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HANNAのファンタジー気分

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February 1, 2012
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カテゴリ:気になる絵本

  不思議な響きの名前?が出てくるタイトル、『ツチオーネのおんがえし』。表紙には、これまた不思議に長~い顔のお侍。いったいどんな話かな? と思いきや・・・

 作物のほとんど育たない貧乏な寒村に、旅のお坊さんが一夜の宿とそばがゆのお礼に置いていった「ツチオーネ」の種。まいてみると、どんどん育って大収穫。
 って、絵をみるとこれ、ダイコンじゃないですか。カタカナで書いてあるからまるで西洋野菜のように聞こえますが、「土大根」とはダイコンの古名なのですって。

 にしても、登場人物の顔、どれもなかなかインパクトがあります。背景の色合いは土っぽくていかにも田舎風なのに、うったえるようなまなざしや、影のふかい顔立ちの立体感はある意味洗練されています。

 物語は、ツチオーネのおかげで豊かになった村をねたんだ隣の長者が、悪だくみをして村を襲撃! 畑や倉のツチオーネをめちゃくちゃにして主人公を殺そうとしたとき、表紙絵にあるあやしくも魅力的な白くて長~い顔のお侍たちが助けに現れるというもの。
 切れ上がった目といい、ピンととがったひげといい、束ねた緑の髪の毛といい、なんて異国風な、それでも確かにお侍。これぞ、ツチオーネの化身なのです。

 ダイコンは古代エジプト由来の野菜だそうで、日本には弥生時代に伝わったとか。お侍が和洋折衷なわけは、そのルーツにあるんですね。
 そしてこのお話、実は兼好法師の「徒然草」にある土大根のエピソードがもとになっている、と絵本の解説に書いてありました。
 さっそく調べてみると、第六七段に筑紫(福岡県)の話として紹介されています。でも、それはほんの短いエピソード。ここからこの絵本のようなすごい迫力のお話に仕立てた作者の力量に、感動します。

 5年生の読み聞かせに使いました♪ 一見の価値ありです!





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Last updated  February 1, 2012 10:58:05 PM
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