げてほしい現象やテーマなどありましたら、お知らせください。





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最終更新日  2005.05.27 09:29:46
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