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HANNAのファンタジー気分

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February 16, 2013
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 先日の『ミーズルとミクロの仲間たち』の続編です。
 今回は悪役ラスモンク(wrathmonk=憤怒の修道士!?)が7人に増え、1作目でやっと両親と再会した主人公ミーズルを危機に陥れます。
 今度も小学生の男の子の好みの世界で展開される冒険物語で、悪夢と化した真夜中の遊園地が主な舞台。醜悪なようすで歩き回るぬいぐるみは映画「AKIRA」を、スピードコースターが主人公を暗黒の未知の領域に連れて行くところは劇場版「地球(テラ)へ」を思い出させました。
 ・・・つまり、定番・ツボを押さえているわけです。

 また、自動運転の車やゼリービーンズ、ティラノサウルス、前巻同様、臭くておかしくなるラスモンクの息など、男の子が好きそうなアイテムがいっぱい。
 「ボーボ」という奇妙な名の、声音を真似るラッパ?も登場。これによってラスモンクどうしの会話を混乱し、仲間内でけんかを始めるところは、『ホビットの冒険』のトロルと同じ。

 しかし、前の巻より複雑になった部分もあります。善玉、悪玉の描かれ方が微妙になってきているのです。
 今回の善玉がわの権威「魔法使い協会」の役員は、ミーズル一家の危機に対して役に立たないどころか、お役所的事なかれ主義をとおりこして悪意ともとれる無視を決めこみます。裏切り者かと思ってしまうほどですが、一件落着した最後にまた出てきて、慇懃無礼に「つめたくほほえみながら」、

  「きっと、・・・かなりのボーナスが出ると思いますよ。よかったですね。では、ごきげんよう。」  --『ミーズルと無敵のドラゴドン』

などと言うのです。ヘタをするといちばんイヤなキャラクターかもしれません。

 一方、悪玉のラスモンクたちは今回、ラスボスともいえる「無敵のドラゴドン」にすっかり操られ、憎いというより滑稽です。そしてドラゴドンは死に損ないの醜悪な老・竜使いなのですが、最後の生き残りの竜とともに地下に封印され、

  「・・・何千年も眠りつづけた。・・・わしらの偉業も、すっかり忘れさられたある日のこと、人間がこの島にやってきて、何かを建設しはじめた・・・皇帝の宮殿か? 要塞都市か? とんでもない! 子どもの遊び場じゃ!」

と、なんだか気の毒な境遇のようにも思えてきます。復活を夢見たドラゴドンと竜は、結局ミーズルに敗れて死んでいきました。栄枯盛衰を感じさせる場面です。

 このように、善悪が単純に好ましい・好ましくないで割り切れなくなってきているのは、ミーズルと作品世界の成長と言えるかもしれません。
 しかし、残念ながら邦訳はここまでで、3作目“The Castle of Creepiness!”(ぞ~っとする城)は原書で楽しむしかないようです。





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Last updated  February 17, 2013 12:13:37 AM
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