1426570 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

HANNAのファンタジー気分

HANNAのファンタジー気分

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
July 9, 2013
XML
カテゴリ:Hannaの創作
おばけ雨雲アマグモン(2)

 たえちゃんは、ドキンとからだがちぢまって、いすから手をはなしてしまいました。
 ズボッ。
 あれっ?
 ゆかにドシンとおちるかとおもったのに、たえちゃんは、じめじめ、もやもやしたはい色のあわの中に、ななめにつっこんでいました。あわてて立とうとすると、
 ぴしゃっ!
つめたい水がかかり、おもわずくびをすくめてしまいました。
 もくもくもく、どぶどぶどぶ…
 はい色のものが、そこらじゅうにありました。たえちゃんが手足をばたばたさせても、どろんこにはまりこんだように、ぜんぜんうごけません。
「やーん、これなに。出してよおー」
 はい色のそこなしぬまです。おまけにはい色の空から雨つぶがおちてきます。いすも、まども、かべも、おうちもありません。みんな、むくむく、どろどろに、のみこまれてしまったのでしょうか。たえちゃんは、
「やーん、いやよう。うわーん」
と、あっぷあっぷ しながらさけびました。

「なにっ、いやとな!? わしのくにが、いやだといったな!」
と、とつぜん、ぐわんぐわんひびく、ものすごい声がしました。
 はい色のどろどろが、たえちゃんの前でぶわっとふくれあがったとおもうと、おそろしい大おばけのすがたとなったのです。雨雲のかたまりのような、ぶわぶわしたからだ。まっくろなひげにうまったかお。ゲジゲジまゆげから雨がふりそそぎ、まっかな目玉からは、いなづまがピリピリピリッと光っています。おばけ雨雲アマグモンです!
「それに、わしのかおを、こんなにふうにまっくろ、どろどろ、ゲジゲジにかいたのは、おまえだな!!」
 その声に、たえちゃんは、からだじゅうをぎゅーっと、ねじってしぼられたような気がしました。
「いやな雨雲で、わるかったな! きたないボール紙色で、わるかったな!」
 アマグモンはひげだらけの口をくわっとゆがめ、あわのかたまりのような雨雲をあちこちへふりとばしました。
「おまえも、どろどろにしてしまうぞお!!」
アマグモンは耳がヒリヒリするほど大きな声でわめいて、ごごごーっと、たえちゃんにのしかかってきたのです。
 目の前がはい色にぬりつぶされます。たえちゃんは雨雲の大波にさらわれ、もみくちゃです。
 と、そのとき、小さな四角いものが見えました。はい色のあわにまみれた、はい色のボール紙。それは、アマグモンの絵をかいた、たえちゃんの画用紙でした。
 たえちゃんはとっさに、画用紙をつかみました。すると、アマグモンの絵がくるっとうらがえり、白いさいごのページにママのかおが見えました。
「あっ、ママ! ママーァ!」
 ひっしの声も、すぐにアマグモンの大あらしにかきけされてしまいます。ああ、もう…
 アマグモンのギョロ目からかみなりがとどろき、あたりいちめん、はい色にあれくるいました。ああ、もう…
 たえちゃんの口に、もわもわした雨雲がかぶさってきます。目にも、しぶきがはいります。ああ、もう…


つづく。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 9, 2013 10:39:07 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X