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テーマ:短編小説を書こう!(490)
カテゴリ:Hannaの創作
またまた、昔の作品の電子化です;
1996年4月、紹介してくれる人がいて、「公明新聞日曜版」の童話コーナーに3回連載されたものです(ここに載せるにあたり少し手直し)。 当時は片江綾子さんという方がかわいい挿絵をつけてくださっていました。 4月より、やっぱり今頃の話かな~と思います。 * * * おばけ雨雲アマグモン(1) 白いドレスに くびかざり 赤いリボンの おひめさま お空のくにの おひめさま たえちゃんは、うたいながら画用紙に絵をかいていました。ようちえんでもらった、だいすきな色えんぴつで、きれいにぬって、できあがり。 「ママ、見て。たえちゃん、おひめさまよ」 でもママは、せんたくきのまえでいそがしくしていました。 「ちゃんと見てったらー」 たえちゃんは、ママのそばへはしって行きました。 でも、 「どいて、どいて」 と、ママはせんたくものをいっぱいかかえて、ベランダの方へ、どかどかといっちゃうんです。 「ちぇっ。」 たえちゃんは、せんたくきをにらみました。 雲みたいにもりあがった白いあわが、ぶおーっとまわっています。たえちゃんはいすにもどって、おひめさまをかいたページをぺりっとめくりました。 ところが、がっかり。画用紙には、あたらしいページがありません。おひめさまのうらは、この前かいた、ママのにがお絵なので、白いページはもうのこっていないのです。 「ママー。画用紙、おしまいだよお。あたらしいの、かって…。」 「あとで。おかいものにいったらねー」 ママのせなかがいいました。しゃかしゃか、両うでをうごかして、青いロープにパパのシャツをつるしています。 「でも、いま絵をかいてんの! いま、いるのよう」 でもママったら、しらんぷり。 「ふん」 たえちゃんはしかたなく、画用紙の台紙のうらに、つぎの絵をかくことにしました。でも台紙は、よごれたみたいな、はい色のボール紙です。こんなきたない紙、やだなあ。 たえちゃんはぷりぷりして、うたいました。 ゲジゲジまゆげに ギョロ目玉 はなひげ、あごひげ まっくろけ おばけ雨雲 アマグモン! すると、ベランダからもどってきたママが、 「やーねえ、たえちゃん。そんなきたないかお、かいて。おふく、よごさないでよ」 と、まゆげのあいだにしわをよせて、いいました。 「だってっ! こんなはい色のところしか、かくばしょがないの!」 ママはもう、つぎのせんたくものをもってベランダにむかっていきましたが、 「あらっ。雨がふってきたわ!」 と、さけびました。 見ると、ボール紙色になった空から、ぷつぷつ、ぽっつん、雨がふりはじめたのです。ママは大いそぎで、ほしたばかりのシャツをとりいれはじめました。 絵なんか、もうやめ! たえちゃんはいすにうしろむきにのって、ドスコン、ドスコンとゆらしました。いつのまにか、まどの外は、ザーッと、雨が線になってふっています。 「やーねえ、アマグモン、そんなきたない色で」 たえちゃんは雨ふりの空をにらんで、ママのまねをしました。すると、むくむく、むっくり! はい色の雲がふくらみます。 「ふーんだ、お空ももっと、よごしちゃえ!」 ドスコン、ドスコン、いすをゆすると、もくもく、もっくり! ボール紙色の雨雲は、せんたくきのあわのように、ふくれます。 「いやな雨雲、アマグモン!」 ドスコン、ぐらり。あっ、おちる! つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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