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干支にちなんだ話題をもう少し。
荻原規子の『空色勾玉』は英訳されてタイトルが“Dragon Sword and Wind Child”になっているんですが、「勾玉」に当たる語がタイトルにないとか、主人公は水の乙女である狭也なのに、稚羽矢(風の若子)のほうがタイトルになっているとか、そのへんはさておいて、「大蛇の剣(おろちのつるぎ)」がDragon Swordと訳されているのが、少し気になってしまう私でした。 この剣は物語では、輝(かぐ)の大神(=イザナギ)が火の神を切った、最強の剣と説明されていますが、剣自体が大蛇に変身することなどから、ご存じ古事記に出てくる八岐大蛇(やまたのおろち)のしっぽから出てきた天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ=草薙剣)のことだろうと思われます。 最強であるとともに最凶でもある恐ろしい武器ですが、力をふるうとき天を暴れ回るめしいた蛇(=雷)となったりします。大蛇はヘビであって、ドラゴンとはだいぶイメージが違うような気が・・・ 老婆心ながら、欧米の読者が東洋の小説でドラゴンと聞くと、中国風の善なる賢いドラゴンをイメージするのではないか、大蛇の剣は中国風というよりはまったく原始的・動物的な「おろち」で、むしろ西洋古代の(聖ジョージが退治したような)悪なるドラゴンなのだけれど、それならドラゴンでなくてその先祖ともいうべきワームworm(長虫)という語の方がいいのでは・・・などと。 ただこの剣の力も、代を下って『薄紅天女』(平安遷都前夜)になると、「皇(すめらぎ)の呪いのもと」として、青白い竜に変身します。ただこの時は勾玉の主である阿高(あたか)も黒い竜に変身するので、剣だから竜になるというわけではなさそうです。 とまれ、イメージとして善と悪、賢さと野蛮さのどちらをも持っているのがドラゴンだとすれば、底知れないぶん魅力的であると同時に、この言葉を使うときはどんなイメージを表したいのか、注意が必要な気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 19, 2012 12:06:00 AM
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