全て
| カテゴリ未分類
| 近ごろのファンタジー
| 絵本の読み聞かせ
| ちょっとなつかしのファンタジー
| おうちのまわりの四季
| これぞ名作!
| 映画と原作
| お気に入りコミックス・アニメ
| かるいノリで古典を
| 気になる絵本
| ファンタジックなSF
| Hannaの創作
| ファンタジックな音楽
テーマ:短編小説を書こう!(490)
カテゴリ:Hannaの創作
おばけ雨雲アマグモン(2)
たえちゃんは、ドキンとからだがちぢまって、いすから手をはなしてしまいました。 ズボッ。 あれっ? ゆかにドシンとおちるかとおもったのに、たえちゃんは、じめじめ、もやもやしたはい色のあわの中に、ななめにつっこんでいました。あわてて立とうとすると、 ぴしゃっ! つめたい水がかかり、おもわずくびをすくめてしまいました。 もくもくもく、どぶどぶどぶ… はい色のものが、そこらじゅうにありました。たえちゃんが手足をばたばたさせても、どろんこにはまりこんだように、ぜんぜんうごけません。 「やーん、これなに。出してよおー」 はい色のそこなしぬまです。おまけにはい色の空から雨つぶがおちてきます。いすも、まども、かべも、おうちもありません。みんな、むくむく、どろどろに、のみこまれてしまったのでしょうか。たえちゃんは、 「やーん、いやよう。うわーん」 と、あっぷあっぷしながらさけびました。 「なにっ、いやとな!? わしのくにが、いやだといったな!」 と、とつぜん、ぐわんぐわんひびく、ものすごい声がしました。 はい色のどろどろが、たえちゃんの前でぶわっとふくれあがったとおもうと、おそろしい大おばけのすがたとなったのです。雨雲のかたまりのような、ぶわぶわしたからだ。まっくろなひげにうまったかお。ゲジゲジまゆげから雨がふりそそぎ、まっかな目玉からは、いなづまがピリピリピリッと光っています。おばけ雨雲アマグモンです! 「それに、わしのかおを、こんなにふうにまっくろ、どろどろ、ゲジゲジにかいたのは、おまえだな!!」 その声に、たえちゃんは、からだじゅうをぎゅーっと、ねじってしぼられたような気がしました。 「いやな雨雲で、わるかったな! きたないボール紙色で、わるかったな!」 アマグモンはひげだらけの口をくわっとゆがめ、あわのかたまりのような雨雲をあちこちへふりとばしました。 「おまえも、どろどろにしてしまうぞお!!」 アマグモンは耳がヒリヒリするほど大きな声でわめいて、ごごごーっと、たえちゃんにのしかかってきたのです。 目の前がはい色にぬりつぶされます。たえちゃんは雨雲の大波にさらわれ、もみくちゃです。 と、そのとき、小さな四角いものが見えました。はい色のあわにまみれた、はい色のボール紙。それは、アマグモンの絵をかいた、たえちゃんの画用紙でした。 たえちゃんはとっさに、画用紙をつかみました。すると、アマグモンの絵がくるっとうらがえり、白いさいごのページにママのかおが見えました。 「あっ、ママ! ママーァ!」 ひっしの声も、すぐにアマグモンの大あらしにかきけされてしまいます。ああ、もう… アマグモンのギョロ目からかみなりがとどろき、あたりいちめん、はい色にあれくるいました。ああ、もう… たえちゃんの口に、もわもわした雨雲がかぶさってきます。目にも、しぶきがはいります。ああ、もう… つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 9, 2013 10:39:07 PM
コメント(0) | コメントを書く
[Hannaの創作] カテゴリの最新記事
|